[6月25日11:15.天候:曇 新日蓮宗大本山・興雲山大山寺 救護所]
大講堂を守っていた増田氏がハンターに殺された。
悲しんでいる暇は無く、その後はジョージが救護所で重傷を負っているようだった。
私達はすぐに救護所に向かった。
「もう!いい加減にしてよ!」
現場に向かう間にも、ハンターが私達に襲い掛かって来た。
既に私達には強い武器があるので、今さら怯む必要は無いのだが、それにしてもウザいくらいだ。
「もしかして先生、そこら辺の草引っこ抜いたりすると、ハンターが出て来るんじゃないですか?」
「やめてくれ!別のホラーだ!」
そんなこんなで救護所に到着する。
救護所の周りには、ハンターの死体がいくつも転がっていた。
更にマシンガンの薬莢が転がっている所を見ると、どうやらジョージが応戦した後らしい。
確か、彼はAUGマシンガンを持っていた。
私達は薄暗い救護所に入った。
「ジョージ伍長!ジョージ伍長!いないのか!?」
私が日本語で叫ぶ中、高野氏が英語で呼び掛ける。
どうやら、彼女は英語も話せるらしい。
「ううう……。こ、ここだ……!」
奥から声がした。
呻き声もしたが、ゾンビのそれとは違う。
私達が声がした方に向かうと、ベッドの上に血だらけのジョージが横になっていた。
「や、やぁ……みんな……」
「ジョージ!これは一体、何があった!?」
「油断した……。まさか……あ、あんなに……ハンターが……脱走していた……とは………」
すると、高野氏が溜め息をついた。
「ジョージ。あなたが米軍の伍長というのはウソね。本当はUSS……いえ、UBCSの隊員なんじゃない?」
「!」
「UBCS?何だ、それは?」
私が初めて聞く英語の組織名に目を丸くした。
高野氏は答えた。
「正式名称は、“Umbrella Biohazard Countermeasure Service”。日本語にすれば、『アンブレラ バイオハザード対策部隊』といったところかな。アンブレラ社がアメリカ資本の製薬企業だってことは周知の通り。だけど、アメリカの本社には、表向きに創設した子会社の警備会社USS(Umbrella Security Service)だけでは対応できない、非正規部隊を創設したの。それがUBCS。日本の営業所のある町がこんな状態になって、アメリカ本体から派遣されたってことでしょう?」
「……そこまで……知ってい……のなら……もう、否定は……できないな……。私は……UBCSの者だ……」
「やっぱり!」
「それじゃ、ここに来たのは……!?」
「部隊が……バラバラになった……のは事実だ………。仲間が……いないかと……期待したが……このザマだ………」
「そんな!」
「だが……まだ、望みはある……。隣の部屋に……仲間が……眠って……いる。彼が……信号弾を……持ってい……から………持って………合図を……するんだ……。あ……あの、ヘリポートで………。か……ゲホッゲホッ!」
「もういい!ジョージ、喋るな!」
「……へ……ヘリポート……周辺の………安全を……確保………。すれば……何も知らない………ヘリがきっと………。頑張れ………」
「ジョージ!」
「ジョージ、しっかりして!!」
「くそっ!死ぬのはまだだ!」
だが、ジョージは事切れてしまった。
「ちくしょう……!また生存者が死んだ……!」
「先生……。俺、隣の部屋から信号弾を持って来ます」
高橋は隣の救護室に行った。
それは背中に背負って運ぶタイプのもの。
高橋が背中に背負って運ぶことにした。
救護所なだけあって、中は救急スプレーなども置かれていた。
それで傷の手当を行う。
「何これ?“抗ウィルス材”?」
ジョージの服のポケットや荷物を調べていた高野氏。
軍人なだけに弾薬の予備などが多かったが、その中に医療キットもあった。
普通の応急手当に使うものの他に、白いカプセルが入っていた。
説明書は英語で書かれていたが、もちろん高野はそれを翻訳できた(※)。
「ちょっ……これ……!」
「何だい?」
「もしかしたらこの異変、やっぱりアンブレラの仕業かもしれないよ!」
「何だって!?」
「この薬は抗ウィルス剤だって」
「抗ウィルス剤?インフルエンザか何か?」
「インフルエンザがまともな病気に見えるくらい、この町には奇病が蔓延していたってこと!」
「た、確かに、霞台団地駅の駅員の日記にも、似たようなことが書いていたような……?」
「このカプセルは、一時的にその進行を抑える薬なんですって」
「な、なに?」
「やっぱりゾンビ達からの攻撃を受けると、私達もゾンビになる病気に感染するみたい。だけど、この軍人さん達はアンブレラ側の人間だから、そんなことは百も承知だったわけだね。攻撃を受けてもいいように、この薬を渡されてたみたい」
「マジか!じゃあ、俺達は飲んどいた方がいいんだな?」
「そうだね。どれだけ効くか分からないけど……」
「これは特効薬じゃないのか?」
「違うみたい。但し書きで、書かれてる。『これはあくまで一時的に進行を止める薬であるから、定期的に服用しなければならない。もちろん効用中は、ゾンビ化の恐れは無い。尚、特効薬においては研究所にて鋭意開発中である』」
「開発中って……無いんかい!」
「先生、とにかく飲んでおきましょう。こういう薬って、症状が出始めたら効かなかったりするんでしょう?」
「そ、そうか!」
私は救護所の外に出て、近くにある自動販売機からミネラルウォーターのペットボトルを3本購入した。
こんな事態になっても、停電しないから助かる。
恐らく送電関係においては、無人になっても自動でシステムが稼働しているからだろう。
それでカプセルを飲み込む。
当然だが、何も起こらない。
だけど、これでゾンビ化を少しでも避けることができるのなら、それはそれで安心感があった。
すると高橋は他にも救護室を回って、
「やっぱり奴ら、持ってましたよ」
既に事切れているUBCSの隊員達から、抗ウィルス剤を持って来た。
「よし。いつ脱出できるか分からないから、もらって行くぞ」
「はい」
私達は救護所をあとにすると、大本堂へと向かった。
「……増田さん、ジョージ。俺達は何としてでも生き残るぞ」
脱出叶わず、死んでしまった生存者達に、私はつぶやくように言った。
(※高野が大講堂に残る選択をした場合、高野はゾンビ化して増田を食い殺し、高橋に射殺される為、抗ウィルス剤の説明書を和訳することができず、服用できなくなる。その為、後に高橋にゾンビ化の症状が現れてしまい、バッドエンドとなる)
大講堂を守っていた増田氏がハンターに殺された。
悲しんでいる暇は無く、その後はジョージが救護所で重傷を負っているようだった。
私達はすぐに救護所に向かった。
「もう!いい加減にしてよ!」
現場に向かう間にも、ハンターが私達に襲い掛かって来た。
既に私達には強い武器があるので、今さら怯む必要は無いのだが、それにしてもウザいくらいだ。
「もしかして先生、そこら辺の草引っこ抜いたりすると、ハンターが出て来るんじゃないですか?」
「やめてくれ!別のホラーだ!」
そんなこんなで救護所に到着する。
救護所の周りには、ハンターの死体がいくつも転がっていた。
更にマシンガンの薬莢が転がっている所を見ると、どうやらジョージが応戦した後らしい。
確か、彼はAUGマシンガンを持っていた。
私達は薄暗い救護所に入った。
「ジョージ伍長!ジョージ伍長!いないのか!?」
私が日本語で叫ぶ中、高野氏が英語で呼び掛ける。
どうやら、彼女は英語も話せるらしい。
「ううう……。こ、ここだ……!」
奥から声がした。
呻き声もしたが、ゾンビのそれとは違う。
私達が声がした方に向かうと、ベッドの上に血だらけのジョージが横になっていた。
「や、やぁ……みんな……」
「ジョージ!これは一体、何があった!?」
「油断した……。まさか……あ、あんなに……ハンターが……脱走していた……とは………」
すると、高野氏が溜め息をついた。
「ジョージ。あなたが米軍の伍長というのはウソね。本当はUSS……いえ、UBCSの隊員なんじゃない?」
「!」
「UBCS?何だ、それは?」
私が初めて聞く英語の組織名に目を丸くした。
高野氏は答えた。
「正式名称は、“Umbrella Biohazard Countermeasure Service”。日本語にすれば、『アンブレラ バイオハザード対策部隊』といったところかな。アンブレラ社がアメリカ資本の製薬企業だってことは周知の通り。だけど、アメリカの本社には、表向きに創設した子会社の警備会社USS(Umbrella Security Service)だけでは対応できない、非正規部隊を創設したの。それがUBCS。日本の営業所のある町がこんな状態になって、アメリカ本体から派遣されたってことでしょう?」
「……そこまで……知ってい……のなら……もう、否定は……できないな……。私は……UBCSの者だ……」
「やっぱり!」
「それじゃ、ここに来たのは……!?」
「部隊が……バラバラになった……のは事実だ………。仲間が……いないかと……期待したが……このザマだ………」
「そんな!」
「だが……まだ、望みはある……。隣の部屋に……仲間が……眠って……いる。彼が……信号弾を……持ってい……から………持って………合図を……するんだ……。あ……あの、ヘリポートで………。か……ゲホッゲホッ!」
「もういい!ジョージ、喋るな!」
「……へ……ヘリポート……周辺の………安全を……確保………。すれば……何も知らない………ヘリがきっと………。頑張れ………」
「ジョージ!」
「ジョージ、しっかりして!!」
「くそっ!死ぬのはまだだ!」
だが、ジョージは事切れてしまった。
「ちくしょう……!また生存者が死んだ……!」
「先生……。俺、隣の部屋から信号弾を持って来ます」
高橋は隣の救護室に行った。
それは背中に背負って運ぶタイプのもの。
高橋が背中に背負って運ぶことにした。
救護所なだけあって、中は救急スプレーなども置かれていた。
それで傷の手当を行う。
「何これ?“抗ウィルス材”?」
ジョージの服のポケットや荷物を調べていた高野氏。
軍人なだけに弾薬の予備などが多かったが、その中に医療キットもあった。
普通の応急手当に使うものの他に、白いカプセルが入っていた。
説明書は英語で書かれていたが、もちろん高野はそれを翻訳できた(※)。
「ちょっ……これ……!」
「何だい?」
「もしかしたらこの異変、やっぱりアンブレラの仕業かもしれないよ!」
「何だって!?」
「この薬は抗ウィルス剤だって」
「抗ウィルス剤?インフルエンザか何か?」
「インフルエンザがまともな病気に見えるくらい、この町には奇病が蔓延していたってこと!」
「た、確かに、霞台団地駅の駅員の日記にも、似たようなことが書いていたような……?」
「このカプセルは、一時的にその進行を抑える薬なんですって」
「な、なに?」
「やっぱりゾンビ達からの攻撃を受けると、私達もゾンビになる病気に感染するみたい。だけど、この軍人さん達はアンブレラ側の人間だから、そんなことは百も承知だったわけだね。攻撃を受けてもいいように、この薬を渡されてたみたい」
「マジか!じゃあ、俺達は飲んどいた方がいいんだな?」
「そうだね。どれだけ効くか分からないけど……」
「これは特効薬じゃないのか?」
「違うみたい。但し書きで、書かれてる。『これはあくまで一時的に進行を止める薬であるから、定期的に服用しなければならない。もちろん効用中は、ゾンビ化の恐れは無い。尚、特効薬においては研究所にて鋭意開発中である』」
「開発中って……無いんかい!」
「先生、とにかく飲んでおきましょう。こういう薬って、症状が出始めたら効かなかったりするんでしょう?」
「そ、そうか!」
私は救護所の外に出て、近くにある自動販売機からミネラルウォーターのペットボトルを3本購入した。
こんな事態になっても、停電しないから助かる。
恐らく送電関係においては、無人になっても自動でシステムが稼働しているからだろう。
それでカプセルを飲み込む。
当然だが、何も起こらない。
だけど、これでゾンビ化を少しでも避けることができるのなら、それはそれで安心感があった。
すると高橋は他にも救護室を回って、
「やっぱり奴ら、持ってましたよ」
既に事切れているUBCSの隊員達から、抗ウィルス剤を持って来た。
「よし。いつ脱出できるか分からないから、もらって行くぞ」
「はい」
私達は救護所をあとにすると、大本堂へと向かった。
「……増田さん、ジョージ。俺達は何としてでも生き残るぞ」
脱出叶わず、死んでしまった生存者達に、私はつぶやくように言った。
(※高野が大講堂に残る選択をした場合、高野はゾンビ化して増田を食い殺し、高橋に射殺される為、抗ウィルス剤の説明書を和訳することができず、服用できなくなる。その為、後に高橋にゾンビ化の症状が現れてしまい、バッドエンドとなる)