[同日08:53.京葉線快速電車内 敷島、アリス、エミリー]
地下深い東京駅京葉線ホームを出た電車は、しばらくの間、地下を突き進んだ。
地下にもバージョン・シリーズを配置していたことのあるウィリーの話を聞いた敷島は、まさかここにもと思ったが、アリス曰く、
「知らない」
とのこと。もっとも、当の本人は孫娘にも十分な情報を伝えないまま(できぬまま)この世を去ってしまったので、アリスのせいでもないだろう。
敷島の予想通り、一駅前の舞浜で多くの乗客が下車した。彼らの目的地は、言わずもがなだろう。
「舞浜という地名は、フロリダ州のマイアミから取ったんだそうだ」
「フロリダ州にディズニー・ワールドがあるもんね」
「だったら、舞網という名前でもいいような気がするんだが……。ガチ過ぎるからか?」
などと喋っているうちに、次駅の新浦安駅へ。
〔「まもなく新浦安、新浦安です。お出口は変わりまして、左側です。新浦安を出ますと、次は南船橋に止まります。通過する各駅へおいでのお客様、向かい側に停車中の各駅停車、蘇我行きにお乗り換えください」〕
電車がホームに着いてドアが開くと、敷島は電車を降りがてら平賀に電話を掛けた。
「あ、もしもし。おはようございます。今、新浦安駅に着きました。……あ、そうですか。分かりました。では、今向かいますので。……はい。失礼します」
電話を切ると、敷島は2人の方を向いた。
「もう平賀先生着いてるって。早いなぁ……」
「東京から・近いですから」
エミリーは微笑を浮かべた。
「そうだな」
[同日09:00.JR新浦安駅前→平賀のプリウス車中 敷島、平賀太一、アリス、エミリー]
「おはようございます。平賀先生」
「おはようございます」
一瞬、気まずい空気が流れる。
アリスと平賀は養祖父と師匠が敵同士だったし、生死の因縁もある。
(※前作オリジナル版では敷島が南里を謀殺したことになっているが、リメイク版ではシンディが刺殺したことになっている)
「お待たせして、すいませんね、先生」
敷島が取り繕うように割って入った。
「あ、ああ。いや、それほどでもないですよ。じゃ、乗ってください」
「先生は現場を御存知なんですか?」
敷島は助手席に乗り込みながら聞いた。
「十条先生から聞きました」
すると後ろの席から舌打ちする音が聞こえた。
「十条の爺さん、余計なことして……!」
アリスが十条に伝え、そこから平賀に伝わったのだろう。
「まあまあ。調査チームは多い方がいいからさ」
本来は十条が参加するはずだったところ、諸事情により、平賀が参加することになったのだから。
「七海は来なかったんですね」
「まだ子供達が小さいし、ナツも大変ですからね。こういう時、メイドロボットは役に立ちますね」
「なるほど。平賀先生と赤月先生の子供達です。早くも天才科学者の卵ってところですか?」
「いやいや……。自分もナツも、IQ自体はそんなに高いわけじゃないんですよ。その辺は間違えないようにしませんと」
地下深い東京駅京葉線ホームを出た電車は、しばらくの間、地下を突き進んだ。
地下にもバージョン・シリーズを配置していたことのあるウィリーの話を聞いた敷島は、まさかここにもと思ったが、アリス曰く、
「知らない」
とのこと。もっとも、当の本人は孫娘にも十分な情報を伝えないまま(できぬまま)この世を去ってしまったので、アリスのせいでもないだろう。
敷島の予想通り、一駅前の舞浜で多くの乗客が下車した。彼らの目的地は、言わずもがなだろう。
「舞浜という地名は、フロリダ州のマイアミから取ったんだそうだ」
「フロリダ州にディズニー・ワールドがあるもんね」
「だったら、舞網という名前でもいいような気がするんだが……。ガチ過ぎるからか?」
などと喋っているうちに、次駅の新浦安駅へ。
〔「まもなく新浦安、新浦安です。お出口は変わりまして、左側です。新浦安を出ますと、次は南船橋に止まります。通過する各駅へおいでのお客様、向かい側に停車中の各駅停車、蘇我行きにお乗り換えください」〕
電車がホームに着いてドアが開くと、敷島は電車を降りがてら平賀に電話を掛けた。
「あ、もしもし。おはようございます。今、新浦安駅に着きました。……あ、そうですか。分かりました。では、今向かいますので。……はい。失礼します」
電話を切ると、敷島は2人の方を向いた。
「もう平賀先生着いてるって。早いなぁ……」
「東京から・近いですから」
エミリーは微笑を浮かべた。
「そうだな」
[同日09:00.JR新浦安駅前→平賀のプリウス車中 敷島、平賀太一、アリス、エミリー]
「おはようございます。平賀先生」
「おはようございます」
一瞬、気まずい空気が流れる。
アリスと平賀は養祖父と師匠が敵同士だったし、生死の因縁もある。
(※前作オリジナル版では敷島が南里を謀殺したことになっているが、リメイク版ではシンディが刺殺したことになっている)
「お待たせして、すいませんね、先生」
敷島が取り繕うように割って入った。
「あ、ああ。いや、それほどでもないですよ。じゃ、乗ってください」
「先生は現場を御存知なんですか?」
敷島は助手席に乗り込みながら聞いた。
「十条先生から聞きました」
すると後ろの席から舌打ちする音が聞こえた。
「十条の爺さん、余計なことして……!」
アリスが十条に伝え、そこから平賀に伝わったのだろう。
「まあまあ。調査チームは多い方がいいからさ」
本来は十条が参加するはずだったところ、諸事情により、平賀が参加することになったのだから。
「七海は来なかったんですね」
「まだ子供達が小さいし、ナツも大変ですからね。こういう時、メイドロボットは役に立ちますね」
「なるほど。平賀先生と赤月先生の子供達です。早くも天才科学者の卵ってところですか?」
「いやいや……。自分もナツも、IQ自体はそんなに高いわけじゃないんですよ。その辺は間違えないようにしませんと」