[8月11日11:00.天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
斉藤社長宅をあとにした私達は、一路、新橋へと向かった。
そして、デイライト東京事務所近くのコインパーキングに車を止めると、その足で事務所に向かった。
すぐに事務所内の応接室に通される。
善場:「大変ご苦労様でした。愛原所長の行動力と洞察力には、目を見張らせて頂きました」
善場主任は相変わらずポーカーフェイスで、私のデジカメを受け取る。
そして、すぐにそのメモリーをノートPCに挿入し、そこからプロジェクターを通して白い壁に画像を映した。
愛原:「最初の画像がエレベーターですね。斉藤社長の御宅は地下1階までしかなく、エレベーターもこの通り、通常は地下1階までのボタンしかありません。しかし……次の画像を」
次の画像は、私がエレベータ鍵で操作盤の蓋を開けた所だった。
愛原:「しかしこの通り、実は地下2階が存在していたのです」
善場:「なるほど。それでは早速、地下2階の画像を見せてください」
愛原:「はい」
私は次の画像を映した。
高橋:「うぉっ!?」
善場:「あっ!」
リサ:「うっ!?」
何故かその場にいた全員が驚きの声を上げる。
その理由は、私も画像を見て分かった。
愛原:「わ、びっくりした!!」
画像にはドアップで、青白い顔の少女が写っていたからである。
愛原:「な、何だこりゃ!?」
善場:「エブリン……ですかね?」
言われてみれば、アメリカのルイジアナ州で現れたとされる新型特異菌BOW少女エブリンに似てなくも無い。
善場:「エブリンみたいな少女と遭遇したのですか?」
愛原:「いえ、全然!誰もいませんでしたよ!なぁ、高橋!?」
高橋:「そ、そうっスね!」
高橋も何が何だか分からないといった感じだった。
あの地下室には、人の気配すらしなかった。
次の画像もそうだった。
今度は、おぞましい化け物が画面をほぼ独占していた。
次の画像はまた別の化け物だったし、その次の画像なんか、白い仮面を着けた日本版リサ・トレヴァーだった。
愛原:「そ、そんなバカな!?」
高橋:「有り得ねーっ!どうなってんだ、一体ェ!?」
私と高橋はただただ混乱するばかりであった。
結局、エレベーター内の画像以外の地下室の画像は、ほぼ撮れていなかったに等しかった。
だが、最初は驚いていたリサも、最後の画像を見て冷静になった。
リサ:「先生達……やられたね」
愛原:「やられた!?」
リサ:「あの地下室……確かに誰かいたと思う」
愛原:「誰かって、誰だ!?」
リサ:「信じられないんだけど、エブリン」
最後に映っていたのは、白い仮面を着けて、セーラー服を着た少女だった。
恐らく、日本版リサ・トレヴァーだろうと思ったが……。
善場:「た、確かに特異菌の中には、対象者に幻覚を見せる物もあるにはありますが……。しかし、特異菌は日本にはサンプルすらありませんよ?」
高橋:「あの社長なら、裏ルートで手に入れられるんじゃねーの?」
善場:「いや、それは無理ですよ」
高橋:「いや、無理じゃねーだろ。コロナ禍で鎖国状態の中、どうしてヴェルトロが日本に入れたよ?しかも銃付きで。日本の入管がザルだからじゃねーの?」
善場:「そ、そんなことはありません……よ」
国家公務員として、同じ国家権力組織のことを疑いたくは無いのだろう。
リサ:「あとねぇ……。私、消えることできるんだよ」
リサはニッと笑った。
愛原:「なに!?どういうことだ!?」
リサは第1形態に戻った。
リサ:「私の目を見て」
愛原:「なに?」
リサの目が赤色に光ったかと思うと、それに吸い込まれるように視界が赤く染まって行き……。
善場:「勝手に部屋を出ないで!」
気が付くと隣に座っていたはずのリサはいつの間にか消えていたが、善場主任の声でハッとドアの方を向いた。
リサはドアの前にいた。
愛原:「こ、これは一体……!?」
善場:「催眠術の1つですよ。私も使えました。私の場合は、こちらの目を見て頂く必要がありましたが……」
善場主任は前髪をかき上げた。
すると、彼女の額の所に赤黒い痣があるのに気付いた。
普段はファウンデーションで誤魔化している。
善場:「私がリサ・トレヴァーだった頃、ここに『第三の目』がありました。それを見た獲物は、私が忽然と消えたように見えたそうです」
人間に戻る際、第三の目は失われ、しかし後遺症として痣が残った。
リサ:「『12番』の善場さんだけだと思う。それ……」
愛原:「じゃあ、私達が催眠術に掛けられて、本当はあの地下室には化け物がうようよいたのに、無人のように思わされていたと?」
リサ:「多分、他の化け物達はただの幻。カメラにも写ってしまうほどの幻。本物は……このリサ・トレヴァーまたはエブリン」
愛原:「だけど、誰かの目なんて見なかったぞ?」
リサ:「いや、見たと思う」
愛原:「いや、マジで地下室で誰かの目なんて見なかったって」
リサ:「誰が、地下室でなんて言った?」
愛原:「地下室じゃない!?」
リサ:「その前は誰の目を見た?」
愛原:「えーと……」
高橋:「あのレズガキです!先生!」
愛原:「あっ!」
絵恋さんはリサを連れて行く時、私と高橋の目を見ていた。
愛原:「バカな!絵恋さんがエブリンだと!?」
カメラの画像とリサが持つスマホの画像を見比べてみた。
リサのスマホには、絵恋さんが写っている。
愛原:「確かに、リサより背が高いような気がする……」
絵恋さんはリサより背が高い。
スポーツをやっているからというのもあるが、リサの成長が遅いというのも理由だ。
それは、せっかく摂取した栄養が肉体の成長ではなく、BOWの力の維持や変化に使われるからだとされている。
高橋:「先生。あのレズガキ、締め上げましょうや。いざとなったら、『強制的にレズビアンを矯正』してやりましょう」
平たく言えば、レズビアンたる絵恋さんを高橋の知り合いの男達が輪姦(まわ)すという意味である。
愛原:「待て待て。リサ、俺達が地下にいる間、オマエは絵恋さんと一緒だったんだよな?」
リサ:「それが、サイトーのヤツ、途中でトイレに行ったの。私は私で、ゲームに夢中だったから……」
愛原:「主任、絵恋さんの体内にあったウィルスとかは除去したんじゃ?」
リサ:「ウィルスは除去しましたが、特異菌については何もしていません。まさか、特異菌に感染しているとは思いもしなかったので……」
愛原:「でしたら、急いで絵恋さんを調べましょう」
善場:「すぐにBSAAより、検査キットを取り寄せます」
特異菌の感染状況は、症状が出ていない限り、専用の検査キットでないと分からないという。
高橋:「リサ、今度あいつに会ったら、軽くシメとけ」
リサ:「うん、分かった。私の寄生虫に感染させて、3日間下痢を楽しんでもらう」
高橋:「教室でお漏らしとかもよろしく頼むぜ」
リサ:「うん、分かったっ!」
愛原:「オマエらなぁ……」
しかし、日本にはまだ無いはずの特異菌の影がちらついたというのは……。
愛原:「主任、その検査キットはどのくらいで届きますか?」
善場:「今日発注して、来週には届くと思います」
高橋:「そんなに掛かるのかよ!」
善場:「BSAA極東支部にようやく保管されているくらいなのです。日本地区本部にはありません」
愛原:「リサ。ゲームを返す約束はいつにしている?」
リサ:「いつでもいいって言われたからしていない」
善場:「分かりました。では、こうしましょう。検査キットが届き次第、あなたはゲームを返すという口実で、再び彼女と会ってください」
リサ:「分かった」
高橋:「そこで乗り込んで、強制的に検査ってか」
善場:「ついでに皆さんにも受けて頂きますから」
高橋:「え?」
善場:「皆さんも感染している恐れがありますのでね」
愛原:「ぅあちゃ~。そうかぁ……」
斉藤社長宅をあとにした私達は、一路、新橋へと向かった。
そして、デイライト東京事務所近くのコインパーキングに車を止めると、その足で事務所に向かった。
すぐに事務所内の応接室に通される。
善場:「大変ご苦労様でした。愛原所長の行動力と洞察力には、目を見張らせて頂きました」
善場主任は相変わらずポーカーフェイスで、私のデジカメを受け取る。
そして、すぐにそのメモリーをノートPCに挿入し、そこからプロジェクターを通して白い壁に画像を映した。
愛原:「最初の画像がエレベーターですね。斉藤社長の御宅は地下1階までしかなく、エレベーターもこの通り、通常は地下1階までのボタンしかありません。しかし……次の画像を」
次の画像は、私がエレベータ鍵で操作盤の蓋を開けた所だった。
愛原:「しかしこの通り、実は地下2階が存在していたのです」
善場:「なるほど。それでは早速、地下2階の画像を見せてください」
愛原:「はい」
私は次の画像を映した。
高橋:「うぉっ!?」
善場:「あっ!」
リサ:「うっ!?」
何故かその場にいた全員が驚きの声を上げる。
その理由は、私も画像を見て分かった。
愛原:「わ、びっくりした!!」
画像にはドアップで、青白い顔の少女が写っていたからである。
愛原:「な、何だこりゃ!?」
善場:「エブリン……ですかね?」
言われてみれば、アメリカのルイジアナ州で現れたとされる新型特異菌BOW少女エブリンに似てなくも無い。
善場:「エブリンみたいな少女と遭遇したのですか?」
愛原:「いえ、全然!誰もいませんでしたよ!なぁ、高橋!?」
高橋:「そ、そうっスね!」
高橋も何が何だか分からないといった感じだった。
あの地下室には、人の気配すらしなかった。
次の画像もそうだった。
今度は、おぞましい化け物が画面をほぼ独占していた。
次の画像はまた別の化け物だったし、その次の画像なんか、白い仮面を着けた日本版リサ・トレヴァーだった。
愛原:「そ、そんなバカな!?」
高橋:「有り得ねーっ!どうなってんだ、一体ェ!?」
私と高橋はただただ混乱するばかりであった。
結局、エレベーター内の画像以外の地下室の画像は、ほぼ撮れていなかったに等しかった。
だが、最初は驚いていたリサも、最後の画像を見て冷静になった。
リサ:「先生達……やられたね」
愛原:「やられた!?」
リサ:「あの地下室……確かに誰かいたと思う」
愛原:「誰かって、誰だ!?」
リサ:「信じられないんだけど、エブリン」
最後に映っていたのは、白い仮面を着けて、セーラー服を着た少女だった。
恐らく、日本版リサ・トレヴァーだろうと思ったが……。
善場:「た、確かに特異菌の中には、対象者に幻覚を見せる物もあるにはありますが……。しかし、特異菌は日本にはサンプルすらありませんよ?」
高橋:「あの社長なら、裏ルートで手に入れられるんじゃねーの?」
善場:「いや、それは無理ですよ」
高橋:「いや、無理じゃねーだろ。コロナ禍で鎖国状態の中、どうしてヴェルトロが日本に入れたよ?しかも銃付きで。日本の入管がザルだからじゃねーの?」
善場:「そ、そんなことはありません……よ」
国家公務員として、同じ国家権力組織のことを疑いたくは無いのだろう。
リサ:「あとねぇ……。私、消えることできるんだよ」
リサはニッと笑った。
愛原:「なに!?どういうことだ!?」
リサは第1形態に戻った。
リサ:「私の目を見て」
愛原:「なに?」
リサの目が赤色に光ったかと思うと、それに吸い込まれるように視界が赤く染まって行き……。
善場:「勝手に部屋を出ないで!」
気が付くと隣に座っていたはずのリサはいつの間にか消えていたが、善場主任の声でハッとドアの方を向いた。
リサはドアの前にいた。
愛原:「こ、これは一体……!?」
善場:「催眠術の1つですよ。私も使えました。私の場合は、こちらの目を見て頂く必要がありましたが……」
善場主任は前髪をかき上げた。
すると、彼女の額の所に赤黒い痣があるのに気付いた。
普段はファウンデーションで誤魔化している。
善場:「私がリサ・トレヴァーだった頃、ここに『第三の目』がありました。それを見た獲物は、私が忽然と消えたように見えたそうです」
人間に戻る際、第三の目は失われ、しかし後遺症として痣が残った。
リサ:「『12番』の善場さんだけだと思う。それ……」
愛原:「じゃあ、私達が催眠術に掛けられて、本当はあの地下室には化け物がうようよいたのに、無人のように思わされていたと?」
リサ:「多分、他の化け物達はただの幻。カメラにも写ってしまうほどの幻。本物は……このリサ・トレヴァーまたはエブリン」
愛原:「だけど、誰かの目なんて見なかったぞ?」
リサ:「いや、見たと思う」
愛原:「いや、マジで地下室で誰かの目なんて見なかったって」
リサ:「誰が、地下室でなんて言った?」
愛原:「地下室じゃない!?」
リサ:「その前は誰の目を見た?」
愛原:「えーと……」
高橋:「あのレズガキです!先生!」
愛原:「あっ!」
絵恋さんはリサを連れて行く時、私と高橋の目を見ていた。
愛原:「バカな!絵恋さんがエブリンだと!?」
カメラの画像とリサが持つスマホの画像を見比べてみた。
リサのスマホには、絵恋さんが写っている。
愛原:「確かに、リサより背が高いような気がする……」
絵恋さんはリサより背が高い。
スポーツをやっているからというのもあるが、リサの成長が遅いというのも理由だ。
それは、せっかく摂取した栄養が肉体の成長ではなく、BOWの力の維持や変化に使われるからだとされている。
高橋:「先生。あのレズガキ、締め上げましょうや。いざとなったら、『強制的にレズビアンを矯正』してやりましょう」
平たく言えば、レズビアンたる絵恋さんを高橋の知り合いの男達が輪姦(まわ)すという意味である。
愛原:「待て待て。リサ、俺達が地下にいる間、オマエは絵恋さんと一緒だったんだよな?」
リサ:「それが、サイトーのヤツ、途中でトイレに行ったの。私は私で、ゲームに夢中だったから……」
愛原:「主任、絵恋さんの体内にあったウィルスとかは除去したんじゃ?」
リサ:「ウィルスは除去しましたが、特異菌については何もしていません。まさか、特異菌に感染しているとは思いもしなかったので……」
愛原:「でしたら、急いで絵恋さんを調べましょう」
善場:「すぐにBSAAより、検査キットを取り寄せます」
特異菌の感染状況は、症状が出ていない限り、専用の検査キットでないと分からないという。
高橋:「リサ、今度あいつに会ったら、軽くシメとけ」
リサ:「うん、分かった。私の寄生虫に感染させて、3日間下痢を楽しんでもらう」
高橋:「教室でお漏らしとかもよろしく頼むぜ」
リサ:「うん、分かったっ!」
愛原:「オマエらなぁ……」
しかし、日本にはまだ無いはずの特異菌の影がちらついたというのは……。
愛原:「主任、その検査キットはどのくらいで届きますか?」
善場:「今日発注して、来週には届くと思います」
高橋:「そんなに掛かるのかよ!」
善場:「BSAA極東支部にようやく保管されているくらいなのです。日本地区本部にはありません」
愛原:「リサ。ゲームを返す約束はいつにしている?」
リサ:「いつでもいいって言われたからしていない」
善場:「分かりました。では、こうしましょう。検査キットが届き次第、あなたはゲームを返すという口実で、再び彼女と会ってください」
リサ:「分かった」
高橋:「そこで乗り込んで、強制的に検査ってか」
善場:「ついでに皆さんにも受けて頂きますから」
高橋:「え?」
善場:「皆さんも感染している恐れがありますのでね」
愛原:「ぅあちゃ~。そうかぁ……」