報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 第4章 「記憶」 4

2016-07-19 19:05:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月28日00:00.天候:不明 アンブレラコーポレーション・ジャパン 霧生開発センター]

 私と高橋は、何やら人影のようなものが映ったモニタを確認し、現場に向かってみた。
 それは4階の女子トイレ。
 エレベーターを起動させた私達は、それで4階へ上がった。
 因みにこのエレベーターで5階にも行けるが、あいにくとエレベーターは防火シャッターの内側(つまり、外に出られない方)にある為、結局はシャッターを開ける方法を探さないといけない。
「ん?」
 エレベーターのボタンを押したが、ボタンのランプが点かなかった。
 そんなバカな。
 さっき、警備室で起動したのに……。
「先生、ここにカードを当てないと動かないのでは?」
「おっ、そうか」
 やけに厳重なエレベーターだ。
 私は警備室で手に入れたカードキーを読取機に当てた。
 すると、モニタに何かが表示された。

『日蓮正宗の教義として、欠かせないものは何?』

「はあ!?それ何!?さっきの新日蓮宗と違うの!?」

『1:三大秘法 2:進化の秘宝 3:インカの秘法 4:ヨルレリホー』

「常識的に考えれば、1だろう」
 大丈夫か、作者?
 後で武闘派に怒られても知らんぞ。
 正解だったようで、エレベーターのドアが開いた。
「急げ!4階だ!」
「はい!」
 私達はエレベーターに乗り込むと、4階のボタンを押した。
 荷物運搬の用途も兼ねているらしく、少し大きめのエレベーターだ。
 そして4階に着いた。
 だが、ドアが開かない。
「先生、またですよ?」
「ええっ?」
 エレベーターの中にもモニタがあって、そこにまたクイズが表示される。

『日蓮正宗の三大秘法。本門の本尊、本門の戒壇と、あと1つは?』

「ここは何なんだ!?」
「日蓮正宗の研究所……じゃないですよね?」

『1:本門の僧侶 2:本門の革命 3:本門の経文 4:本門の題目 5:実は2つしかない』

 エレベーターのボタンが全部点灯した。
 要はエレベーターのボタンを押して、答えろということらしい。

「だーっ!どれだ!?」
「大抵のゲームでは、5はハズレですね。どうします?」
「俺達は4階に来たんだから4!」
「大丈夫ですかね?」
 私は4を押した。

 ピンポーン♪
 ガラガラガラガラ……。(←ドアが開く音)

「あ、当たった……みたい、ですね?」
「ここは“クイズマジックアカデミー”か!」
 私は憤慨した様子でエレベーターを降りた。
 全く。
 緊張感が無くなってしまった。
 4階にもゾンビやハンターなどの姿は無い。
「ここがトイレですね」
「モニタに映ったのはこの辺だな?」
「はい」
 しかし、ここにはトイレ以外に隠れる場所が無かった。
「トイレの中か?」
「先生。敵かもしれませんから、油断しないでくださいよ」
「分かってるって」
 私は男子トイレのドアをそっと開け、中に入った。
 さすがにトイレの中にまでカメラは無いから、ここに化け物が潜んでいても何ら不思議は無い。
「……パッと見、誰もいないな?」
 もちろん、天井も見る。
 しかし、リッカーが天井を張っているということもなかった。
 男子トイレには小便器が4つ、個室が3つある。
 パッと見、個室が4つあるように見えるが、1番手前は掃除用具入れになっていた。
 近代的な造りの研究所。
 もちろんトイレも、どこかのオフィスビルのトイレであるかのようにメタリックな内装になっている。
「個室を探してみよう」
「はい」
 このトイレの個室のドアは変わっている。
 普通、使用していない時はドアを開けている状態であろう?
 それで入った時に、パッと見て使用状況が分かるというものだ。
 ここのトイレは、使用していなくてもドアが閉まっている状態だった。
 しかも、珍しいのは全て横引き戸であること。
 どうしてこんな構造になっているのか?
 私は高橋に銃を構えさせ、ドアを開けた。
 もし中に化け物がいたり、飛び出してくるようなら、すぐに高橋のマグナムの餌食になることだろう。
 ガラガラガラと引き戸を開けたが、中にはウォシュレットの便器があるだけで、他には何も無かった。
 引き戸になっている理由は、それだけ個室が広めに作られていたからだった。
 つまり、全ての個室が車椅子対応ということである。
「次、行くぞ」
「はい」
 私は真ん中の個室を開けた。
「……何もありません」
「そうか」
 と、その時だった!

 バシューッ!

「!!!」
「!?」
 びっくりした!
 一瞬、何の音かと思ったが、小便器から水が出て来る音だった。
 最新のセンサー式の小便器は、配管の汚れや臭いを防止する為と称して、長時間利用が無い場合、勝手に水が流れる仕組みになっているのである。
 便器にも脇の方とかに、その旨が小さく書かれていることがある。
 それがまた何の予告も無く、しかもそれというのが勢い良く水が出て来る為に、分かっていてもびっくりさせられることがある。
 今回はまあ、完全に不意打ちだったが。
「驚かせやがって……。さあ、あとは最後の個室だ」
「先生。今思ったんですが……」
「何だ?」
「もし中に誰かいれば、この時点で勝手に中から出て来そうなものですが……」
「……あ。それもそうだな」
 こんな状況だ。
 暢気に便器で踏ん張っているとは思えない。
 もし仮に化け物だったら、ドアをブチ破って襲って来るだろう。
「じゃ、開けるぞ」
「はい」
 今度はだいぶ軽い気持ちでドアを開けた。
 B級ホラー映画だったら、こういう時こそ実は化け物が潜んでいて、飛び出してきた化け物に高橋が食われるような展開なのだろうが、そんなことは無かった。
 やっぱり、中には誰もいなかった。
「んん?」
 で、持っていたマスターキーで掃除用具入れの中を開けてみたが、もちろん鍵が掛かっていた時点で隠れられるわけが無く、当然やっぱり誰もいなかった。
「先生?」
「えー?じゃあ、女子トイレかぁ?」
「生存者は女性なのでしょうか?」
「化け物だったとしたら、トイレの男女なんて関係無いだろうしな。たまたま飛び込んだのが女子トイレというだけだろうし」
「じゃあ、行きますか」
「待て待て。もし生存者だったら、男2人が行ったら、余計警戒されるぞ。せっかく高野さんという女性がいるんだから、彼女に頼んでみよう」
「……先生がそう仰るのでしたら」
 私は無線機を取って、彼女に呼び掛けた。
「あー、こちら愛原です。高野さん、応答願います」
{「はい、高野です」}
 普通に応答してきたということは、研究室エリアにも何も無かったということか。
「こちらは何の収穫も無しです。そちらはどうですか?」
{「色々と面白いものを見つけたよ。……でね、どうやらこの研究所でワクチンが作れそうなの」}
「ワクチン?どんな?」
{「もちろん、あの抗ウィルス剤よりも強いワクチンだよ。抗ウィルス剤はゾンビ化の進行を抑えるだけの薬だったけど、ワクチンは文字通り、ウィルスを死滅させてくれる上、抗体も作ってくれるから、もうゾンビ化の心配は無くなる薬だよ」}
「その作り方が分かったと?」
{「そう。……ていうか、今製造中。もうすぐできるってよ」}
「マジか!さすがだな!よし、じゃあ俺達もすぐ行く!高橋君、女子トイレは後回しだ。急いで3階の研究室へ行こう!」
「はい!」
 私達は自分のゾンビ化を恐れながら進んでいる。
 それが完全に無くなるだけでも、大きな前進だ。
 私達は男子トイレを飛び出した。
 と、その時!

 ザザー!

「……えっ?」
 女子トイレの中から、水の流れる音がした。
「先生!」
 な、何だ?
 やっぱり、誰かがいるのは女子トイレだったのか!?
 気になるが、しかし、ワクチンを一刻も早く接種したい。
 私の頭の中に選択肢が現れた。
 さて、どうしよう?

 1:女子トイレを先に調べる。
 2:先に研究室に向かう。
 3:高橋に女子トイレを調べさせ、自分は研究室に向かう。
 4:自分が女子トイレを調べ、高橋は研究室に向かわせる。

 次回へ続く!
コメント (2)
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“私立探偵 愛原学” 第4章 「記憶」 登場キャラ紹介

2016-07-19 17:41:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 もっとも、登場が内定している敵キャラだけですが……。

 トイレの花子さん:

 研究所の女子トイレ、奥から2番目から飛び出して来た少女。
 セーラー服をモチーフにした、どこかの学校のものと思われる制服を着ている。
 但し、両目の部分に横に細長い穴が開いているだけの真っ白い仮面を着けている為、顔は分からない。
 ありとあらゆる銃の攻撃を受けつけず、研究所内を徘徊して愛原達を追い詰めて行く。
 尚、名前はまるで“学校の怪談”に出て来る“トイレの花子さん”のような登場の仕方だった為、愛原が付けたもの。
 本名は別にあるが、【御紹介はここまで】。
 被弾しても全くケガすらしないことから、人間ではないと思われる。
 また、いかにも小柄で非力な少女のようであるが、タイラントを使役できる。
 モチーフは“バイオハザード”hdリメイク版や“バイオハザード アンブレラクロニクルズ”に登場するリサ・トレヴァー。
 『元々は普通の人間の少女だったが、アンブレラに捕えられ、実験体にされた』『ありとあらゆる攻撃を受けつけない(リサの場合、数秒だけ失神する)』『仮面を着けている(リサの場合、女性研究員数人の顔を剥いだものを継ぎ合わせて作ったマスクを被っている』『喋れる(リサの場合、普段は唸り声で、たまにうわ言のようなものを喋る)』等の共通点がある。

 タイラント(日本版):

 身長2メートルを超える大男。
 スキンヘッドにサングラスを掛け、トレンチコートを着ている。
 こちらも殆ど銃による攻撃を受けつけず、愛原達を追い詰める。
 何故だかトイレの花子さんの命令を聞き、彼女の指示で全て動く。
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“私立探偵 愛原学” 第4章 「記憶」 3

2016-07-19 10:26:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月27日23:00.天候:不明 アンブレラ・ジャパン霧生研究所]

 私達は霧生電鉄線の引き込み線を歩いて、アンブレラの秘密研究所があるという場所へ向かった。
 殺風景な貨物ホームから、これまた殺風景な鉄扉を開けると、そこにはやっぱりメタリックだけども、同じく殺風景な廊下が続いていた。
「……誰もいないな」
 停電もしておらず、真っ暗なトンネルや薄暗いホームと比べると、まだ明るい。
 近代的な造りをしているせいか、幾分、不気味さは薄らいだように見える。
「油断してはダメです、先生。きっと、そこの壁をブチ破って来たり、あそこのダクトから何か出て来るオチですよ」
 そう言って高橋は、マグナム弾が装填されているLホークを両手に構えた。
「そうだな」
 廊下は緩い右カーブになっていて、突き当りにはまた鉄扉があった。
「うっ、ヤベェ!電子ロック掛かってやがる!」
「ええっ?」
 さすがに世の中甘くなかったか。

 鉄扉は電子ロックで固く閉ざされていた。
「先生、こいつで鍵を壊してみますか?」
 高橋は銃口を電子ロックのカード読取機に向けた。
「待て待て。そんなことしたら、ここの警備室に警報が行く恐れがある」
「……そこまで考えなくていいんじゃない?」
 と、高野氏。
「えっ?」
「だってもう私達、カメラに映ってるみたいだよ?」
 高野氏は天井の監視カメラを指さした。
「ありゃ!?」
「それに先生、この騒ぎでは警備室にだって誰もいませんよ」
「そうだよ。もしいるんだったら、私達の姿を見つけて駆け付けてくるはずでしょう?」
「そ、そうか。じゃあ……あっと!その前に……」
 私はダメ元で、お寺で手に入れたセキュリティカードを当ててみた。
 近代的な研究所である為か、カードは非接触式と呼ばれる、カードを読取機に当てるだけのタイプだ。
「そんなもの当てたって、開くわけが無いでしょう?」
 高野氏は呆れた。
 私に否定的なことを言うと文句を言う高橋ですら黙っている。

 ピー!(カードを当てたら、何か読取機からアラームが鳴った)

「ん?」
 すると、読取機の横にある小さなモニタに何かが表示された。
 何だろう?エラーが出たから云々とでも書かれているのだろうか?
 私はモニタを覗き込んだ。

『学校の怪談でお馴染みの、トイレに出て来るという女の子の幽霊。その名前は?』

「な、何だこりゃ!?」

『1:良子さん 2:恵子さん 3:花子さん 4:まる子さん』

「この中から選べということですか?」
「そりゃまあ、“トイレの花子さん”ってあるけどねぇ……」
「じゃあ、3か」
 私はテンキーの3を押した。
 すると、

 ピーン!
 ……カチッ。

「……先生、鍵が開いたようです」
「はあ!?」
 高橋がドアを開けた。
 一体、今のは何の演出だ!?
「と、とにかく、中に入ってみよう」
 私達が中に入ると、そこはロビーになっていた。
 そのロビー側からドアを見ると、そこには、『鉄道搬入口』と書かれていた。
 ロビーといっても、病院の待合室と言った方が良いような殺風景さだ。
 相変わらず、ここには何もいない。
「ジョージはここからハンターが脱走したとか言ってたけど、残っている奴らもいないってことなのかな?」
「どうでしょうねぇ……」
「で、高野さん、どこから調べる?」
「やっぱり研究室とかでしょ」
「そうなるか」
 ロビーには所内の見取り図があった。
「脱出できる所も確認しておかなきゃあ……」
 今いるところは4階らしい。それほどまでに大山寺は高い所にあったのだ。
 すると1階には……。
「確かに出入口はあるけど、そこを出たから安全ってわけでも無いだろうさ。結局、町の外に続いているというわけじゃないんだから」
「ですよねぇ……」
「ねぇ。5階にも搬入口があるらしいよ」
「5階に!?何で?」
「そんなの知らないよ」
「またヘリポートでもあるのか?」
「とにかく、行ってみましょう」
 私達はまずその5階に行ってみることにした。
「うっ!」
 しかし、5階に上がる所は防火シャッターが下ろされていた。
 また、エレベーターもあるのだが、それも電源が落とされている。
「警備室だ!警備室に行こう!そこなら鍵やら何やら手に入る!」
「警備室は1階にあるみたいだね」
「よし。行くぞ」
 私達は階段を下りた。

「……おかしいな。町の方とかはゾンビが大量にいたのに、ここには全くいない」
 それでも首無し死体だとか、焼死体などはあったので、ここも異変とは無関係ではないというのは分かった。
 しかし今現在、呻き声を上げて徘徊しているゾンビだの、奇声を上げて飛び掛かって来るハンターもいない。
 つい、ここで無双でも強いられるかと思ったのに。
 1階まで降りてみる。
「……うーむ。シャッターが閉まっている」
 研究所の外に通じているであろう、正面入口にはシャッターが下ろされ、また什器などが積み上げられて、完全にバリゲートがされていた。
 私達が大山寺の大講堂でした時と同じだ。
 考えることは皆同じだということか。
 ここから外に出ることはできなさそうだ。
 私達は警備室に入ってみた。
 そこは大山寺のそれと違い、モニタがズラッと並んだ広い所だった。
 こういうのを防災センターって言うのか?
 超高層ビルの地下に、よくこういうのがあるな。
 モニタは稼働しているのだが、どれを見てもゾンビやハンターなどはいなかった。
「皆、避難した後なのかもしれないな」
「その、避難した関係者達はどうやって避難したのでしょう?」
「うーむ……」
 私はモニタを見て回った。
「うん?」
 すると、今は行けなくなっている5階の外を映しているというモニタがあった。
「5階の搬入口だって。……あ、何かトラックとか乗用車とか止まってる」
「5階は道路と繋がってるんですか?」
「……ねぇ、ちょっとこれ見て!」
 室内の別の場所を探していた高野氏が、何か資料のようなものを持って来た。
 それは霧生市内の地図。
 地図にはちゃんと、『アンブレラコーポレーション・ジャパン(株)霧生開発センター』と書かれていた。
 秘密の研究所ではなかったのか?それとも、さすがに存在自体を隠すことは無理だとして、取りあえず存在だけは公表しているのか。
 高野氏が指さした所には、県道707号線(新霧生道路)がすぐ近くを通っていることが分かった。
「新霧生道路ってのは、霧生市と町の外を結ぶ有料道路なの」
「本当か!」
 もちろん、無料で通れる旧道も存在するが、ここから遠い上、地上を通っている為に、化け物達に占拠されている恐れがある。
 それに対して新霧生道路は高架線を、まるで高速道路と似たような規格で作られているということで、化け物は少ないかもしれない。
「そう言えば俺達がこの町に来る時、高速バスもここを通ったような気がするなぁ……」
「つまり5階の搬入口というのは、この道路と接続していると。5階に行けば車もありますから、それに乗って町を脱出できるということですね!?」
「そういうことになるな。もしくは、非常線を警察や自衛隊が張っているだろうから、そこまで行けば助かるぞ」
「決まりだね。でも私は研究室に行って、何が起きたか確かめてみたいね」
「どうせ避難した時にでも、持ち出されたんじゃないか?」
 と、高橋。
「それでも全部は持ち出せないでしょ。とにかく、探してみたいね」
「分かった。じゃあ、手分けして探そう。幸い、ここにも携帯用の無線機がある。これを持って、お互いに連絡を取り合おう」
「分かったわ」
 室内にはマスターキーやマスターカードがあった。
 これを持ち出す。
 しかし、どうしてもシャッターを開けることはできなかった。
 5階に行かないと、操作できないのか。
「研究室フロアは3階だね。ちょっと行ってくる」
「ああ。だけど、カメラに映っていないだけで、まだヤバいのはいるかもしれないから気をつけてくれよ」
「分かったよ」
 そう言って、高野氏は警備室を出て行った。
「やっぱり、ここでは防火シャッターの操作はできないみたいだな」
「普通は鍵の掛かっているスイッチボックスを開けて、中のボタンを操作しますよね?」
「ああ。だけど、それらしい鍵が無いぞ。これも持ち出されたのか?」
「増田の爺さんみたいに、どこかに鍵を持った警備員が転がってるかもしれませんよ」
「マジか。モニタだけ見ると、死体自体は結構転がってるんだよなぁ……。1人1人総当たりしていったら、時間が勿体ないが……。まあ、いいや。取りあえずやってみ……。!?」
 その時、私はモニタに何かがフッと映ったような気がした。
「先生、どうしました?」
「あ、いや。気のせいか?今、何か映ったような気がするんだが……」
「あの女じゃないですか?」
「いや、高野さんは3階に行くと言っていた。あの辺のモニタだったぞ。……『4階トイレ前』とある」
「化け物か生き残りか……」
「いずれにせよ、確認してみるか。化け物だったら高野さんが危ないし、生き残りだったら助けてあげないと」
「はい」
 因みにエレベーターの再起動はここで行えた。
「よし。行ってみよう」
「はい!」

 私達は警備室を出て、エレベーターへ向かった。
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