廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

2016年を振り返る

2016年12月30日 | Jazz雑記
2016年は何をしていたのかと振り返ってみると、結局のところ、安レコ漁りをしていたということに尽きるということがわかった。 何か特定のテーマに
ハマることもなく、ただダラダラと目に付いた安レコをボソボソと抜き取り、週末にぼんやりと聴いて過ごしていただけだったような気がする。 色々と
疲れることが多かったせいもあって、現代の新しい動向に積極的に首を突っ込む元気も出ず、古い音楽ばかり聴き返していた。 

幸いなことに後半は中古レコードが値崩れし始めて、今まではわざわざレコードで聴かなくてもいいや、と思っていたような作品の多くをレコードでも聴く
機会が増えた。 そんな中で、ブログではあまり触れることができなかったけれど、エヴァンスの後期のアルバムを意識して買ったのが唯一の成果かもしれない。








こういうのを買い始めたきっかけは春先にリリースされて話題になったMPSの未発表アルバムで、後期の作品をレコードで聴くとそれまでCDで聴いていた
のとはまた違った印象を持てることがわかったからだと思う。 それに何と言っても、値段が安い。 高くても4,000円+税、安いのは500円+税、平均すると
2,000円前後だと思う。 だから手持ちのCDは売り払って、これらのレコードに切り替えた。 

コレクターからは相手にされないこれらの作品だけど、私は後期の演奏には後期の良さがあると思う。 レコードで聴くとそういう想いが一層強くなる。
そのあたりの詳細は、これから1枚ずつぼちぼちと書いていこうと思う。 



レコード愛好家の間で話題になったのは、US高額廃盤の値段の異常な高騰だった。 昔から高い値段を維持してきた特定の数枚だけではなく、それまでは
普通に買えたような作品まで常軌を逸した値段になって、そんなことに振り回されることなんかないのに、それでも多くの人が右往左往させられたようだ。 

誰もがこのレコードの適正価格はこれくらいという物差しを持っていて、それと比較して「なんじゃ、これは!」と思わず吠えてしまったタイトルが
いろいろあっただろうと思うけど、私の場合の「なんじゃ、これは!」はこの2枚だった。





年末セールでこれが2枚セットで、188,000円という腰が抜けるような値段になっていて、その日のうちに売れていた。 これには心底たまげた。
3年前にこれらを買った時は、各々が完オリの良好な状態で20,000円台前半だった。 まあ、ギリだな、と思ったから買ったけれど、今も昔も
ブレイキーのレコードなんてブービー賞でしょ? (最下位はもちろんジミー・スミス。 音楽の話ではなく、廃盤価値としての話なので念のため。)

私にはこれが今の適正価格だ、とは思えない。 異常だと思う。 その他の多くが値崩れしている代償として、単に価格操作されているだけだ。
レコードが全体的に安くなっているんだから、その分買う側には余裕ができて、行って帰ってきてトントンでしょう、と店側は言うかもしれないけど、
そんなことはない。 1枚あたりの値段が下がれば、できるだけたくさんの音楽を聴きたいと願う普通の音楽好きはその分枚数を多く買う。 だから、
高額盤の値段が高騰すればその分が単純に負担増となるだけなのだ。 さらに、高額盤しか欲しがらないハード・コレクターには価格低下のメリットは
効いてこないんだから、こちらも単純に負担増となるだけだ。 

そんなこんなで、2016年は安レコ漁りに終始した、ということなんだろうと思う。 ただ、私の場合は3大レーベルの定番たちには既に食傷気味なので、
特に不都合はなかった。 中古レコードというのは「安い時に買って、高い時に売れ」というのが大原則である。 だから、これまで聴く機会のなかった
地味な作品を聴くことができたのだから、案外有益な1年だったのかもしれないな、と思う。


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