[12月31日22:00.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 敷島家]
NHK紅白歌合戦を観ている敷島とアリス。
敷島:「あーあ……。うちのボーカロイドも紅白に出れねーかなぁ……」
アリス:「その愚痴、もう何度目よ?あなたの営業努力に掛かってるってことじゃない」
敷島:「人気は絶対にあるはずなんだけどなぁ……」
アリス:「あのアイドルユニット、四季エンタープライズの所属でしょ?親会社のアイドル達が出てるんだからいいじゃない」
敷島:「そういう問題じゃないって」
そこへ、シンディがお盆を持って来た。
その上に乗っかっているのは、海老天そば。
シンディ:「お待たせしました。年越しソバです」
敷島:「年越しソバ!そんなものまで用意してくれたのか!?」
シンディ:「はい。季節の行事を取り仕切るのは、メイドの役目ですので」
エミリー:「ソバは私が打ちました」
敷島:「ソバ打ちからやったのか!」
アリス:「紅白に出なくて良かったわね」
敷島:「いや、そういう問題じゃない。とにかく頂こう」
シンディ:「ごゆっくり召し上がってください」
アリス:「ありがとう」
シンディ:「姉さん」
エミリー:「うん」
マルチタイプ姉妹は顔を見合わせて頷いた。
そして、彼女らが控え室として使用している納戸(広さ四畳半)の部屋に引っ込んだ。
敷島:「今年ももうすぐ終わるなぁ……」
アリス:「そうね。KR団が完全崩壊したことが、大きな出来事だったかしら?」
敷島:「KR団に代わるまた別のテロ組織が出て来そうな気がするよ」
アリス:「その時はまた潰しに行くってわけ?」
敷島:「日本国内が平和であればいい。またアメリカに行くのは面倒だ」
アリス:「何とか、マルチタイプが堂々と客席に座れればいいのにね」
敷島:「銃火器は取り外しても、未だに火炎放射器とレーザーガンが搭載されているようじゃムリに決まってるよ」
しばらくして敷島達が年越しソバを食べ終わると、納戸の中からマルチタイプ姉妹が出てきた。
その恰好たるや……。
敷島:「おおっ!?」
アリス:「Oh!Kimono!」
エミリーとシンディは振袖を着ていた。
敷島:「お前ら着付けできるのか!?」
シンディ:「はい。色々と勉強しました」
エミリー:「シンディの着付けは私がやりました。着物は撮影用の衣装を借りたものです」
敷島:「四季グループの役得だな。で、これでどうしようってんだ?」
シンディ:「初詣に行きましょう。これも季節の行事です」
敷島:「氷川神社は今からもう混んでるぞ?」
エミリー:「そこが良いのです」
シンディ、ジャキッと右手をレーザーガンに変形させる。
シンディ:「但し、どうしてもと仰るのでしたら、社長の御命令1つで、その混雑する群衆を薙ぎ払っても良いのですよ?」
敷島:「絶対するなよ!?」
アリス:「じゃあ1つお願いしようかしら?」
敷島:「するな!」
アリス:「マシンガンやグレネードランチャーに換装すれば、一思いに蹴散らし……」
敷島:「やめろ、コラ!」
アリス:「American Jokeよ。そんなマジレスしないで?」
敷島:「あのなぁ……」
アリス:「それより、私も着物着てみたい」
敷島:「お前に似合うか?」
シンディ:「かしこまりました。当然、アリス博士の分も御用意してございます」
アリス:「さすがはシンディ。じー様の最高傑作」
敷島:「マッドサイエンティストの最高傑作だろ。全く……」
もっとも、エミリーを設計した南里志郎も世界的なマッドサイエンティストの1人としてカウントされていた。
確かに色んな意味でキレた爺さんというキャラクターではあったものの、その天然キャラには愛嬌があったところが、シンディの設計者、ウィリアム・フォレスト(通称ドクター・ウィリー)とは大きな違いがあった。
シンディ:「すぐに着付けを行いますので、社長は少々お待ちください」
敷島:「ああ、分かった」
敷島とエミリーはリビングで待つ。
エミリー:「申し訳ありません、社長。男性用の着物は御用意できませんでした」
敷島:「いいよ、別に。別に、着物で行かないと御利益が無いってわけじゃないんだから」
エミリー:「本当でしたら御用意できたのですが、狩衣で良いものかどうか判断が付かなかったものですから……」
敷島:「判断しなくていい!何だよ、狩衣って!?平安貴族のコスプレじゃあるまいし。というかそれで神社に行ったら、神主と間違われるだろうが」
エミリー:「そうでしたか」
敷島:「クリスマスイベントで、サンタのコスプレして行くようなもんだ。だからいいよ。俺は私服で」
エミリー:「かしこまりました」
しばらくして……。
シンディ:「あ、あの、博士。その着付け方は、あまりお勧めできないかと……」
アリス:「うるさい!いいの!」
納戸からアリスが出てきた。
その恰好たるや……。
敷島:「!!!」
エミリー:「アリス博士、その恰好は……?」
アリス:「日本のお正月を満喫する為に、トラディショナルに決めてみたよ。どう?」
アリスの着物は、既に着崩れていた。
その着崩れ方というのが、まるで花魁のようである。
エミリー:「博士のトラディショナルの基準が分かりません」
敷島:「こ、こらぁ!お前は日本をナメとんのか!そんな反日行為、断じて認めーん!脱げーっ!」
アリス:「誰が反日よ!?……ちょっと!」
だが、アリスのフザけた着物は、あっという間に敷島に剥がされてしまった。
[同日23:30.天候:晴 さいたま市大宮区 氷川神社(武蔵一宮)]
大宮氷川神社のある大宮区は、かつては大宮市だった。
その名前の由来は、この氷川神社を「大いなる宮居」と称えたことにあるという。
広宣流布を目指す大石寺系教団は、もし本当に広宣流布を実現させたいのなら、地名から変えさせるべきであろう。
尚、総本山のお膝元である静岡県富士宮市もまた、その由来として浅間大社を「富士の宮」と称していたからだとされている。
この事実が広宣流布の不可能性を如実に顕しているのである。
アリス:「全く。タカオったら、American Jokeが通用しないんだから……」
今度は普通に着物を着たアリスだった。
敷島:「アメリカン・ジョークってのは、『アメリカ人にしか通用しない冗談』のことを言うんだ」
アリス:「そうなんだぁ!」
シンディ:「博士、着物キツくないですか?」
アリス:「大丈夫。着物なら、胸も調整できるもんね」
敷島:「そうだな。……ってか何で、お前らは揃いも揃って巨乳なんだ?」
アリス:「生まれつき」
エミリー:「設計上の問題です」
シンディ:「私達のモデルさんが巨乳だったからじゃない?」
エミリーやシンディは、南里やウィリーが若かりし頃、同時に惚れていたロシア人女性をモデルにしたとされている。
結局その恋はどちらも叶わず、その思いを設計に込めたのだろうとされている。
アリス:「まだ時間あるでしょ?屋台回りたい」
敷島:「観光に来たアメリカ人と大して変わらんなー」
アリス:「お財布よろしく」
敷島:「ダンナを財布にしたがる所は世界共通かよ」
敷島は舌打ちすると同時に苦笑した。
NHK紅白歌合戦を観ている敷島とアリス。
敷島:「あーあ……。うちのボーカロイドも紅白に出れねーかなぁ……」
アリス:「その愚痴、もう何度目よ?あなたの営業努力に掛かってるってことじゃない」
敷島:「人気は絶対にあるはずなんだけどなぁ……」
アリス:「あのアイドルユニット、四季エンタープライズの所属でしょ?親会社のアイドル達が出てるんだからいいじゃない」
敷島:「そういう問題じゃないって」
そこへ、シンディがお盆を持って来た。
その上に乗っかっているのは、海老天そば。
シンディ:「お待たせしました。年越しソバです」
敷島:「年越しソバ!そんなものまで用意してくれたのか!?」
シンディ:「はい。季節の行事を取り仕切るのは、メイドの役目ですので」
エミリー:「ソバは私が打ちました」
敷島:「ソバ打ちからやったのか!」
アリス:「紅白に出なくて良かったわね」
敷島:「いや、そういう問題じゃない。とにかく頂こう」
シンディ:「ごゆっくり召し上がってください」
アリス:「ありがとう」
シンディ:「姉さん」
エミリー:「うん」
マルチタイプ姉妹は顔を見合わせて頷いた。
そして、彼女らが控え室として使用している納戸(広さ四畳半)の部屋に引っ込んだ。
敷島:「今年ももうすぐ終わるなぁ……」
アリス:「そうね。KR団が完全崩壊したことが、大きな出来事だったかしら?」
敷島:「KR団に代わるまた別のテロ組織が出て来そうな気がするよ」
アリス:「その時はまた潰しに行くってわけ?」
敷島:「日本国内が平和であればいい。またアメリカに行くのは面倒だ」
アリス:「何とか、マルチタイプが堂々と客席に座れればいいのにね」
敷島:「銃火器は取り外しても、未だに火炎放射器とレーザーガンが搭載されているようじゃムリに決まってるよ」
しばらくして敷島達が年越しソバを食べ終わると、納戸の中からマルチタイプ姉妹が出てきた。
その恰好たるや……。
敷島:「おおっ!?」
アリス:「Oh!Kimono!」
エミリーとシンディは振袖を着ていた。
敷島:「お前ら着付けできるのか!?」
シンディ:「はい。色々と勉強しました」
エミリー:「シンディの着付けは私がやりました。着物は撮影用の衣装を借りたものです」
敷島:「四季グループの役得だな。で、これでどうしようってんだ?」
シンディ:「初詣に行きましょう。これも季節の行事です」
敷島:「氷川神社は今からもう混んでるぞ?」
エミリー:「そこが良いのです」
シンディ、ジャキッと右手をレーザーガンに変形させる。
シンディ:「但し、どうしてもと仰るのでしたら、社長の御命令1つで、その混雑する群衆を薙ぎ払っても良いのですよ?」
敷島:「絶対するなよ!?」
アリス:「じゃあ1つお願いしようかしら?」
敷島:「するな!」
アリス:「マシンガンやグレネードランチャーに換装すれば、一思いに蹴散らし……」
敷島:「やめろ、コラ!」
アリス:「American Jokeよ。そんなマジレスしないで?」
敷島:「あのなぁ……」
アリス:「それより、私も着物着てみたい」
敷島:「お前に似合うか?」
シンディ:「かしこまりました。当然、アリス博士の分も御用意してございます」
アリス:「さすがはシンディ。じー様の最高傑作」
敷島:「マッドサイエンティストの最高傑作だろ。全く……」
もっとも、エミリーを設計した南里志郎も世界的なマッドサイエンティストの1人としてカウントされていた。
確かに色んな意味でキレた爺さんというキャラクターではあったものの、その天然キャラには愛嬌があったところが、シンディの設計者、ウィリアム・フォレスト(通称ドクター・ウィリー)とは大きな違いがあった。
シンディ:「すぐに着付けを行いますので、社長は少々お待ちください」
敷島:「ああ、分かった」
敷島とエミリーはリビングで待つ。
エミリー:「申し訳ありません、社長。男性用の着物は御用意できませんでした」
敷島:「いいよ、別に。別に、着物で行かないと御利益が無いってわけじゃないんだから」
エミリー:「本当でしたら御用意できたのですが、狩衣で良いものかどうか判断が付かなかったものですから……」
敷島:「判断しなくていい!何だよ、狩衣って!?平安貴族のコスプレじゃあるまいし。というかそれで神社に行ったら、神主と間違われるだろうが」
エミリー:「そうでしたか」
敷島:「クリスマスイベントで、サンタのコスプレして行くようなもんだ。だからいいよ。俺は私服で」
エミリー:「かしこまりました」
しばらくして……。
シンディ:「あ、あの、博士。その着付け方は、あまりお勧めできないかと……」
アリス:「うるさい!いいの!」
納戸からアリスが出てきた。
その恰好たるや……。
敷島:「!!!」
エミリー:「アリス博士、その恰好は……?」
アリス:「日本のお正月を満喫する為に、トラディショナルに決めてみたよ。どう?」
アリスの着物は、既に着崩れていた。
その着崩れ方というのが、まるで花魁のようである。
エミリー:「博士のトラディショナルの基準が分かりません」
敷島:「こ、こらぁ!お前は日本をナメとんのか!そんな反日行為、断じて認めーん!脱げーっ!」
アリス:「誰が反日よ!?……ちょっと!」
だが、アリスのフザけた着物は、あっという間に敷島に剥がされてしまった。
[同日23:30.天候:晴 さいたま市大宮区 氷川神社(武蔵一宮)]
大宮氷川神社のある大宮区は、かつては大宮市だった。
その名前の由来は、この氷川神社を「大いなる宮居」と称えたことにあるという。
広宣流布を目指す大石寺系教団は、もし本当に広宣流布を実現させたいのなら、地名から変えさせるべきであろう。
尚、総本山のお膝元である静岡県富士宮市もまた、その由来として浅間大社を「富士の宮」と称していたからだとされている。
この事実が広宣流布の不可能性を如実に顕しているのである。
アリス:「全く。タカオったら、American Jokeが通用しないんだから……」
今度は普通に着物を着たアリスだった。
敷島:「アメリカン・ジョークってのは、『アメリカ人にしか通用しない冗談』のことを言うんだ」
アリス:「そうなんだぁ!」
シンディ:「博士、着物キツくないですか?」
アリス:「大丈夫。着物なら、胸も調整できるもんね」
敷島:「そうだな。……ってか何で、お前らは揃いも揃って巨乳なんだ?」
アリス:「生まれつき」
エミリー:「設計上の問題です」
シンディ:「私達のモデルさんが巨乳だったからじゃない?」
エミリーやシンディは、南里やウィリーが若かりし頃、同時に惚れていたロシア人女性をモデルにしたとされている。
結局その恋はどちらも叶わず、その思いを設計に込めたのだろうとされている。
アリス:「まだ時間あるでしょ?屋台回りたい」
敷島:「観光に来たアメリカ人と大して変わらんなー」
アリス:「お財布よろしく」
敷島:「ダンナを財布にしたがる所は世界共通かよ」
敷島は舌打ちすると同時に苦笑した。