らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

司馬遼太郎「妖怪」

2010年12月12日 23時53分04秒 | 読書
 「世に棲む日日」を読んでいる途中、本屋に行って目に入った小説を買ってきたら、そちらを先に読み終わってしまいました。1969年に読売新聞に連載した「妖怪」。

 室町幕府の体制が怪しくなってきている時代のお話し。司馬遼太郎の小説にしては珍しい時代背景は確かなものを使いながらの作り話。

 室町時代は、幕府とは名ばかりの室町幕府が存在していて、将軍の力が弱く、戦国時代の序奏的時代であったと理解出来ました。将軍は力が無くても地位はあったので、それを巡る人々の権威争いが常に行われていました。その中に巻き込まれてゆく主人公の源四郎(室町幕府六代将軍・足利義教の落胤と自称)が、二人の権威者(八代将軍義政の正室日野富子と側室今参局)に従っている幻術師とやり合う活劇は、なかなか面白い物語でした。

 応仁の乱に突き進む足利義尚(将軍義政の子)と足利義視(将軍義政の弟)の争い~貢献者である山名氏と細川氏の争いなど歴史小説の満足度は保ちながら資料の少ない時代を、文字だけで映画を見せられたように表現するのはさすがに司馬遼太郎の小説です。ますます他の小説に興味がわいてきました。

 
コメント
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