[3月13日18:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]
寿司屋:「毎度ー、報恩寿司です」
稲生勇太:「はーい」
勇太は出前の寿司を取りに行った。
今日はマリアの歓迎会の為、寿司やオードブルを注文している。
稲生宗一郎:「そうですか。今日は偉い先生が御来日で」
マリア:「はい、そうです」
宗一郎:「これはまた、日本語が上手くなりましたなぁ」
マリア:「話すのは何とか上手くなりましたが、まだ文字の方が難しくて……」
宗一郎:「日本語は漢字やら平仮名やら片仮名までありますからな、その気持ちは分かります」
因みに顔文字もまた日本オリジナルらしく、アメリカのCIAが本気でスパイの暗号だと思って調査したらしい。
勇太:「父さん!酒屋さんも来たよ!お金ちょうだい!」
宗一郎:「ほら、財布ごと持ってけ」
稲生は大きな寿司桶をテーブルの上に置いた。
宗一郎:「確か生魚は苦手でしたね。オードブルも、もうすぐ届くと思うので、それで……」
マリア:「いいえ。チャレンジしてみます」
宗一郎:「無理しなくていいんですよ」
マリア:「少しずつトラウマを解消して行きたいんです」
宗一郎:「素晴らしい向上心だ。しかし、アレルギーの場合は別ですよ?」
マリア:「大丈夫です。アレルギーではありませんので」
宗一郎:「それならいいんですが……」
また勇太が両手に酒瓶抱えてダイニングにやってくる。
勇太:「はい、ワインとビール!あとは……」
宗一郎:「ああ、適当に置いてくれ」
ピンポーン♪
勇太:「今度はオードブル来たーっ!」キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!(←これがCIAにはスパイの暗号に見えるらしい)
宗一郎:「騒がしいヤツめ」
稲生佳子:「一気に注文したものだから、一気に来ましたねー」
宗一郎:「そりゃそうだろ。到着時間指定まで一緒にしたんだから」
マリア:(やっぱり勇太のダディだわ……)
今度は両手にオードルブルの載った大皿を持って来た稲生。
勇太:「到着です!」
宗一郎:「よし。じゃあ、早速食べよう」
グラスにワインやビールを注ぐ。
そして、皆で乾杯。
勇太:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。頂きます」
宗一郎:「相変わらず、信心深いヤツだな」
勇太:「父さん達はいつ御受誡してくれるの?」
宗一郎:「そうだなぁ……。今度は勇太がキリスト教でも始めて、今度こそ家庭不和にしそうになったら考えるよ」
勇太:「“となりの沖田くん”のネタだね!あれは統一教会だったけど……。その手があったか!」
宗一郎:「いや、本当に実行したら勘当モノだぞ?」
マリア:「ついでにダンテ門流も破門になるぞ」
魔女狩りを過去進行形・現在進行形不問で関わった宗教の信仰は厳禁とされている。
その為、その証拠が無い仏教だけは例外的に認められている。
だから稲生もダンテ一門に入門するに当たり、日蓮正宗の信仰を禁止されることは無かったのだが……。
勇太:「それは困ります!僕の信仰は日蓮大聖人一筋ですって……」
マリア:(どうしてブッダだけはOKなのかも疑問なんだが……)
ダンテの姿は褐色肌のアジア系だという。
つまり、仏教圏の国と深く関わっているからだと言われるが……。
宗一郎:「マリアさん、イリーナ先生はこちらに寄られるの?」
マリア:「あ、はい。そのつもりです。大師匠様がいつ日本を出発されるか分からないので、それを教えてもらうことになっています」
宗一郎:「そうなのか」
勇太:「あ、補足補足。出発予定日は聞いてるんだけど、どの飛行機に乗るかまでは聞いてないから、それを教えてもらおうかと思って」
宗一郎:「そういうことか」
勇太:「先生もこちらに寄られるよ。なに?また占いしてもらうの?株価?」
宗一郎:「内緒だよ。それにしてもマリアさんは、会う度に日本語は上手くなっても、体は大きくならないねぇ……」
佳子:「そういうこと言っちゃ失礼でしょ」
マリア:「結構です。事実ですから」
佳子:「でも、少しだけ背が伸びた気はするわ」
宗一郎:「そうだねぇ……」
佳子:「マリアさんはおいくつになったの?」
マリア:「あ、えーと……それは……」
宗一郎:「おいおい、欧米では女性に歳を聞くのは失礼なんだ。佳子も人のことは言えないぞ」
佳子:「あら、ごめんなさい」
稲生:(魔の者と北海道で戦った時、マリアさんは実年齢25歳になったはず。あれから、何年経ったんだ?)
魔道師の肉体の成長並びに老化は極端に遅い。
今の体を200年から300年くらい使うほどだという。
これをダンテ一門では『耐用年数』と呼んでいる。
まるで機械のようだ。
稲生:(いずれは父さん達に、魔道師のからくりを話さないといけないな)
多分、日蓮正宗の折伏より強い怨嫉が待っていることだろう。
しかし、どうしようもない。
[同日20:00.天候:晴 稲生家]
佳子:「あら?マリアさん、1階のお風呂に入ったの?」
勇太:「そ、そうなんだ。たまには普通のお風呂に入りたいって」
勇太は何故か動揺しながら答えた。
マリアは2階のシャワールームを気に入って使っていた。
それは勇太の部屋の、ほぼ真向いにある。
元々はトイレの横に設置されていた洗面台があった場所だった。
過去に妖狐の威吹が逗留している間、威吹と敵対する妖怪や勇太の霊力を狙う妖怪の脅威に晒された稲生家。
その対策として洗面台をシャワールームに改装する必要に迫られる事態に陥ったことがあり、その名残である(その経緯については省略する。まあ、“ゲゲゲの鬼太郎”辺りで取り上げられてそうなネタだ)。
母親にそう答えた勇太は、そそくさと2階に上がった。
そして、シャワールームを開ける。
そこは使った形跡があった。
勇太:(危ない危ない。マリアと一緒に使ったのがバレるところだったよ……)
意味は【お察しください】。
と、そこへ勇太のスマホに着信が入る。
勇太:「はい、もしもし?」
電話に出ながら部屋に入った。
鈴木:「稲生先輩、鈴木です」
勇太:「あー、鈴木君、久しぶり。なに?4月から都内の電子専門学校に入るんだって?これで『職業:無職』から『職業:専門学校生』って書けそうだね」
鈴木:「おかげさまで。エレーナと付き合うにも無職男じゃカッコ悪いんで、親に頼んで通わせてもらうことにしましたよ」
勇太:「で、卒業後はSEかゲームクリエイターってところかい?」
鈴木:「一応そのつもりです」
勇太:「キミは元々パソコンのスキルがずば抜けて高いんだから、専門学校に通わなくても大丈夫だと思うけどね?」
鈴木:「モラトリアム期間ですよ。ニートがいきなり就職して上手く行くはずがないと思って。猶予期間として、学生の期間を設けようと思ったんです」
勇太:「なるほど。専門学校だと2年間?」
鈴木:「そうです。先輩の大卒学歴には足元にも及びませんけど……」
勇太:「いや、いいんだよ。魔道師の世界は、別に大卒の学歴なんて必要無いんだから」
鈴木:「それで先輩、用件ですが……」
勇太:「おー、そうだ。何の用だい?」
鈴木:「先輩の通ってた東京中央学園上野高校に伝わっている『飴玉婆さん』について知っていることを教えてもらえませんか?」
勇太:「何だって?」
寿司屋:「毎度ー、報恩寿司です」
稲生勇太:「はーい」
勇太は出前の寿司を取りに行った。
今日はマリアの歓迎会の為、寿司やオードブルを注文している。
稲生宗一郎:「そうですか。今日は偉い先生が御来日で」
マリア:「はい、そうです」
宗一郎:「これはまた、日本語が上手くなりましたなぁ」
マリア:「話すのは何とか上手くなりましたが、まだ文字の方が難しくて……」
宗一郎:「日本語は漢字やら平仮名やら片仮名までありますからな、その気持ちは分かります」
因みに顔文字もまた日本オリジナルらしく、アメリカのCIAが本気でスパイの暗号だと思って調査したらしい。
勇太:「父さん!酒屋さんも来たよ!お金ちょうだい!」
宗一郎:「ほら、財布ごと持ってけ」
稲生は大きな寿司桶をテーブルの上に置いた。
宗一郎:「確か生魚は苦手でしたね。オードブルも、もうすぐ届くと思うので、それで……」
マリア:「いいえ。チャレンジしてみます」
宗一郎:「無理しなくていいんですよ」
マリア:「少しずつトラウマを解消して行きたいんです」
宗一郎:「素晴らしい向上心だ。しかし、アレルギーの場合は別ですよ?」
マリア:「大丈夫です。アレルギーではありませんので」
宗一郎:「それならいいんですが……」
また勇太が両手に酒瓶抱えてダイニングにやってくる。
勇太:「はい、ワインとビール!あとは……」
宗一郎:「ああ、適当に置いてくれ」
ピンポーン♪
勇太:「今度はオードブル来たーっ!」キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!(←これがCIAにはスパイの暗号に見えるらしい)
宗一郎:「騒がしいヤツめ」
稲生佳子:「一気に注文したものだから、一気に来ましたねー」
宗一郎:「そりゃそうだろ。到着時間指定まで一緒にしたんだから」
マリア:(やっぱり勇太のダディだわ……)
今度は両手にオードルブルの載った大皿を持って来た稲生。
勇太:「到着です!」
宗一郎:「よし。じゃあ、早速食べよう」
グラスにワインやビールを注ぐ。
そして、皆で乾杯。
勇太:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。頂きます」
宗一郎:「相変わらず、信心深いヤツだな」
勇太:「父さん達はいつ御受誡してくれるの?」
宗一郎:「そうだなぁ……。今度は勇太がキリスト教でも始めて、今度こそ家庭不和にしそうになったら考えるよ」
勇太:「“となりの沖田くん”のネタだね!あれは統一教会だったけど……。その手があったか!」
宗一郎:「いや、本当に実行したら勘当モノだぞ?」
マリア:「ついでにダンテ門流も破門になるぞ」
魔女狩りを過去進行形・現在進行形不問で関わった宗教の信仰は厳禁とされている。
その為、その証拠が無い仏教だけは例外的に認められている。
だから稲生もダンテ一門に入門するに当たり、日蓮正宗の信仰を禁止されることは無かったのだが……。
勇太:「それは困ります!僕の信仰は日蓮大聖人一筋ですって……」
マリア:(どうしてブッダだけはOKなのかも疑問なんだが……)
ダンテの姿は褐色肌のアジア系だという。
つまり、仏教圏の国と深く関わっているからだと言われるが……。
宗一郎:「マリアさん、イリーナ先生はこちらに寄られるの?」
マリア:「あ、はい。そのつもりです。大師匠様がいつ日本を出発されるか分からないので、それを教えてもらうことになっています」
宗一郎:「そうなのか」
勇太:「あ、補足補足。出発予定日は聞いてるんだけど、どの飛行機に乗るかまでは聞いてないから、それを教えてもらおうかと思って」
宗一郎:「そういうことか」
勇太:「先生もこちらに寄られるよ。なに?また占いしてもらうの?株価?」
宗一郎:「内緒だよ。それにしてもマリアさんは、会う度に日本語は上手くなっても、体は大きくならないねぇ……」
佳子:「そういうこと言っちゃ失礼でしょ」
マリア:「結構です。事実ですから」
佳子:「でも、少しだけ背が伸びた気はするわ」
宗一郎:「そうだねぇ……」
佳子:「マリアさんはおいくつになったの?」
マリア:「あ、えーと……それは……」
宗一郎:「おいおい、欧米では女性に歳を聞くのは失礼なんだ。佳子も人のことは言えないぞ」
佳子:「あら、ごめんなさい」
稲生:(魔の者と北海道で戦った時、マリアさんは実年齢25歳になったはず。あれから、何年経ったんだ?)
魔道師の肉体の成長並びに老化は極端に遅い。
今の体を200年から300年くらい使うほどだという。
これをダンテ一門では『耐用年数』と呼んでいる。
まるで機械のようだ。
稲生:(いずれは父さん達に、魔道師のからくりを話さないといけないな)
多分、日蓮正宗の折伏より強い怨嫉が待っていることだろう。
しかし、どうしようもない。
[同日20:00.天候:晴 稲生家]
佳子:「あら?マリアさん、1階のお風呂に入ったの?」
勇太:「そ、そうなんだ。たまには普通のお風呂に入りたいって」
勇太は何故か動揺しながら答えた。
マリアは2階のシャワールームを気に入って使っていた。
それは勇太の部屋の、ほぼ真向いにある。
元々はトイレの横に設置されていた洗面台があった場所だった。
過去に妖狐の威吹が逗留している間、威吹と敵対する妖怪や勇太の霊力を狙う妖怪の脅威に晒された稲生家。
その対策として洗面台をシャワールームに改装する必要に迫られる事態に陥ったことがあり、その名残である(その経緯については省略する。まあ、“ゲゲゲの鬼太郎”辺りで取り上げられてそうなネタだ)。
母親にそう答えた勇太は、そそくさと2階に上がった。
そして、シャワールームを開ける。
そこは使った形跡があった。
勇太:(危ない危ない。マリアと一緒に使ったのがバレるところだったよ……)
意味は【お察しください】。
と、そこへ勇太のスマホに着信が入る。
勇太:「はい、もしもし?」
電話に出ながら部屋に入った。
鈴木:「稲生先輩、鈴木です」
勇太:「あー、鈴木君、久しぶり。なに?4月から都内の電子専門学校に入るんだって?これで『職業:無職』から『職業:専門学校生』って書けそうだね」
鈴木:「おかげさまで。エレーナと付き合うにも無職男じゃカッコ悪いんで、親に頼んで通わせてもらうことにしましたよ」
勇太:「で、卒業後はSEかゲームクリエイターってところかい?」
鈴木:「一応そのつもりです」
勇太:「キミは元々パソコンのスキルがずば抜けて高いんだから、専門学校に通わなくても大丈夫だと思うけどね?」
鈴木:「モラトリアム期間ですよ。ニートがいきなり就職して上手く行くはずがないと思って。猶予期間として、学生の期間を設けようと思ったんです」
勇太:「なるほど。専門学校だと2年間?」
鈴木:「そうです。先輩の大卒学歴には足元にも及びませんけど……」
勇太:「いや、いいんだよ。魔道師の世界は、別に大卒の学歴なんて必要無いんだから」
鈴木:「それで先輩、用件ですが……」
勇太:「おー、そうだ。何の用だい?」
鈴木:「先輩の通ってた東京中央学園上野高校に伝わっている『飴玉婆さん』について知っていることを教えてもらえませんか?」
勇太:「何だって?」