Pee Wee Russell / Portrait Of Pee Wee ( 米 Counterpoint CPT 565 )
「洗練」とは、このアルバムのためにある言葉だったのではないかと思う。そして、その洗練というのは都会的なでスマートなそれではなく、
古都の旧い街並みだったり、手入れの行き届いたお寺の境内を歩いた時に感じる、あの雰囲気である。悠久の時の流れと澄んだ心が生み出す
静謐な佇まい。このアルバムにあるのは、そういう一種独特なムードである。
ピー・ウィー・ラッセルのクラリネットは他の奏者たちの吹き方とは全然違う。まるでサックスのような情感で吹いている。だから、その音楽には
古臭さが感じられない。音色もいわゆるクラリネットっぽさは希薄で、サックスの質感がある。ここではバド・フリーマンが参加しているけれど、
かなり近い質感がある。とても美しい音色だ。
ヴィック・デッケンソンやルビー・ブラフも加わる4管編成だが、ナット・ピアースらしい抑制が効いたアレンジのおかげでガチャガチャと
騒々しい中間派のセッションにはならず、しっとりと落ち着いた佇まいになっているのが素晴らしい。
カウンターポイントというレーベルはアル・ヘイグのアルバムしか知らなかったが、こういうのもあるのかと驚いた。
完成された上質なモノラル・サウンドで、見事な音場感で音楽が鳴る。
Pee Wee Russell / Portrait Of Pee Wee ( 米 Conterpoint CPST 562 )
エサ箱にはモノラル、ステレオの両方が転がっていたので、両方とも拾ってきた。このステレオ盤がまた素晴らしい音場で、モノラルとは
別の世界を見せてくれる。同じ内容なのに、違う演奏を聴いているかのようだ。これはどちらも甲乙つけ難い。