[同日18:00.東京都千代田区外神田のボカロ劇場(架空のライブハウス) Lily、敷島、アリス]
ライブを終えたボーカロイドのLilyはステージから舞台袖に引き上げると、そのまま控え室に向かった。
Lilyとて他のボカロに違わず、ライブ後の排熱は重要である。
「お疲れさまです。控え室で日本アンドロイド研究財団の人達が面会ですよ」
「財団の人が?」
廊下でスタッフから敷島達が来ていることを伝えられたLily。
(財団の人達が何の用だろう……?)
確かにピアノ伴奏で……というか世界で唯一のマルチタイプ、エミリーがサプライズ参加したことには驚いたが、エミリーだけが単独で来たのかと思った。
「Lily、戻りました」
控え室に戻ると、そこにいたのは……。
「お疲れ様。初めまして。財団仙台支部総務部参事の敷島です」
「アリス・フォレストよ」
Lilyはメモリーの中を探してみたが、この2人に見覚えは無かった。
敷島の名前についてだけは、確かに財団職員の一覧の中にはあったが……。
「それより、先に冷やしてください」
待っていた初音ミクが、Lilyの分の氷を持ってきた。
「ああ。ありがとう」
Lilyは氷の入った袋を受け取ると、それで頭部を冷やした。
精密機械の塊である彼女達は、熱は大敵である。
なので公演ごとに体、特に人工知能が搭載されている頭部を冷やす必要があった。
自動車のラジエーターを応用した冷却機能はあるのだが、いざライブで激しい動きとなると、それもなかなか追いつかないのが実情だ。
「で、何の御用ですか?」
「実はちょっと今、ここで実験をしてみたいんだ」
「私に?」
「そう。アリス」
「Ok.この鍵なんだけど、これを見て何か感じる?」
「!」
Lilyはその鍵をジッと見つめた。
ピッ!
ピー!
「……音楽コード、解析中……」
Lilyの両目がオレンジ色に鈍く光った。
「解析完了。歌います」
「おおっ!」
[同日19:00.ヨドバシAkiba8階 敷島、アリス、平賀]
その後平賀も合流し、3人は飲食店に入って夕食を取っていた。
「すいませんね。自分も実験に参加したいと言っておきながら、本部での業務が押しちゃって……」
「まあ、しょうがないです」
「実験の結果が、ミクが歌ったものと同じですって?」
「そうなんです。ますますワケ分かりませんよ。あの歌詞にどんな意味があるのか、そもそもどうして黄色い鍵をリンやレンではなく、Lilyが反応したのか。こんなこと言うのも何ですけど、Lilyは正直、リンやレンと比べるとまだマイナーなボカロです。何の脈絡があるのか、さっぱり分からないんですよ」
「ボカロが歌い出したのは、ミスリードかな?」
「今更ぁ?」
アリスは辟易した顔をした。
「やっぱり鉄道のラインカラーだったりして?」
「もっと脈絡無いですって」
すると、敷島は虚空を見るような感じになって、それからアリスを見た。
「……なあ、アリス」
「なに?」
「シンディのシンボルカラーって何だろう?」
「イエローよ。だから、あの金髪……。!?」
その時、アリスが気づいた。
「やっぱりボカロに歌わせたのはミスリードだったか!?」
「何ですか、敷島さん?」
「素直に考えれば良かったんですよ。シンディのシンボルカラーはイエロー。その胸の中にあった黄色い鍵」
「マルチタイプのシンボルカラーなんて聞いたことないですよ」
平賀は眉を潜めた。
「じー様が教えてくれたけどね。プロフェッサー平賀は聞いてなかったの?」
「……悪かったな。マルチタイプのエミリーには、ほとんど関わらせてもらえなかったもんでねっ!……そうなると、エミリーは……」
「ピンクですね。髪の色からして」
「しかし、エミリーには鍵なんて無いですよ?」
「エミリーは取り外したのかもしれませんね。その辺、エミリーのメモリーを洗ってもらえませんか?」
「しかし、そうなるとマルチタイプのグリーンなんて、もうこの世には……」
「それを探さなきゃいけない!?ぅあちゃー……」
[同日20:00.同場所 敷島、アリス、平賀]
「お帰りなさい・ませ」
エミリーはフロアのベンチで待っていた。
「おう、ただいま。早いとこホテルに戻って、お前も充電しないとな」
初音ミクは先に新幹線で仙台に戻った。本当に忙しいボーカロイドである。
「なあ、エミリー」
「イエス」
「本当にお前は、自分の体の中に埋め込まれたはずの“鍵”を知らないんだな?」
「申し訳・ありません。全く・存じません」
すると、アリスがニヤッと笑った。
「今、『知らない』って言ったわね?『知らない』というメモリーはあるけど、鍵のこと自体は『メモリーに無い』わけじゃないのね?」
「どういうことだ?」
「エミリー、いい度胸してるわね。何か隠してるみたいよ?」
そこで敷島も気づく。
「そうか。本来なら、『メモリー(またはデータ)が・ありません』と答えるべきところを、『知らない』と答えたのはおかしいということか」
「さっさと戻って尋問ね。正直に答えないと、iPodに改造しちゃうからね」
「勝手に改造すんな!」
エミリーの現オーナーは、あくまで平賀である。
因みに敷島はユーザー。
[同日20:30.東京都千代田区外神田界隈にあるビジネスホテル 敷島、アリス、平賀、エミリー]
敷島のシングルでは狭いので、2人部屋のアリスとエミリーの部屋に集まった。
畳敷きもある一風変わった部屋だった。
「どうして黙っていたのかまでは聞かないけど、ちゃんと鍵のことについては話してよね?」
「イエス。ドクター・アリス。確かに・私達・マルチタイプには・普段使いの・メモリー媒体の他・緊急用の・媒体が・搭載されて・います。それが・鍵です。鍵型に・なって・いるのは・敵に・捕獲され・体を・解体された際に・メモリー媒体だと・分からなくする為・です」
「なるほど。確かに俺も、まさかシンディの体から古めかしい鍵が出てくるとは思わなかったもんな」
「緑の鍵を持っていたマルチタイプはどこにいる?」
平賀が聞いた。
するとエミリーは少し悲し気な、それでいて諦観とも取れる顔をして答えた。
「この世には・存在しません。シベリアで・爆破解体されました。私の・5番目の・弟でした」
マルチタイプは兄弟だとされている。エミリーが長女らしい。
「そのユーザーは……ドクター十条です」
「やっぱり!同じ研究チームにいながら、十条先生だけ特定のマルチタイプがいなかったことに疑問はあったんだ!」
平賀がポンと手を叩いた。
「それを・モチーフに・作られたのが・キールです」
「そうだったのか。それでエミリー、お前は……」
死に別れた弟にどれだけ似ているのかは知らないが(少なくとも顔は全く似ていない。男女の違いはあれ、マルチタイプのスペックは全て統一されていて、顔も同じはずだからだ)、そういった面影もあってキールに近づいているのだろう。
「緑の鍵をキールに見せれば、何か分かるってことですかね?」
「かもしれませんね。見せるというか、それこそ体の中に埋め込めばいいのかもしれません」
「十条理事が了承してくれるかなぁ……」
敷島は首を傾げた。
「それより、エミリーにだって鍵が搭載されていたはずなのに、どうしてそれが無い理由かだ。エミリー、本当に知らないのか?」
「本当に・メモリーが・ありません」
「敷島さん、南里先生がエミリーの体を開けるような修理をしたことは無いですか?」
「それは、それこそ平賀先生の方がご存知なのでは?」
「それも調べないとダメか……。取り急ぎ、まずは十条先生に電話してみましょう」
「お願いします」
平賀は十条に連絡を取った。
そして、意外なことが分かった。
{「そうかね。さすがは南里の弟子じゃな。そこまで分かれば、合格じゃ。良かろう。キールを実験に使わせよう」}
「何か知ってる素振りですね!」
{「いや、わしも詳しくは知らんぞ。ウィリーのヤツ、ちゃっかり『5号機のキール』から鍵を抜き取っておいたとはな」}
「じゃあ、エミリーの鍵のこともご存知なんですね?」
{「鍵かどうかは知らんが、ほれ、覚えておらんかの?巡音ルカがウィリーのバラまいたステルス・ウィルスに感染して、歌えなくなった時があったじゃろう?」}
「あー、ありましたね」
{「エミリーから何か部品を移植したような話を聞いたが、それとは違うかの?」}
「何ですと!?……敷島さん、今ルカはどこにいますか!?」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
敷島はタブレットを操作した。
「今、仙台にいますね。明日もテレビ仙台の収録と、地元フリーペーパーの表紙写真撮影の仕事が入っています」
「十条先生、交通費出しますから、至急仙台まで来てください!」
{「慌てんでも、元々明後日は赤月君……もとい、キミの奥さんが講師を務める大学で特別講義があって行くことになってるわい。で、現地に前泊するというのがワシの行動パターンだということは知っておるじゃろう?」}
「あっ……」
{「キールには留守番させるつもりでいたが、乗りかかったバスじゃ。もっとも、“エトアール”号は事故ったから、飛行機を使わせてもらうがな」}
「だから、乗りかかった舟ですって。敷島さんみたいなボケを……」
こうして、役者は揃った。
「明日、仙台で真相がはっきりするとは……」
「凄い3連休でしたね。まあ、今夜はゆっくり休んでください」
「ボカロは結局、関係無かったか」
「まあ、1番の鍵を握っていたのは巡音ルカだったってことですね。歌詞自体は、何かのヒントだったのかもしれませんけど……」
平賀は車に乗って、ホテルから立ち去った。
「じゃあ、俺達もゆっくり休んでおこうや」
「エミリー。充電しておいてね」
「イエス」
ライブを終えたボーカロイドのLilyはステージから舞台袖に引き上げると、そのまま控え室に向かった。
Lilyとて他のボカロに違わず、ライブ後の排熱は重要である。
「お疲れさまです。控え室で日本アンドロイド研究財団の人達が面会ですよ」
「財団の人が?」
廊下でスタッフから敷島達が来ていることを伝えられたLily。
(財団の人達が何の用だろう……?)
確かにピアノ伴奏で……というか世界で唯一のマルチタイプ、エミリーがサプライズ参加したことには驚いたが、エミリーだけが単独で来たのかと思った。
「Lily、戻りました」
控え室に戻ると、そこにいたのは……。
「お疲れ様。初めまして。財団仙台支部総務部参事の敷島です」
「アリス・フォレストよ」
Lilyはメモリーの中を探してみたが、この2人に見覚えは無かった。
敷島の名前についてだけは、確かに財団職員の一覧の中にはあったが……。
「それより、先に冷やしてください」
待っていた初音ミクが、Lilyの分の氷を持ってきた。
「ああ。ありがとう」
Lilyは氷の入った袋を受け取ると、それで頭部を冷やした。
精密機械の塊である彼女達は、熱は大敵である。
なので公演ごとに体、特に人工知能が搭載されている頭部を冷やす必要があった。
自動車のラジエーターを応用した冷却機能はあるのだが、いざライブで激しい動きとなると、それもなかなか追いつかないのが実情だ。
「で、何の御用ですか?」
「実はちょっと今、ここで実験をしてみたいんだ」
「私に?」
「そう。アリス」
「Ok.この鍵なんだけど、これを見て何か感じる?」
「!」
Lilyはその鍵をジッと見つめた。
ピッ!
ピー!
「……音楽コード、解析中……」
Lilyの両目がオレンジ色に鈍く光った。
「解析完了。歌います」
「おおっ!」
[同日19:00.ヨドバシAkiba8階 敷島、アリス、平賀]
その後平賀も合流し、3人は飲食店に入って夕食を取っていた。
「すいませんね。自分も実験に参加したいと言っておきながら、本部での業務が押しちゃって……」
「まあ、しょうがないです」
「実験の結果が、ミクが歌ったものと同じですって?」
「そうなんです。ますますワケ分かりませんよ。あの歌詞にどんな意味があるのか、そもそもどうして黄色い鍵をリンやレンではなく、Lilyが反応したのか。こんなこと言うのも何ですけど、Lilyは正直、リンやレンと比べるとまだマイナーなボカロです。何の脈絡があるのか、さっぱり分からないんですよ」
「ボカロが歌い出したのは、ミスリードかな?」
「今更ぁ?」
アリスは辟易した顔をした。
「やっぱり鉄道のラインカラーだったりして?」
「もっと脈絡無いですって」
すると、敷島は虚空を見るような感じになって、それからアリスを見た。
「……なあ、アリス」
「なに?」
「シンディのシンボルカラーって何だろう?」
「イエローよ。だから、あの金髪……。!?」
その時、アリスが気づいた。
「やっぱりボカロに歌わせたのはミスリードだったか!?」
「何ですか、敷島さん?」
「素直に考えれば良かったんですよ。シンディのシンボルカラーはイエロー。その胸の中にあった黄色い鍵」
「マルチタイプのシンボルカラーなんて聞いたことないですよ」
平賀は眉を潜めた。
「じー様が教えてくれたけどね。プロフェッサー平賀は聞いてなかったの?」
「……悪かったな。マルチタイプのエミリーには、ほとんど関わらせてもらえなかったもんでねっ!……そうなると、エミリーは……」
「ピンクですね。髪の色からして」
「しかし、エミリーには鍵なんて無いですよ?」
「エミリーは取り外したのかもしれませんね。その辺、エミリーのメモリーを洗ってもらえませんか?」
「しかし、そうなるとマルチタイプのグリーンなんて、もうこの世には……」
「それを探さなきゃいけない!?ぅあちゃー……」
[同日20:00.同場所 敷島、アリス、平賀]
「お帰りなさい・ませ」
エミリーはフロアのベンチで待っていた。
「おう、ただいま。早いとこホテルに戻って、お前も充電しないとな」
初音ミクは先に新幹線で仙台に戻った。本当に忙しいボーカロイドである。
「なあ、エミリー」
「イエス」
「本当にお前は、自分の体の中に埋め込まれたはずの“鍵”を知らないんだな?」
「申し訳・ありません。全く・存じません」
すると、アリスがニヤッと笑った。
「今、『知らない』って言ったわね?『知らない』というメモリーはあるけど、鍵のこと自体は『メモリーに無い』わけじゃないのね?」
「どういうことだ?」
「エミリー、いい度胸してるわね。何か隠してるみたいよ?」
そこで敷島も気づく。
「そうか。本来なら、『メモリー(またはデータ)が・ありません』と答えるべきところを、『知らない』と答えたのはおかしいということか」
「さっさと戻って尋問ね。正直に答えないと、iPodに改造しちゃうからね」
「勝手に改造すんな!」
エミリーの現オーナーは、あくまで平賀である。
因みに敷島はユーザー。
[同日20:30.東京都千代田区外神田界隈にあるビジネスホテル 敷島、アリス、平賀、エミリー]
敷島のシングルでは狭いので、2人部屋のアリスとエミリーの部屋に集まった。
畳敷きもある一風変わった部屋だった。
「どうして黙っていたのかまでは聞かないけど、ちゃんと鍵のことについては話してよね?」
「イエス。ドクター・アリス。確かに・私達・マルチタイプには・普段使いの・メモリー媒体の他・緊急用の・媒体が・搭載されて・います。それが・鍵です。鍵型に・なって・いるのは・敵に・捕獲され・体を・解体された際に・メモリー媒体だと・分からなくする為・です」
「なるほど。確かに俺も、まさかシンディの体から古めかしい鍵が出てくるとは思わなかったもんな」
「緑の鍵を持っていたマルチタイプはどこにいる?」
平賀が聞いた。
するとエミリーは少し悲し気な、それでいて諦観とも取れる顔をして答えた。
「この世には・存在しません。シベリアで・爆破解体されました。私の・5番目の・弟でした」
マルチタイプは兄弟だとされている。エミリーが長女らしい。
「そのユーザーは……ドクター十条です」
「やっぱり!同じ研究チームにいながら、十条先生だけ特定のマルチタイプがいなかったことに疑問はあったんだ!」
平賀がポンと手を叩いた。
「それを・モチーフに・作られたのが・キールです」
「そうだったのか。それでエミリー、お前は……」
死に別れた弟にどれだけ似ているのかは知らないが(少なくとも顔は全く似ていない。男女の違いはあれ、マルチタイプのスペックは全て統一されていて、顔も同じはずだからだ)、そういった面影もあってキールに近づいているのだろう。
「緑の鍵をキールに見せれば、何か分かるってことですかね?」
「かもしれませんね。見せるというか、それこそ体の中に埋め込めばいいのかもしれません」
「十条理事が了承してくれるかなぁ……」
敷島は首を傾げた。
「それより、エミリーにだって鍵が搭載されていたはずなのに、どうしてそれが無い理由かだ。エミリー、本当に知らないのか?」
「本当に・メモリーが・ありません」
「敷島さん、南里先生がエミリーの体を開けるような修理をしたことは無いですか?」
「それは、それこそ平賀先生の方がご存知なのでは?」
「それも調べないとダメか……。取り急ぎ、まずは十条先生に電話してみましょう」
「お願いします」
平賀は十条に連絡を取った。
そして、意外なことが分かった。
{「そうかね。さすがは南里の弟子じゃな。そこまで分かれば、合格じゃ。良かろう。キールを実験に使わせよう」}
「何か知ってる素振りですね!」
{「いや、わしも詳しくは知らんぞ。ウィリーのヤツ、ちゃっかり『5号機のキール』から鍵を抜き取っておいたとはな」}
「じゃあ、エミリーの鍵のこともご存知なんですね?」
{「鍵かどうかは知らんが、ほれ、覚えておらんかの?巡音ルカがウィリーのバラまいたステルス・ウィルスに感染して、歌えなくなった時があったじゃろう?」}
「あー、ありましたね」
{「エミリーから何か部品を移植したような話を聞いたが、それとは違うかの?」}
「何ですと!?……敷島さん、今ルカはどこにいますか!?」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
敷島はタブレットを操作した。
「今、仙台にいますね。明日もテレビ仙台の収録と、地元フリーペーパーの表紙写真撮影の仕事が入っています」
「十条先生、交通費出しますから、至急仙台まで来てください!」
{「慌てんでも、元々明後日は赤月君……もとい、キミの奥さんが講師を務める大学で特別講義があって行くことになってるわい。で、現地に前泊するというのがワシの行動パターンだということは知っておるじゃろう?」}
「あっ……」
{「キールには留守番させるつもりでいたが、乗りかかったバスじゃ。もっとも、“エトアール”号は事故ったから、飛行機を使わせてもらうがな」}
「だから、乗りかかった舟ですって。敷島さんみたいなボケを……」
こうして、役者は揃った。
「明日、仙台で真相がはっきりするとは……」
「凄い3連休でしたね。まあ、今夜はゆっくり休んでください」
「ボカロは結局、関係無かったか」
「まあ、1番の鍵を握っていたのは巡音ルカだったってことですね。歌詞自体は、何かのヒントだったのかもしれませんけど……」
平賀は車に乗って、ホテルから立ち去った。
「じゃあ、俺達もゆっくり休んでおこうや」
「エミリー。充電しておいてね」
「イエス」