[8月1日14:24.天候:晴 東京都台東区上野 JR上野駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、上野、上野です。低いホーム17番線に到着致します。お出口は、右側です。上野からのお乗り換えをご案内致します。常磐線下り……」〕
私達を乗せた列車は定刻通り、宇都宮線を走行していた。
結局リサは1度もトイレに行くことは無かった。
どうやら、やっと腹具合は良くなったようである。
尚、駆虫剤の効かないリサの回虫だが、下水処理場に流されて、そこで消毒されれば死ぬことが分かっている。
なので、トイレで出しても、流して下水道に送れば問題は無い。
列車や高速バスのトイレはタンクに溜める方式であるが、処理水に消毒剤を使用しており、これで対処も可能であるという。
また、市販の駆虫剤は効かないものの、BSAAにおいて回復薬に指定されているグリーンハーブは駆虫可能という仮説も出ている。
愛原:「リサ、腹は大丈夫か?」
リサ:「うん。むしろ、いっぱい出したせいで少しお腹空いた」
愛原:「食欲があるなら大丈夫だろう」
列車は減速しながら、並走していた山手線や京浜東北線に別れを告げ、下り坂を進む。
上野東京ラインに直通する場合は、線路が繋がっている高いホームに到着するが、上野止まりの場合は低いホームに到着する。
低いホームは頭端式(櫛形)ホームになっており、行き止まりになっているからである。
〔うえの~、上野~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
列車がホームに止まり、ドアが開いた。
ホームに到着自動放送が流れるが、あの有名な『上野おばさん』は引退してしまった。
『上野おばさん』の本名は沢田敏子氏であり、早朝放送のラジオライブラリー“新・人間革命”のナレーションも務めていたことで有名である。
折伏弘通が思うように進まず、苦悩する学会員に対し、主人公の山本伸一が励ますシーンは、かつての顕正会を彷彿とさせるものがある。
高橋:「先生、ここからはどうやって?」
愛原:「タクシーだよ。善場主任が、緊急にリサの検査をするっていうからさ」
リサ:「えーっ!またー!?」
リサはあからさまに嫌な顔をした。
愛原:「そう言うなよ。もしかしたら、オマエの体に変化が起こっているのかもしれないんだから」
リサ:「うぅ……」
リサはガックリとうなだれた。
こういう反応をする限りでは、普通の女の子なのだが……。
高橋:「すると先生、姉ちゃんは前来たみたいに、移動診療車で来るってことですか?」
愛原:「そうかもしれんな」
動物の壁画が描かれていることで有名な中央改札口を出ると、正面口のタクシー乗り場に向かった。
愛原:「早い!善場主任もう着いたって!」
高橋:「マジっスか。じゃあ、あれっスか?事務所の方に行くって感じですか?」
愛原:「うむ。そういうことになるなぁ……」
タクシー乗り場から、客待ちしている個人タクシーに乗った。
愛原:「墨田区の菊川1丁目までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出すと、私は善場主任に再びメールを送った。
すぐに返信があって、『慌てなくて良いので、安全最優先に来てください』とのことだった。
[同日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
前回はビルの正面入口のある新大橋通り上でタクシーを降りたが、今回は駐車場のある反対側に着けてもらった。
すると案の定、駐車場には2トントラックタイプの救急車が止まっていた。
しかしその救急車は、東京消防庁のものではない。
愛原:「領収書お願いします」
運転手:「はい、お待ちください」
私はここでも現金で払い、領収書を受け取った。
善場:「お疲れさまです。愛原所長」
愛原:「お疲れ様です。善場主任」
善場:「今回も、ありがとうございました。特に八王子では、お疲れ様でした」
愛原:「いえいえ。テロリスト確保に協力できて良かったです」
善場:「早速ですが、リサの臨検をしたいのですが、よろしいでしょうか」
愛原:「はい。私は構いませんが……」
すると、移動診療車の中から防護服を着た職員が数名降りて来た。
リサ:「うぅ……って!?」
リサはそのうちの1人が持っている、ある物を見て更に青ざめた。
リサ:「何でお浣腸持ってるの!?」
医療技師:「それは医療技師だからです」
リサ:「ワケわかんないよーっ!」
善場:「それではトイレへどうぞ」
日本アンブレラの研究所では、他のリサ・トレヴァー同様、非人道的且つ卑猥な実験を受けさせられたリサであるが、さすがに浣腸は慣れていないもよう。
他にも腹具合が悪くなった経緯などを聞かれた。
善場:「そうですか……。一番怪しいのは、斉藤社長の昼食会で出た料理ですね」
愛原:「でも、私達も同じ物を食べましたけど、何ともありませんよ?絵恋さんにも聞きましたが、特にこれといった異常は今起きていないそうです」
善場:「斉藤社長の家で何か変わったことはありませんでしたか?」
愛原:「私は特に……」
リサ:「あ、そういえば、1階のトイレが珍しく和式だった」
愛原:「和式!?そんなトイレあったか?」
私は首を傾げた。
愛原:「1階のトイレは俺も使わせて頂いたことがあったが、普通の洋式だったぞ?」
高橋:「金持ちの家ですから、トイレがいくつかあるんじゃないスか?」
愛原:「確かにお屋敷ではあるけど、敷地面積の関係で、横は狭いんだよ。といっても、ごく普通の一般家庭の家くらいの広さではあるけどな。だから斉藤家は縦に長い。長いから、エレベーターが付いてるわけだ」
リサ:「地上3階建て、地下1階と屋上付き。屋上以外は各フロアに1つずつトイレがあるってサイトーが言ってた」
愛原:「そうだよな。各フロア1個ずつだよな」
地下室にもトイレがあるのは珍しいが、そのトイレは主に使用人達が使用している。
愛原:「ということは、洋式と和式が2つってことは無いはずなんだが……」
私は首を傾げた。
愛原:「リサは和式トイレ使えたのか?」
リサ:「うん。学校のトイレに和式はまだあるし、それに、アンブレラの研究所じゃ、よく和式トイレ使わされたから」
愛原:「えっ、どうして?」
善場:「和式トイレの方が、採尿や採便しやすいからですね」
善場主任もまたリサ・トレヴァーだった人である。
幸い彼女は人体改造されてからすぐにBSAAに救出された為、食人もしていないし、非人道的実験も受けていない。
善場:「……まさか!?」
そこで善場主任はハッと気づいた。
善場:「愛原所長、すぐに斉藤社長に連絡を取ってください。そして、今リサの言った件について確認してください」
愛原:「わ、分かりました!」
私はすぐに自分のスマホを取り出し、それで斉藤社長のスマホに掛けてみた。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、上野、上野です。低いホーム17番線に到着致します。お出口は、右側です。上野からのお乗り換えをご案内致します。常磐線下り……」〕
私達を乗せた列車は定刻通り、宇都宮線を走行していた。
結局リサは1度もトイレに行くことは無かった。
どうやら、やっと腹具合は良くなったようである。
尚、駆虫剤の効かないリサの回虫だが、下水処理場に流されて、そこで消毒されれば死ぬことが分かっている。
なので、トイレで出しても、流して下水道に送れば問題は無い。
列車や高速バスのトイレはタンクに溜める方式であるが、処理水に消毒剤を使用しており、これで対処も可能であるという。
また、市販の駆虫剤は効かないものの、BSAAにおいて回復薬に指定されているグリーンハーブは駆虫可能という仮説も出ている。
愛原:「リサ、腹は大丈夫か?」
リサ:「うん。むしろ、いっぱい出したせいで少しお腹空いた」
愛原:「食欲があるなら大丈夫だろう」
列車は減速しながら、並走していた山手線や京浜東北線に別れを告げ、下り坂を進む。
上野東京ラインに直通する場合は、線路が繋がっている高いホームに到着するが、上野止まりの場合は低いホームに到着する。
低いホームは頭端式(櫛形)ホームになっており、行き止まりになっているからである。
〔うえの~、上野~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
列車がホームに止まり、ドアが開いた。
ホームに到着自動放送が流れるが、あの有名な『上野おばさん』は引退してしまった。
『上野おばさん』の本名は沢田敏子氏であり、早朝放送のラジオライブラリー“新・人間革命”のナレーションも務めていたことで有名である。
折伏弘通が思うように進まず、苦悩する学会員に対し、主人公の山本伸一が励ますシーンは、かつての顕正会を彷彿とさせるものがある。
高橋:「先生、ここからはどうやって?」
愛原:「タクシーだよ。善場主任が、緊急にリサの検査をするっていうからさ」
リサ:「えーっ!またー!?」
リサはあからさまに嫌な顔をした。
愛原:「そう言うなよ。もしかしたら、オマエの体に変化が起こっているのかもしれないんだから」
リサ:「うぅ……」
リサはガックリとうなだれた。
こういう反応をする限りでは、普通の女の子なのだが……。
高橋:「すると先生、姉ちゃんは前来たみたいに、移動診療車で来るってことですか?」
愛原:「そうかもしれんな」
動物の壁画が描かれていることで有名な中央改札口を出ると、正面口のタクシー乗り場に向かった。
愛原:「早い!善場主任もう着いたって!」
高橋:「マジっスか。じゃあ、あれっスか?事務所の方に行くって感じですか?」
愛原:「うむ。そういうことになるなぁ……」
タクシー乗り場から、客待ちしている個人タクシーに乗った。
愛原:「墨田区の菊川1丁目までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出すと、私は善場主任に再びメールを送った。
すぐに返信があって、『慌てなくて良いので、安全最優先に来てください』とのことだった。
[同日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
前回はビルの正面入口のある新大橋通り上でタクシーを降りたが、今回は駐車場のある反対側に着けてもらった。
すると案の定、駐車場には2トントラックタイプの救急車が止まっていた。
しかしその救急車は、東京消防庁のものではない。
愛原:「領収書お願いします」
運転手:「はい、お待ちください」
私はここでも現金で払い、領収書を受け取った。
善場:「お疲れさまです。愛原所長」
愛原:「お疲れ様です。善場主任」
善場:「今回も、ありがとうございました。特に八王子では、お疲れ様でした」
愛原:「いえいえ。テロリスト確保に協力できて良かったです」
善場:「早速ですが、リサの臨検をしたいのですが、よろしいでしょうか」
愛原:「はい。私は構いませんが……」
すると、移動診療車の中から防護服を着た職員が数名降りて来た。
リサ:「うぅ……って!?」
リサはそのうちの1人が持っている、ある物を見て更に青ざめた。
リサ:「何でお浣腸持ってるの!?」
医療技師:「それは医療技師だからです」
リサ:「ワケわかんないよーっ!」
善場:「それではトイレへどうぞ」
日本アンブレラの研究所では、他のリサ・トレヴァー同様、非人道的且つ卑猥な実験を受けさせられたリサであるが、さすがに浣腸は慣れていないもよう。
他にも腹具合が悪くなった経緯などを聞かれた。
善場:「そうですか……。一番怪しいのは、斉藤社長の昼食会で出た料理ですね」
愛原:「でも、私達も同じ物を食べましたけど、何ともありませんよ?絵恋さんにも聞きましたが、特にこれといった異常は今起きていないそうです」
善場:「斉藤社長の家で何か変わったことはありませんでしたか?」
愛原:「私は特に……」
リサ:「あ、そういえば、1階のトイレが珍しく和式だった」
愛原:「和式!?そんなトイレあったか?」
私は首を傾げた。
愛原:「1階のトイレは俺も使わせて頂いたことがあったが、普通の洋式だったぞ?」
高橋:「金持ちの家ですから、トイレがいくつかあるんじゃないスか?」
愛原:「確かにお屋敷ではあるけど、敷地面積の関係で、横は狭いんだよ。といっても、ごく普通の一般家庭の家くらいの広さではあるけどな。だから斉藤家は縦に長い。長いから、エレベーターが付いてるわけだ」
リサ:「地上3階建て、地下1階と屋上付き。屋上以外は各フロアに1つずつトイレがあるってサイトーが言ってた」
愛原:「そうだよな。各フロア1個ずつだよな」
地下室にもトイレがあるのは珍しいが、そのトイレは主に使用人達が使用している。
愛原:「ということは、洋式と和式が2つってことは無いはずなんだが……」
私は首を傾げた。
愛原:「リサは和式トイレ使えたのか?」
リサ:「うん。学校のトイレに和式はまだあるし、それに、アンブレラの研究所じゃ、よく和式トイレ使わされたから」
愛原:「えっ、どうして?」
善場:「和式トイレの方が、採尿や採便しやすいからですね」
善場主任もまたリサ・トレヴァーだった人である。
幸い彼女は人体改造されてからすぐにBSAAに救出された為、食人もしていないし、非人道的実験も受けていない。
善場:「……まさか!?」
そこで善場主任はハッと気づいた。
善場:「愛原所長、すぐに斉藤社長に連絡を取ってください。そして、今リサの言った件について確認してください」
愛原:「わ、分かりました!」
私はすぐに自分のスマホを取り出し、それで斉藤社長のスマホに掛けてみた。