Marian McPartland / Solo Concert at Haverford ( 米 Halcyon HAL-111 )
ペンシルベニア州デラウェアにあるハバーフォード大学で1974年4月に行われたソロ・コンサートを収録したアルバムで、
彼女のピアノの上手さを堪能するのにこれほど適したアルバムは他にないかもしれない。
リラックスした雰囲気で明るく朗らかな演奏に終始しているが、基礎がしっかりとしていることがよくわかる。リズム楽器がいなくても
テンポを見失うことなく、音楽は常に安定して堅牢である。バラードでは品のいい抒情が漂うし、音数もうまくコントロールされていて、
ソロ・ピアノにありがちな耳障りな煩さもない。なんて聴かせ上手なんだろう、と感嘆しながら聴き終えることになる。
打鍵が適切で、ピアノの音がソリッドで立っている。そこが一番の快楽だ。
HALCYON Records というレーベルは彼女が1969年に興したレーベルで、自身の演奏をメインにデイヴ・マッケンナやジミー・ロウルズらも
アルバムを残している。ジャズがビジネスとして成り立たない時代に、自分のやりたいことをやるための策だったのだろう。
何からも制約されない中で、こうして良質な音楽が展開されていたのだ。
廃盤としての価値はゼロで、私もワン・コインで拾ったわけだが、本当にピアノ音楽が好きな人なら間違いなく気に入るアルバムだと思う。
そういう心ある人に聴いて貰いたい。