[12月30日09:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家1F客間]
マリア:「うーん……」
ハク人形:「……!……!」
ミク人形:「……!……!」
主人を起こすメイド人形達。
マリア:「……!?」
目が覚めたマリアは、バッとテーブルの上の目覚まし時計を見た。
マリア:「Oh,no!I rise late!(しまった!寝坊した!)」
マリア、慌てて飛び起きる。
マリア:(ユウタの御両親へのイメージが……!)
マリア、急いで着替えて客間を飛び出した。
が、ダイニングに行っても誰もいなかった。
マリア:「???(あれ?何で誰もいないの?)」
マリアが狐につままれた顔をしていると、ようやく2階から誰か降りてくるのが聞こえた。
稲生:「あー、昨夜は大変だったなぁ……。おっ?おはようございます。マリアさん」
マリア:「オハヨウ、ユウタ」
マリアはこの家では、自動通訳魔法を使用不可にしている。
魔法と言っても、それを行使する為の呪文だとか魔法陣とかは必要無い。
魔法具を使えば良いのだ。
マリアが使用しているものは、ビー玉サイズ……ラムネの瓶に入っていそうな見た目の小さな水晶球がそれであった。
時々切れたりするので、稲生は『ビー玉型ポケットWi-Fi』と呼んでいるかどうかは、【お察しください】。
稲生:「あれ?まだ母さん達、起きてないんだ。まあ、昨夜は変な時間に起こされましたからねぇ……」
マリア:「私、一番乗リ?」
稲生:「そういうことになりますねぇ……。まあ、いいや。そのうち、起きて来るでしょう」
マリア:「!」
その時、マリアは良い事を思いついた顔をした。
パチンと指を鳴らすと、人形形態だったミク人形とハク人形が人間形態になる。
マリア:「今から朝食の支度して」
マリアがメイド人形達に命令すると、2体のそれが恭しく頷いた。
稲生:「あー、僕、顔を洗って来ますから」
マリア:「Me,too!(私も!)」
稲生:(あっ、いけない。つい、日本語で言っちゃった。それにしてもマリアさん、自動通訳無しで、どこまで日本語が分かるんだろう?)
少なくとも、今の稲生の日本語は通じたようである。
それから30分後……。
佳子:「おはよう。ごめんなさい。朝寝坊しちゃったわ」
宗一郎:「まあ、どうせ年末休みだからいいんだけどね。今日に限っては仕方が無い。昨夜は向かいのマンションの火事で、大騒ぎだったからなぁ……」
佳子:「あら、いい匂い?」
マリア:「オハヨウゴザイマス。朝食ノ用意ガ出来テオリマス」
宗一郎:「なにっ!?マリアさんが作ったのか!?」
マリア:「ハイ」
佳子:「あらぁ、マリアさんはお客様なんだから、何もしてなくていいのよ?」
マリア:「イイエ」
マリア、急いで人形形態に戻したミカエラとクラリスを後ろに抱えて隠している。
宗一郎:「ベーコンエッグにソーセージ、焼きトマト……イングリッシュ・ブレックファーストだな」
稲生:「マリアさんはイギリス人だから」
もっとも、イギリスでも地域による。
アイルランドやスコットランドでは、もう少し簡素なものになるらしい。
稲生:「なかなかの好評のようですよ?」
マリア:「そのようだ」
宗一郎:「それでは、早速頂くことにしよう」
宗一郎はテレビを点けながら言った。
佳子:「あら、美味しい」
マリア:「アリガトウゴザイマス」
宗一郎:「なるほど。ユウタはイリーナ先生の御宅に住み込み修行をしているが、いつもこういうのを食べているのか?」
稲生:「う、うん。まあ、そんなところ」
もちろん、作るのはミカエラなどのメイド人形達である。
キッチンメイド役の人形達が、ちゃんと控えている。
ミカエラとクラリスは、その中でもハウスキーパー(メイド長)の地位にある。
ミカエラがメイド長で、クラリスが副長といったところ。
佳子:「イリーナ先生の御宅は、すっごいお屋敷なんですってね」
稲生:「そ、そりゃあもう……。凄い広い屋敷だから、当然ながらメイドさんとかも沢山いるような所でねぇ……」
宗一郎:「うむうむ。イリーナ先生なら、あり得ることだ」
稲生:(さすがに、僕にも専属メイドが付いているとは言えないなぁ……)
稲生はダニエラの顔を思い浮かべた。
当作品では未公表だが、紆余曲折を経て、今では稲生専属メイドになっている。
指揮系統上はミカエラやクラリスの下にあるのだが、稲生の世話が最優先になる為、時として他のメイドとは違う行動を取ることがある。
〔「……はい、こちらさいたま市中央区にあります火災現場の上空に来ています」〕
宗一郎:「おっ、早速テレビの取材が来ているぞ?何だかヘリが飛んでるなと思ったら、テレビ局のだったか」
〔「……住人の小学1年生の女の子1人が部屋に取り残され、絶望的と思われた状況でしたが、何故か1人でマンションの外に避難していた所を発見され、無事に保護されました」〕
宗一郎:「おお、それは良かったなぁ……」
〔「……女の子は無我夢中で避難してきたと思われ、精神状態に不安定な所があるものの、軽いやけどで済んでおり、病院で手当てを受けております」「長谷川さん、スタジオの福田です」「はい」「精神的に不安定というのは、火災に遭った恐怖からだと思われますが、具体的にどんな感じなのでしょうか?」「……はい。母親と無事合流した少女は、『魔法使いのお姉ちゃんが助けに来てくれた』と話しており、火災の恐怖から錯乱していたと思われます」「……はい、ありがとうございました」〕
宗一郎:「うーむ……。怖かっただろうなぁ……」
佳子:「そうねぇ。しばらく夢に出て来ちゃうでしょうね」
マリア:「…………」
稲生:(人助けしたのに、何でヒヤヒヤするんだろう……?)
宗一郎:「うちでも火事に気をつけないとな。特にこのダイニングやリビングは、石油ファンヒーターだからな」
佳子:「そうね」
稲生:「僕の部屋はエアコンの暖房だし、マリアさんの部屋はオイルヒーターだから大丈夫だよ。あと、浴室はセラミックファンヒーターだし」
宗一郎:「でも、油断は大敵だ」
稲生:「そうそう。僕、マリアさんを連れて映画観に行くよ」
宗一郎:「新都心のコクーンか?まあ、気を付けて行ってくれ」
稲生:「というわけで、お小遣いw」
宗一郎:「コラ!」
マリア:「うーん……」
ハク人形:「……!……!」
ミク人形:「……!……!」
主人を起こすメイド人形達。
マリア:「……!?」
目が覚めたマリアは、バッとテーブルの上の目覚まし時計を見た。
マリア:「Oh,no!I rise late!(しまった!寝坊した!)」
マリア、慌てて飛び起きる。
マリア:(ユウタの御両親へのイメージが……!)
マリア、急いで着替えて客間を飛び出した。
が、ダイニングに行っても誰もいなかった。
マリア:「???(あれ?何で誰もいないの?)」
マリアが狐につままれた顔をしていると、ようやく2階から誰か降りてくるのが聞こえた。
稲生:「あー、昨夜は大変だったなぁ……。おっ?おはようございます。マリアさん」
マリア:「オハヨウ、ユウタ」
マリアはこの家では、自動通訳魔法を使用不可にしている。
魔法と言っても、それを行使する為の呪文だとか魔法陣とかは必要無い。
魔法具を使えば良いのだ。
マリアが使用しているものは、ビー玉サイズ……ラムネの瓶に入っていそうな見た目の小さな水晶球がそれであった。
時々切れたりするので、稲生は『ビー玉型ポケットWi-Fi』と呼んでいるかどうかは、【お察しください】。
稲生:「あれ?まだ母さん達、起きてないんだ。まあ、昨夜は変な時間に起こされましたからねぇ……」
マリア:「私、一番乗リ?」
稲生:「そういうことになりますねぇ……。まあ、いいや。そのうち、起きて来るでしょう」
マリア:「!」
その時、マリアは良い事を思いついた顔をした。
パチンと指を鳴らすと、人形形態だったミク人形とハク人形が人間形態になる。
マリア:「今から朝食の支度して」
マリアがメイド人形達に命令すると、2体のそれが恭しく頷いた。
稲生:「あー、僕、顔を洗って来ますから」
マリア:「Me,too!(私も!)」
稲生:(あっ、いけない。つい、日本語で言っちゃった。それにしてもマリアさん、自動通訳無しで、どこまで日本語が分かるんだろう?)
少なくとも、今の稲生の日本語は通じたようである。
それから30分後……。
佳子:「おはよう。ごめんなさい。朝寝坊しちゃったわ」
宗一郎:「まあ、どうせ年末休みだからいいんだけどね。今日に限っては仕方が無い。昨夜は向かいのマンションの火事で、大騒ぎだったからなぁ……」
佳子:「あら、いい匂い?」
マリア:「オハヨウゴザイマス。朝食ノ用意ガ出来テオリマス」
宗一郎:「なにっ!?マリアさんが作ったのか!?」
マリア:「ハイ」
佳子:「あらぁ、マリアさんはお客様なんだから、何もしてなくていいのよ?」
マリア:「イイエ」
マリア、急いで人形形態に戻したミカエラとクラリスを後ろに抱えて隠している。
宗一郎:「ベーコンエッグにソーセージ、焼きトマト……イングリッシュ・ブレックファーストだな」
稲生:「マリアさんはイギリス人だから」
もっとも、イギリスでも地域による。
アイルランドやスコットランドでは、もう少し簡素なものになるらしい。
稲生:「なかなかの好評のようですよ?」
マリア:「そのようだ」
宗一郎:「それでは、早速頂くことにしよう」
宗一郎はテレビを点けながら言った。
佳子:「あら、美味しい」
マリア:「アリガトウゴザイマス」
宗一郎:「なるほど。ユウタはイリーナ先生の御宅に住み込み修行をしているが、いつもこういうのを食べているのか?」
稲生:「う、うん。まあ、そんなところ」
もちろん、作るのはミカエラなどのメイド人形達である。
キッチンメイド役の人形達が、ちゃんと控えている。
ミカエラとクラリスは、その中でもハウスキーパー(メイド長)の地位にある。
ミカエラがメイド長で、クラリスが副長といったところ。
佳子:「イリーナ先生の御宅は、すっごいお屋敷なんですってね」
稲生:「そ、そりゃあもう……。凄い広い屋敷だから、当然ながらメイドさんとかも沢山いるような所でねぇ……」
宗一郎:「うむうむ。イリーナ先生なら、あり得ることだ」
稲生:(さすがに、僕にも専属メイドが付いているとは言えないなぁ……)
稲生はダニエラの顔を思い浮かべた。
当作品では未公表だが、紆余曲折を経て、今では稲生専属メイドになっている。
指揮系統上はミカエラやクラリスの下にあるのだが、稲生の世話が最優先になる為、時として他のメイドとは違う行動を取ることがある。
〔「……はい、こちらさいたま市中央区にあります火災現場の上空に来ています」〕
宗一郎:「おっ、早速テレビの取材が来ているぞ?何だかヘリが飛んでるなと思ったら、テレビ局のだったか」
〔「……住人の小学1年生の女の子1人が部屋に取り残され、絶望的と思われた状況でしたが、何故か1人でマンションの外に避難していた所を発見され、無事に保護されました」〕
宗一郎:「おお、それは良かったなぁ……」
〔「……女の子は無我夢中で避難してきたと思われ、精神状態に不安定な所があるものの、軽いやけどで済んでおり、病院で手当てを受けております」「長谷川さん、スタジオの福田です」「はい」「精神的に不安定というのは、火災に遭った恐怖からだと思われますが、具体的にどんな感じなのでしょうか?」「……はい。母親と無事合流した少女は、『魔法使いのお姉ちゃんが助けに来てくれた』と話しており、火災の恐怖から錯乱していたと思われます」「……はい、ありがとうございました」〕
宗一郎:「うーむ……。怖かっただろうなぁ……」
佳子:「そうねぇ。しばらく夢に出て来ちゃうでしょうね」
マリア:「…………」
稲生:(人助けしたのに、何でヒヤヒヤするんだろう……?)
宗一郎:「うちでも火事に気をつけないとな。特にこのダイニングやリビングは、石油ファンヒーターだからな」
佳子:「そうね」
稲生:「僕の部屋はエアコンの暖房だし、マリアさんの部屋はオイルヒーターだから大丈夫だよ。あと、浴室はセラミックファンヒーターだし」
宗一郎:「でも、油断は大敵だ」
稲生:「そうそう。僕、マリアさんを連れて映画観に行くよ」
宗一郎:「新都心のコクーンか?まあ、気を付けて行ってくれ」
稲生:「というわけで、お小遣いw」
宗一郎:「コラ!」