[8月9日15:00.天候:晴 東京都渋谷区初台 白井画廊跡]
私達は白井画廊が入居していたビルを突き止め、その店舗兼事務所跡を捜索した。
斉藤家の1階にあるトイレと同じく、洋式と和式の切り替えができるトイレを見つけ、和式の水洗装置を探しているのだが見つからない。
愛原:「高橋、そっちにあったか?」
高橋:「無いです!」
念の為に応接室や社長室だった部屋も探したのだが、全く見つからなかった。
リサの話では勝手に穴が開いて、排泄物が下に落ちて行ったという。
ということはセンサー式ではないかと思われるが、しかしトイレ内にそれらしきものは見つからなかった。
愛原:「リサ、オマエがあのトイレを使った時、どういう状況だったか、もう一度よく思い出してみてくれ。何がきっかけで、穴が開いたのか……」
リサ:「うーん……」
管理人:「あの……そろそろいいですか?私も、もう帰る時間なんで……」
愛原:「あ、すいません。ついでに地下……ん?」
私は白井画廊が借りていたという地下駐車場と倉庫を最後に見せてもらおうとした時、ふと気づいた。
愛原:「リサ。オマエがあの家のトイレを使った時、下に落ちて行ったと言ってたな?」
リサ:「うん」
愛原:「本当に真下にか?」
リサ:「そう。だから旧校舎のトイレみたいだって思った」
今時、東京都区内で汲み取り式トイレがあるとは思えない。
あるとすれば、工事現場とかにある仮設トイレくらいだろう。
愛原:「ちょっと地下を見てみようか。管理人さん、最後に地下を見せて頂きたいのですが……」
管理人:「いいですよ」
私はトイレの位置をよく覚えておくことにした。
一度、白井画廊跡を出て、地下駐車場へと向かう。
エレベーターで向かった。
それは地下1階にある。
管理人:「白井画廊さんが借りていた駐車場は、あそこの3台分です」
何の変哲も無い駐車スペースには、既に車が止まっていた。
ライトバンが2台とミニバンが1台である。
愛原:「あの車も白井画廊の?」
管理人:「いえ、あれは別のテナントさんです。白井画廊さんが退去したのを気に、新たに借りてくれたんですよ。元々、駐車スペースに事欠いていらっしゃったので、これ幸いといった感じです」
なるほど。
確かにバンの横には、“鈴木物産(株)”という別の企業名が書かれていた。
そして、倉庫だが……。
管理人:「これですね」
そこは件の駐車スペースのすぐ横にあった。
しかしそれは、佇まいからして明らかに駐車場管理室だった。
今は閉鎖されているが……。
愛原:「いや、これ、駐車場管理室じゃないですか?」
目の前に遮断機のバーがあり、その手前にはカードキーを挿し込む機械が置いてある。
月極専用駐車場の為、契約者にしか渡されないカードキーが無いとバーが開かず、車の出し入れができないようになっているわけだ。
管理人:「昔はそうだったんですが、今はこのように機械化されたので、廃止になったんですよ。それをオーナーが倉庫に改装して、最初に借りたのが白井画廊さんです」
こんな所に高価な絵とかを保管していたのか?
中に入ってみると、管理室だった頃は操作パネルとかあっただろうに、それらは撤去されていた。
駐車場管理室だった頃の名残だろうか、古い事務机と椅子がいくつか置いてある。
愛原:「この壁のちょうど向こうだな……」
管理人:「何がですか?」
愛原:「1階のトイレ……白井画廊さんが作ったトイレですよ」
管理人:「壁の向こうは、水道管やらそういうのが通っているだけですよ」
愛原:「水道管ですか」
私は床を見た。
すると、室内の片隅にマンホールがあるのを見つけた。
愛原:「ちょっとこれを開けてみよう」
高橋:「はい」
管理人:「そんな所開けても、下水道の入口とかだと思いますが……」
愛原:「まあ、いいからいいから」
私と高橋は蓋に付いている取っ手を取り出して、一緒に引き上げた。
愛原:「開いた!」
私が探偵の7つ道具の1つである懐中電灯を取り出して、中を照らす。
黴臭い臭いはしたが、下水道の臭いはしなかった。
愛原:「この下、何かあるな。それも、下水道じゃない」
管理人:「ええっ!?」
愛原:「下に降りてみよう」
私達は梯子を使って下に降りた。
愛原:「これは……!」
そこにあったのは下水道の施設ではなかった。
何といえばいいのか……。
とにかく、部屋になっていた。
病院とかに有りそう。
しかし、中は蛻の殻というわけではなかった。
愛原:「誰かいる!?」
部屋の片隅に、誰かが倒れていた。
それは殆どミイラ化していたが……。
ミイラ:「ウゥウ……!」
愛原:「動いた!」
高橋:「先生、こいつはゾンビですよ!?」
愛原:「分かってるさ!リサ、管理人さんを守っててくれ!」
リサ:「分かった!」
私と高橋は手持ちのハンドガンを取り出した。
それで這いずって近づいてくるミイラゾンビに発砲する。
ミイラ:「ゥアア……ッ」
ミイラゾンビは私達に全く攻撃できないまま、本当に息絶えた。
愛原:「管理人さん、急いで警察を呼んでください。ミイラ化した死体を発見したと!」
管理人:「わ、分かりました!」
管理人さんが急いで梯子を昇って行く。
その間、私はうつ伏せで死んでいるミイラ化死体を仰向けにした。
顔はあまりよく分からない。
だが、この死体は高級そうなスーツを着ていた。
ポケットを調べてみると、高級な長財布が入っており、アメリカンエクスプレスのゴールドカードなどが入っていた。
カードの名義人を見ると……。
愛原:「白井伝雄だ。ここで死んでいたんだ!」
高橋:「先生、これを!」
高橋が手帳を見つけた。
どうやら、白井伝雄の手帳らしい。
仕事関係のメモなどが書かれていた。
だが、最後のページには……。
『白井伝三郎にだまされた。あのクソ野郎 ころしてやる』
と、殴り書きされていた。
何があったのかは知らないが、白井伝雄は白井伝三郎に何か騙されてここに入ったのだろう。
そしてTウィルスかCウィルスかは知らないが、ゾンビウィルスを投与されて放置された。
ゾンビ化したが、獲物となるべき生物はいない為、このまま餓死。
しかし、ゾンビウィルスの力は凄まじい。
宿主が死亡しても、個体によっては死なせない。
ゾンビウィルスが感染した哺乳類を『生きたまま』ゾンビにするのに際し、場合によっては第三者に倒されて本当の臨終を迎えたとしても、再び復活して『本当の意味』でのゾンビになってしまうことがある。
それが先ほどの状態だったのだろう。
愛原:「善場主任に連絡だな」
私は電話を取った。
が、圏外だった。
愛原:「一旦、上に上がろう」
高橋:「先生、和式トイレの謎は……」
愛原:「あれが答えだろう」
私は天井を指さした。
天井には丸い穴が開いていた。
愛原:「和式トイレからの排泄物は、あそこから落ちて来るんだろう。ということは、スイッチとかもこの部屋にあったのかもしれない」
高橋:「何でそんな汚いことを!?」
愛原:「ここは画廊は表向きで、本当は日本アンブレラの秘密基地だったのかもしれないな」
アンブレラなら、奴らが引き起こしたバイオハザードの光景について絵画にすることはできるだろう。
愛原:「取りあえず、上に上がって善場主任に連絡だ」
私は最初に梯子を上がった。
そして、閉まっているマンホールの蓋を開けようとした。
だが、開かない。
愛原:「!? あれ!?」
高橋:「どうしました、先生?!」
愛原:「蓋が開かないんだ!」
高橋:「ええっ!?ていうかあの爺さん、蓋閉めたのかよ!?先生、俺が代わりに開けてみます」
愛原:「ああ、分かった」
私が一旦下り、高橋が登った。
高橋:「あ、開かないっスね!?重いというか、何というか……」
と、その時だった。
地上から銃声の音がした。
高橋:「な、何だぁ!?」
リサ:「お兄ちゃん、私が開けてみる!」
リサは第1形態に戻っていた。
高橋:「あれ?何か書いてあるぞ?」
どうやら蓋の裏側に、何か表示がしてあるようだ。
高橋:「『開蓋はLに』だって!?どういう意味っスかね?!」
急いで出ないと、銃声を鳴らしたヤツがこっちに来るかもしれない。
A:「左(Left)に回せ」という意味。
B:「リサ(Lisa)に開けさせろ」という意味。
C:「L字に開けろ」という意味。
D:そもそもアルファベットのLではない。
E:そんなことより御題目三唱だ!
私達は白井画廊が入居していたビルを突き止め、その店舗兼事務所跡を捜索した。
斉藤家の1階にあるトイレと同じく、洋式と和式の切り替えができるトイレを見つけ、和式の水洗装置を探しているのだが見つからない。
愛原:「高橋、そっちにあったか?」
高橋:「無いです!」
念の為に応接室や社長室だった部屋も探したのだが、全く見つからなかった。
リサの話では勝手に穴が開いて、排泄物が下に落ちて行ったという。
ということはセンサー式ではないかと思われるが、しかしトイレ内にそれらしきものは見つからなかった。
愛原:「リサ、オマエがあのトイレを使った時、どういう状況だったか、もう一度よく思い出してみてくれ。何がきっかけで、穴が開いたのか……」
リサ:「うーん……」
管理人:「あの……そろそろいいですか?私も、もう帰る時間なんで……」
愛原:「あ、すいません。ついでに地下……ん?」
私は白井画廊が借りていたという地下駐車場と倉庫を最後に見せてもらおうとした時、ふと気づいた。
愛原:「リサ。オマエがあの家のトイレを使った時、下に落ちて行ったと言ってたな?」
リサ:「うん」
愛原:「本当に真下にか?」
リサ:「そう。だから旧校舎のトイレみたいだって思った」
今時、東京都区内で汲み取り式トイレがあるとは思えない。
あるとすれば、工事現場とかにある仮設トイレくらいだろう。
愛原:「ちょっと地下を見てみようか。管理人さん、最後に地下を見せて頂きたいのですが……」
管理人:「いいですよ」
私はトイレの位置をよく覚えておくことにした。
一度、白井画廊跡を出て、地下駐車場へと向かう。
エレベーターで向かった。
それは地下1階にある。
管理人:「白井画廊さんが借りていた駐車場は、あそこの3台分です」
何の変哲も無い駐車スペースには、既に車が止まっていた。
ライトバンが2台とミニバンが1台である。
愛原:「あの車も白井画廊の?」
管理人:「いえ、あれは別のテナントさんです。白井画廊さんが退去したのを気に、新たに借りてくれたんですよ。元々、駐車スペースに事欠いていらっしゃったので、これ幸いといった感じです」
なるほど。
確かにバンの横には、“鈴木物産(株)”という別の企業名が書かれていた。
そして、倉庫だが……。
管理人:「これですね」
そこは件の駐車スペースのすぐ横にあった。
しかしそれは、佇まいからして明らかに駐車場管理室だった。
今は閉鎖されているが……。
愛原:「いや、これ、駐車場管理室じゃないですか?」
目の前に遮断機のバーがあり、その手前にはカードキーを挿し込む機械が置いてある。
月極専用駐車場の為、契約者にしか渡されないカードキーが無いとバーが開かず、車の出し入れができないようになっているわけだ。
管理人:「昔はそうだったんですが、今はこのように機械化されたので、廃止になったんですよ。それをオーナーが倉庫に改装して、最初に借りたのが白井画廊さんです」
こんな所に高価な絵とかを保管していたのか?
中に入ってみると、管理室だった頃は操作パネルとかあっただろうに、それらは撤去されていた。
駐車場管理室だった頃の名残だろうか、古い事務机と椅子がいくつか置いてある。
愛原:「この壁のちょうど向こうだな……」
管理人:「何がですか?」
愛原:「1階のトイレ……白井画廊さんが作ったトイレですよ」
管理人:「壁の向こうは、水道管やらそういうのが通っているだけですよ」
愛原:「水道管ですか」
私は床を見た。
すると、室内の片隅にマンホールがあるのを見つけた。
愛原:「ちょっとこれを開けてみよう」
高橋:「はい」
管理人:「そんな所開けても、下水道の入口とかだと思いますが……」
愛原:「まあ、いいからいいから」
私と高橋は蓋に付いている取っ手を取り出して、一緒に引き上げた。
愛原:「開いた!」
私が探偵の7つ道具の1つである懐中電灯を取り出して、中を照らす。
黴臭い臭いはしたが、下水道の臭いはしなかった。
愛原:「この下、何かあるな。それも、下水道じゃない」
管理人:「ええっ!?」
愛原:「下に降りてみよう」
私達は梯子を使って下に降りた。
愛原:「これは……!」
そこにあったのは下水道の施設ではなかった。
何といえばいいのか……。
とにかく、部屋になっていた。
病院とかに有りそう。
しかし、中は蛻の殻というわけではなかった。
愛原:「誰かいる!?」
部屋の片隅に、誰かが倒れていた。
それは殆どミイラ化していたが……。
ミイラ:「ウゥウ……!」
愛原:「動いた!」
高橋:「先生、こいつはゾンビですよ!?」
愛原:「分かってるさ!リサ、管理人さんを守っててくれ!」
リサ:「分かった!」
私と高橋は手持ちのハンドガンを取り出した。
それで這いずって近づいてくるミイラゾンビに発砲する。
ミイラ:「ゥアア……ッ」
ミイラゾンビは私達に全く攻撃できないまま、本当に息絶えた。
愛原:「管理人さん、急いで警察を呼んでください。ミイラ化した死体を発見したと!」
管理人:「わ、分かりました!」
管理人さんが急いで梯子を昇って行く。
その間、私はうつ伏せで死んでいるミイラ化死体を仰向けにした。
顔はあまりよく分からない。
だが、この死体は高級そうなスーツを着ていた。
ポケットを調べてみると、高級な長財布が入っており、アメリカンエクスプレスのゴールドカードなどが入っていた。
カードの名義人を見ると……。
愛原:「白井伝雄だ。ここで死んでいたんだ!」
高橋:「先生、これを!」
高橋が手帳を見つけた。
どうやら、白井伝雄の手帳らしい。
仕事関係のメモなどが書かれていた。
だが、最後のページには……。
『白井伝三郎にだまされた。あのクソ野郎 ころしてやる』
と、殴り書きされていた。
何があったのかは知らないが、白井伝雄は白井伝三郎に何か騙されてここに入ったのだろう。
そしてTウィルスかCウィルスかは知らないが、ゾンビウィルスを投与されて放置された。
ゾンビ化したが、獲物となるべき生物はいない為、このまま餓死。
しかし、ゾンビウィルスの力は凄まじい。
宿主が死亡しても、個体によっては死なせない。
ゾンビウィルスが感染した哺乳類を『生きたまま』ゾンビにするのに際し、場合によっては第三者に倒されて本当の臨終を迎えたとしても、再び復活して『本当の意味』でのゾンビになってしまうことがある。
それが先ほどの状態だったのだろう。
愛原:「善場主任に連絡だな」
私は電話を取った。
が、圏外だった。
愛原:「一旦、上に上がろう」
高橋:「先生、和式トイレの謎は……」
愛原:「あれが答えだろう」
私は天井を指さした。
天井には丸い穴が開いていた。
愛原:「和式トイレからの排泄物は、あそこから落ちて来るんだろう。ということは、スイッチとかもこの部屋にあったのかもしれない」
高橋:「何でそんな汚いことを!?」
愛原:「ここは画廊は表向きで、本当は日本アンブレラの秘密基地だったのかもしれないな」
アンブレラなら、奴らが引き起こしたバイオハザードの光景について絵画にすることはできるだろう。
愛原:「取りあえず、上に上がって善場主任に連絡だ」
私は最初に梯子を上がった。
そして、閉まっているマンホールの蓋を開けようとした。
だが、開かない。
愛原:「!? あれ!?」
高橋:「どうしました、先生?!」
愛原:「蓋が開かないんだ!」
高橋:「ええっ!?ていうかあの爺さん、蓋閉めたのかよ!?先生、俺が代わりに開けてみます」
愛原:「ああ、分かった」
私が一旦下り、高橋が登った。
高橋:「あ、開かないっスね!?重いというか、何というか……」
と、その時だった。
地上から銃声の音がした。
高橋:「な、何だぁ!?」
リサ:「お兄ちゃん、私が開けてみる!」
リサは第1形態に戻っていた。
高橋:「あれ?何か書いてあるぞ?」
どうやら蓋の裏側に、何か表示がしてあるようだ。
高橋:「『開蓋はLに』だって!?どういう意味っスかね?!」
急いで出ないと、銃声を鳴らしたヤツがこっちに来るかもしれない。
A:「左(Left)に回せ」という意味。
B:「リサ(Lisa)に開けさせろ」という意味。
C:「L字に開けろ」という意味。
D:そもそもアルファベットのLではない。
E:そんなことより御題目三唱だ!