[3月13日10:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
鈴木:「お世話になりました」
オーナー:「鈴木さん、いつもありがとうございます」
鈴木はチェックアウトの為、フロントに立ち寄った。
部屋の鍵をオーナーに渡す。
鈴木:「エレーナは部屋にいないんですか?」
オーナー:「いますよ。鈴木さんが帰られたことは、ちゃんとお伝えしておきます」
鈴木:「直接言いたかったのになぁ……」
オーナー:「申し訳無いですね。……あ、これからどこかへお出かけですか?」
鈴木:「稲生先輩が帰省されたみたいなんで、ちょっと遊びに行ってみようかなと。マリアさんもいらっしゃるみたいですしねぇ……」
すると、フロントの電話が鳴り出した。
オーナー:「あ、少々お待ちください。……はい、フロント。……ああ、鈴木さんならいらっしゃるよ」
鈴木:「!」
オーナー:「……そうか、分かった。だがキミ、今日は夜勤だぞ?……それならいいが。……ああ、分かった。伝えておく」
オーナーは電話を切った。
オーナー:「鈴木さん、エレーナがここで待つようにとのことです。お時間ございますか?」
鈴木:「無職をナメちゃいけませんよ〜」
宿泊者カードに記載する際、職業欄に堂々と『無職』と書く鈴木。
鈴木:「但し、もう少しで無職じゃなくなりますけどね」
オーナー:「それはつまり……」
するとその時、エレベーターのドアが開いた。
エレーナ:「鈴木っ!」
鈴木:「エレーナ」
エレーナ:「稲生氏の家に行っちゃダメ!」
鈴木:「えっ、どうして?」
エレーナ:「どうしても!」
鈴木:「俺が同門の先輩の所へ行くのは勝手だろ?」
エレーナ:「ダンテ一門では許されないこともあるの!」
鈴木:「俺は日蓮正宗のことを言ってるんだよ」
エレーナ:「アンタがヒマで稲生氏の家に行くというのなら、アタシが付き合うから」
鈴木:「ほんと!?」
エレーナ:「その代わり、デート費用は全部アンタ持ちな?」
鈴木:「オケっ!」
エレーナ:「オーナー、マルファ先生達は?」
オーナー:「ああ。もうチェックアウトされたよ。ご要望があったので、タクシーを呼んで差し上げた」
エレーナ:「分かりました」
鈴木:「なになに?」
エレーナ:「昨夜、シンシアがいただろ?」
鈴木:「ああ、あの金髪ポニテのコ……。顔色すっごい悪かったけど、大丈夫か?」
エレーナ:「顔色のいい魔女なんていないから」
鈴木:「え、でもエレーナは顔色いいよ?」
エレーナ:「アタシは魔女じゃなくて魔道師!」
鈴木:「違いがよく分からん。同じ魔法使いだろう?」
エレーナ:「そうなんだけど……。とにかく、稲生氏の家に今日は出入り禁止だ。どこへ行く?」
鈴木:「やっぱアキバかなぁ……」
エレーナ:「よし。一緒に行こう。じゃあ、行ってきます」
オーナー:「ああ。気を付けて。時間までには戻って来るように」
エレーナ:「了解です」
エレーナと鈴木はホテルを出た。
鈴木:「どういうことなんだよ?稲生先輩の家に行っちゃダメって……」
エレーナ:「私とアンタがこうして一緒に出掛けようする時、稲生氏が来たらどう思う?」
鈴木:「デートの邪魔……あ、そういうことか!」
エレーナ:「帰省というのはプライベートなんだから、向こうも2人っきりにしてやろうぜ」
鈴木:「了解了解、俺達はアキバに行こう。アキバで2人と会ったりしてな?」
エレーナ:「どうだかねぇ……」
エレーナは今朝、既に予知していた。
エレーナ:(今頃奴らは、羽田空港からバスに乗って首都高の上だな。稲生氏の家の最寄り駅で降りて、そこから家に向かうと……)
鈴木:「都営新宿線で岩本町駅まで行けば、アキバは近いぞ」
エレーナ:「いつも通りだな」
エレーナは頷いた。
エレーナ:(今日は平日。稲生氏の両親は共働きで、平日は夕方まで誰も家にいない。ということは、だ。『女の味』を知った稲生氏と、『男の美味さ』を知ったマリアンナがそういう状況でやることと言ったら……)
鈴木:「明日はホワイトデーだ。もし良かったら、今日前倒しでプレゼントしてもいいぞ?」
エレーナ:「さすが鈴木!太っ腹だぜぇ〜!それじゃ、チャイニーズもビックリの爆買いをさせてもらおうかな?」
鈴木:「あ、ゴメン。プレゼントする内容はもう決めてあるんだ。デザインとかはエレーナが決めて」
エレーナ:「は?」
鈴木:「これからアキバのランジェリーショップに行くから。是非一度、カップルとして入ってみたかったんだ
」
エレーナ:「あるんかい!」
鈴木:「コスプレ衣装の一環としてね」
エレーナ:「その思考はキモいけど、ま、こっちは金出してもらうんだからな」
鈴木:「そういうことだよ。じゃ、決まりだな。こんなカワイイ金髪ギャル魔女とデートできて功徳〜〜〜〜!!」
エレーナ:「ちょっと待て。真ん中の『ギャル』は余計だぜ?ああ?」
鈴木:「エレーナ、既に魔女のコスプレしてるから、コスプレショップにも堂々と入って行けるぞー」
エレーナ:「コスプレじゃなくて、本物だっつの!」
尚、さすがにとんがり帽子は某教会の魔女狩り軍団に見つけてもらうも同然なので、それはさすがに被っていない。
代わりに中折れ帽子を被っている。
エレーナ:「ああ、そうそう。私、今日は午後から仕事だから、昼飯食ったら帰らせてもらうよ」
鈴木:「分かったよ。稲生先輩の家に行くのは、その後で」
エレーナ:「オマエなぁ……」
エレーナは呆れたが……。
エレーナ:(ま、お楽しみは昼過ぎまでにしておくんだな。後で鈴木が向かうことくらい、サービスで稲生氏に教えてやるか)
マリアに教える気は無いエレーナだった。
鈴木:「魔女達も春休みとかあるの?」
エレーナ:「無いけど、今日は偉い先生が来日されてるんだ。だから皆、日本に集まって来てるんだよ」
鈴木:「そうなのか。それで東京に?」
エレーナ:「いくら偉い先生っつっても、来日には飛行機で来られる。それが羽田空港に着くってんで、それで稲生氏達は出迎えの為に上京したってことさ」
鈴木:「そうなのか」
エレーナ:「まあ、その先生も日帰りってことはなくてだな、何日間か滞在されるから、稲生氏達にとってはいい帰省の口実だぜ」
鈴木:「なるほどな。エレーナはいいのか?」
エレーナ:「私は下っ端だから、そんな偉い先生の元に馳せ参じる権利すら無いぜ」
本当は任意であるのだが、それは内緒である。
エレーナ:「まあ、あんたの宗派で言えば、管長猊下様が来られるくらいの勢いだぜ」
鈴木:「それは分かりやすい!」
本当に分かりやすい。
鈴木:「お世話になりました」
オーナー:「鈴木さん、いつもありがとうございます」
鈴木はチェックアウトの為、フロントに立ち寄った。
部屋の鍵をオーナーに渡す。
鈴木:「エレーナは部屋にいないんですか?」
オーナー:「いますよ。鈴木さんが帰られたことは、ちゃんとお伝えしておきます」
鈴木:「直接言いたかったのになぁ……」
オーナー:「申し訳無いですね。……あ、これからどこかへお出かけですか?」
鈴木:「稲生先輩が帰省されたみたいなんで、ちょっと遊びに行ってみようかなと。マリアさんもいらっしゃるみたいですしねぇ……」
すると、フロントの電話が鳴り出した。
オーナー:「あ、少々お待ちください。……はい、フロント。……ああ、鈴木さんならいらっしゃるよ」
鈴木:「!」
オーナー:「……そうか、分かった。だがキミ、今日は夜勤だぞ?……それならいいが。……ああ、分かった。伝えておく」
オーナーは電話を切った。
オーナー:「鈴木さん、エレーナがここで待つようにとのことです。お時間ございますか?」
鈴木:「無職をナメちゃいけませんよ〜」
宿泊者カードに記載する際、職業欄に堂々と『無職』と書く鈴木。
鈴木:「但し、もう少しで無職じゃなくなりますけどね」
オーナー:「それはつまり……」
するとその時、エレベーターのドアが開いた。
エレーナ:「鈴木っ!」
鈴木:「エレーナ」
エレーナ:「稲生氏の家に行っちゃダメ!」
鈴木:「えっ、どうして?」
エレーナ:「どうしても!」
鈴木:「俺が同門の先輩の所へ行くのは勝手だろ?」
エレーナ:「ダンテ一門では許されないこともあるの!」
鈴木:「俺は日蓮正宗のことを言ってるんだよ」
エレーナ:「アンタがヒマで稲生氏の家に行くというのなら、アタシが付き合うから」
鈴木:「ほんと!?」
エレーナ:「その代わり、デート費用は全部アンタ持ちな?」
鈴木:「オケっ!」

エレーナ:「オーナー、マルファ先生達は?」
オーナー:「ああ。もうチェックアウトされたよ。ご要望があったので、タクシーを呼んで差し上げた」
エレーナ:「分かりました」
鈴木:「なになに?」
エレーナ:「昨夜、シンシアがいただろ?」
鈴木:「ああ、あの金髪ポニテのコ……。顔色すっごい悪かったけど、大丈夫か?」
エレーナ:「顔色のいい魔女なんていないから」
鈴木:「え、でもエレーナは顔色いいよ?」
エレーナ:「アタシは魔女じゃなくて魔道師!」
鈴木:「違いがよく分からん。同じ魔法使いだろう?」
エレーナ:「そうなんだけど……。とにかく、稲生氏の家に今日は出入り禁止だ。どこへ行く?」
鈴木:「やっぱアキバかなぁ……」
エレーナ:「よし。一緒に行こう。じゃあ、行ってきます」
オーナー:「ああ。気を付けて。時間までには戻って来るように」
エレーナ:「了解です」
エレーナと鈴木はホテルを出た。
鈴木:「どういうことなんだよ?稲生先輩の家に行っちゃダメって……」
エレーナ:「私とアンタがこうして一緒に出掛けようする時、稲生氏が来たらどう思う?」
鈴木:「デートの邪魔……あ、そういうことか!」
エレーナ:「帰省というのはプライベートなんだから、向こうも2人っきりにしてやろうぜ」
鈴木:「了解了解、俺達はアキバに行こう。アキバで2人と会ったりしてな?」
エレーナ:「どうだかねぇ……」
エレーナは今朝、既に予知していた。
エレーナ:(今頃奴らは、羽田空港からバスに乗って首都高の上だな。稲生氏の家の最寄り駅で降りて、そこから家に向かうと……)
鈴木:「都営新宿線で岩本町駅まで行けば、アキバは近いぞ」
エレーナ:「いつも通りだな」
エレーナは頷いた。
エレーナ:(今日は平日。稲生氏の両親は共働きで、平日は夕方まで誰も家にいない。ということは、だ。『女の味』を知った稲生氏と、『男の美味さ』を知ったマリアンナがそういう状況でやることと言ったら……)
鈴木:「明日はホワイトデーだ。もし良かったら、今日前倒しでプレゼントしてもいいぞ?」
エレーナ:「さすが鈴木!太っ腹だぜぇ〜!それじゃ、チャイニーズもビックリの爆買いをさせてもらおうかな?」
鈴木:「あ、ゴメン。プレゼントする内容はもう決めてあるんだ。デザインとかはエレーナが決めて」
エレーナ:「は?」
鈴木:「これからアキバのランジェリーショップに行くから。是非一度、カップルとして入ってみたかったんだ

エレーナ:「あるんかい!」
鈴木:「コスプレ衣装の一環としてね」
エレーナ:「その思考はキモいけど、ま、こっちは金出してもらうんだからな」
鈴木:「そういうことだよ。じゃ、決まりだな。こんなカワイイ金髪ギャル魔女とデートできて功徳〜〜〜〜!!」
エレーナ:「ちょっと待て。真ん中の『ギャル』は余計だぜ?ああ?」
鈴木:「エレーナ、既に魔女のコスプレしてるから、コスプレショップにも堂々と入って行けるぞー」
エレーナ:「コスプレじゃなくて、本物だっつの!」
尚、さすがにとんがり帽子は某教会の魔女狩り軍団に見つけてもらうも同然なので、それはさすがに被っていない。
代わりに中折れ帽子を被っている。
エレーナ:「ああ、そうそう。私、今日は午後から仕事だから、昼飯食ったら帰らせてもらうよ」
鈴木:「分かったよ。稲生先輩の家に行くのは、その後で」
エレーナ:「オマエなぁ……」
エレーナは呆れたが……。
エレーナ:(ま、お楽しみは昼過ぎまでにしておくんだな。後で鈴木が向かうことくらい、サービスで稲生氏に教えてやるか)
マリアに教える気は無いエレーナだった。
鈴木:「魔女達も春休みとかあるの?」
エレーナ:「無いけど、今日は偉い先生が来日されてるんだ。だから皆、日本に集まって来てるんだよ」
鈴木:「そうなのか。それで東京に?」
エレーナ:「いくら偉い先生っつっても、来日には飛行機で来られる。それが羽田空港に着くってんで、それで稲生氏達は出迎えの為に上京したってことさ」
鈴木:「そうなのか」
エレーナ:「まあ、その先生も日帰りってことはなくてだな、何日間か滞在されるから、稲生氏達にとってはいい帰省の口実だぜ」
鈴木:「なるほどな。エレーナはいいのか?」
エレーナ:「私は下っ端だから、そんな偉い先生の元に馳せ参じる権利すら無いぜ」
本当は任意であるのだが、それは内緒である。
エレーナ:「まあ、あんたの宗派で言えば、管長猊下様が来られるくらいの勢いだぜ」
鈴木:「それは分かりやすい!」
本当に分かりやすい。