報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「さいたま新都心へ」

2021-10-24 20:22:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月10日17:45.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 パレスホテル大宮]

 再び車を走らせて、大宮のパレスホテルに到着する。

 リサ:「遅いよ」

 リサは少しむくれた顔で合流した。

 愛原:「ゴメンゴメン。ちょっと色々とやることができちゃって……」
 高橋:「てめ、先生に文句付けるとはいい度胸じゃねぇか!」
 愛原:「いや、いいんだ。リサ、お詫びに夕食は好きなもの食わせてやろう」
 リサ:「ほんと!?」

 リサの顔がパッと明るくなる。
 どうやら、不機嫌なのは空腹のせいでもあるようだ。

 高橋:「こいつは……!」
 愛原:「それより、斉藤社長は御帰りか?」
 リサ:「うん。サイトーのお母さんも一緒。『一緒に夕飯食べる?』って聞かれたけど、もうすぐ先生達が来ると思って……」
 愛原:「そうか。よく我慢したな。早速行こう」
 リサ:「サイトーのお父さんに挨拶して行かないの?」
 愛原:「ああ。今は我慢してくれたリサへの御褒美が優先」
 リサ:(´∀`*)

 私はリサの頭を撫でながら言った。
 それに対してリサは、照れ笑いにも似た表情を浮かべた。
 だが、本音はヘタに斉藤社長に会って、私達の動きを気取られないようにする為である。

 愛原:「早く行こう」
 高橋:「うス」

 私達は再びホテルの駐車場に向かった。
 それから車に乗って、目的地のホテルに向かった。

 愛原:「あ、これ、オマエの着替え」

 私は車に積んでいたリサの着替えを渡した。

 リサ:「ありがとう」

 そしてリサはニヤッと笑った。

 リサ:「先生が用意してくれたの?」
 愛原:「そうだが?」
 リサ:「私のクロゼット漁って、下着漁りとか……」( ̄▽ ̄)
 愛原:「あのな!」

 リサ、着替えの入ったペーパーバッグの中を開ける。

 リサ:「ふーん……。こういうの穿いて欲しいんだぁ?分かったよ。先生の命令だもんね」

 リサは白いショーツをペーパーバッグの中から取り出して言った。
 終始ニヤニヤしていた。
 これが他の男が触ったのなら、すぐに変化を解いて、見た目通り、鬼のように暴れるだろう。

[同日18:00.天候:曇 同区内 東横インさいたま新都心]

 夕方のラッシュに入っているということもあり、少し道路渋滞に巻き込まれながら、ようやくホテルに到着した。

 愛原:「フロントに行って、立体駐車場に入れる形らしい。リサ、一緒に降りよう」
 リサ:「うん」

 因みにリサは今、黒いノースリーブのTシャツにデニムのショートパンツを穿いている。
 今度はスカートではない。
 私とリサは先にホテルの中に入った。

 愛原:「すいません。今日予約している愛原ですが、車で来たので駐車場に止めたいんですが……」

 私がフロントに行っている間、リサはロビーにあるウォーターサーバーで水をゴクゴク飲み始めた。
 プールでは相当泳いだらしい。
 それで余計に腹が減ってるらしいんだな。
 ホテルの立体駐車場に車を止めると、早速チェックインの手続き。

 支配人:「ありがとうございます。それでは愛原様、本日より一泊のご利用ですね?」
 愛原:「はい」

 女性支配人は私が書いた宿泊者カードを手に取ると、鍵を2つ持って来た。

 支配人:「こちらがツインのお部屋でございまして、こちらがシングルのお部屋でございます」
 リサ:「それじゃ、私が先生と同じ部屋ー」
 高橋:「おい!」

 部屋着とかは部屋備え付けではなく、ロビーにあるものを持って行くシステム。
 鍵をもらって、部屋着を取ると、私達はエレベーターに乗った。

 愛原:「取りあえず、部屋に荷物を置いて、それから飯を食いに行こう」
 高橋:「分かりました」

 エレベーターで私達の泊まるフロアに向かった。

 愛原:「それじゃ、リサはそっちの部屋な」
 リサ:「ちぇっ、また私1人ボッチ」
 愛原:「そう言うなよ。マンションだって、個室じゃないか」
 リサ:「でも……」
 愛原:「ホテルだって、1つ屋根の下で、尚且つ同じフロアじゃないか」
 リサ:「分かったよ……」

 私と高橋はツインの部屋に入った。
 東横インのようなチェーンホテルでは、だいたい部屋の造りはどこも同じである。

 愛原:「おっ、この部屋はトレインビューじゃないか」
 高橋:「そうっスね」

 窓の下には、JR線が通っている。
 あいにくと新幹線は、さいたまスーパーアリーナに遮られて見えなかったが。
 こうなると、リサの部屋もトレインビューかもしれない。

 愛原:「どれ、いつまでもリサの腹を空かせたままにすると暴れるから、早いとこ飯に行こうか」
 高橋:「はい」
 愛原:「鍵は貴重品だから、ここに入れとかないとな」

 私は室内にある貴重品ボックスの中に、エレベーターの鍵を入れた。
 因みに、このホテルのエレベーターは三菱製ではなかった。
 メーカーが違えば、鍵も合わない。
 逆を言えば、メーカーが合えば、どこのエレベーターの鍵も合うということである。

[同日18:30.天候:曇 同区内 デニーズ コクーンシティ店]

 私達はホテルから歩ける場所にある店を探した。
 するとリサがファミレスを見つけたので、そこに決めた。
 夕方時だったので、少し待たされたが、ようやく席に着く。
 メニューを見ると、やはりというべきか、リサはステーキを所望した。
 何でも食べさせると言った以上、ダメとは言えない。

 高橋:「マジで一杯やれないんスね」
 愛原:「ああ。飲食店での酒は禁止だ。しょうがない。ドリンクバーにするさ。どうせ明日も仕事なんだし」
 高橋:「了解っス」

 私は高橋に頼んで、料理を注文した。
 今はどこのファミレスも、タブレットで注文するのが当たり前になっているようだ。
 いや、ファミレスだけではないか。
 焼肉店も居酒屋もそうだ。
 待たされた上に空腹で機嫌を悪くしていたリサも、ジュージュー焼かれたステーキが来ると機嫌を直したようである。

 高橋:「それで先生、明日の決行時間はいつに?」
 愛原:「そこでオマエの出番だ」
 高橋:「おっ!?」
 愛原:「専属メイドのパールが、付きっ切りで絵恋さんの世話をしているだろう?」
 高橋:「そうッスね」
 愛原:「ということは、斉藤社長が出発する時は見送りをするはずだ。オマエ、パールに頼んで、斉藤社長が出発したら教えてくれるように言っといてもらえるか?もちろん、斉藤社長には内緒でな」
 高橋:「分かりました。LINEしときます」
 愛原:「そして、それはリサも同じだ」
 リサ:「ほえ?」

 リサは大きく切った肉を頬張りながら、私を見た。

 愛原:「絵恋さんに頼んで、斉藤社長が出発したら教えてもらうように頼んでくれ。一応、間違いが無いよう、二重の策だ」
 リサ:「分かったっ!」
 愛原:「今度はリサ、絵恋さんの家に遊びに行きたいと言えばいい理由になるかな。……いや、ゲーム貸してくれでいいんじゃないかな。絵恋さん、最新のゲーム機やら持ってるだろ?」
 リサ:「持ってる。なるほど。ゲーム借りたいと言えば、サイトーの家に行く理由になるわけね」
 愛原:「そういうことだ。よし、それで行こう」
 高橋:「いつも斉藤社長は何時頃出掛けるか、聞いてみましょう」
 愛原:「よろしく」

 こういう時、仲間がいると心強いな。
 私は大きく頷くと、ビーフシチューを頬張った。
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“私立探偵 愛原学” 「エレベーター鍵を手に入れろ」

2021-10-24 16:06:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月10日15:00.天候:晴 東京都千代田区大手町 大手町中央ビル(※広島県広島市に同名のビルがあるようですが、当然ここでは関係ありません)]

 私達は首都高を介して東京の大手町に向かった。
 途中、首都高名物の渋滞にハマったりしたが、何とか無事に辿り着けた。

 愛原:「あのビルには地下駐車場がある。そこに止めよう」
 高橋:「分かりました。パン車止めていいんスね?」

 『パン車』とは、走り屋用語で『一般車』のこと。

 愛原:「ああ。あのビルには商店街があってね、その客用の駐車場があるんだ」
 高橋:「なるほど」

 高橋は私の誘導通りに、大手町中央ビルの地下駐車場に車を突っ込ませた。
 広い地下駐車場には、見覚えのある制服を着た警備員が誘導している。

 高橋:「このビル、斉藤社長の会社と何か関係あるんスか?」
 愛原:「いや、直接は無い。もしかしたら、ここに入居しているテナント企業さんが、何らかの形で大日本製薬と取引しているんじゃないかなってくらい」
 高橋:「はあ……」

 大手町地区は大日本製薬の入居しているビルのある丸の内地区とは、北隣にある地区だ。
 主に、三菱地所が所有しているビルが乱立していることで有名である。
 私達は車を降り、エレベーターホールに向かった。

 高橋:「で、どこに行くんスか?」
 愛原:「防災センターだよ」
 高橋:「は???」

 私の答えに、高橋は素っ頓狂な声を上げた。
 こういったビルの防災センターの多くは地下にある。
 私は防災センターを見つけたが、すぐには入らない。

 愛原:「えーと……」

 商店街に店を構えているコンビニに入った。
 そこで菓子の詰め合わせを購入する。

 高橋:「一体、何をされようってんですか?」
 愛原:「ヒントを言わせてもらうと、俺は警備員時代、このビルで働いたことがある」
 高橋:「えっ、そうなんスか?」
 愛原:「このビルのエレベーターは、全て三菱電機製だ」
 高橋:「三菱地所のビルなんだから当然ですね」
 愛原:「日本ビルヂングの人達が聞いたら怒るから、それは黙ってておけよ?」
 高橋:「さ、サーセン!」

 私達は防災センター近くのカフェで時間を潰した。
 と、1人の警備員が巡回を終えて防災センターに戻ろうとしている。

 愛原:「今だ!」
 高橋:「ええっ!?」
 愛原:「オマエはここで待ってろ!」
 高橋:「は、はい!」

 私は急いでカフェを出た。
 そして、今まさに防災センターに入ろうとしている警備員に駆け寄った。

 愛原:「熊谷さん!」
 熊谷:「えっ?………………あっ、キミは!!」

 それは60代半ばの男性警備員だった。

 愛原:「愛原です!覚えてますか?」

 私はコロナ対策で着用しているマスクを一時的に外して、素顔を見せた。

 熊谷:「おー、愛ちゃんかー。久しぶりだなー」

 熊谷さんは私のことを覚えていてくれた。
 彼は私がこのビルに配属された時、隊長だった人である。
 今は定年退職して再雇用されたということもあって、隊長職は引退し、ヒラ隊員として仕事をしているはずだ。

 熊谷:「何だい?またこの仕事に戻るつもりになったかい?」
 愛原:「いえ。あいにくですが、今は探偵の仕事の方が楽しいので」
 熊谷:「そうかいそうかい。そいつは残念だな。せっかく検定資格を持ったキミが戻ってきてくれれば、百人力だというのに……」
 愛原:「すいません。たまたまこの近くに来たものだから、寄ってみたんですよ。熊谷さんと再会できて良かったです」
 熊谷:「はっはっはー、そうかいそうかい」
 愛原:「宗塚や達崎さんはお元気ですか?」
 熊谷:「おー、元気にしてるよー。今はあの堀崎君が隊長だよ?会って行くかい?」
 愛原:「是非お願いします!このように、手土産もございますんで」
 熊谷:「おー、気が利くなー。さぁさぁ、入って入って。お茶くらい出すよ」
 愛原:「ありがとうございます!」

 こうして私は、本来関係者以外立ち入り禁止である防災センターに易々と入室したのであった。

 愛原:「やあ、どうもどうも」

 私はかつての同僚達と満面の笑みで再会し、かつての同僚達もにこやかに迎えてくれた。
 だが、私のお目当てはただ1つ……。

 愛原:「それじゃ、どうも。また近くまで来たら、寄らせて頂きまーす」

 私は小一時間ほど中で話をして、それから防災センターをあとにした。
 急いで例のカフェに戻る。

 高橋:「あ、先生、お帰りなさい」
 愛原:「よし、さっさとズラかるぞ!今すぐに!」
 高橋:「は、はい!」

 私達は急いでカフェを出て、地下駐車場に向かった。
 そして、そこに止めてある車に乗り込む。
 直射日光でなくても、冷房など入っていない地下駐車場に止めているだけで車内は暑かった。

 高橋:「次はどこに?」
 愛原:「パレスホテル大宮に戻ってくれ。リサを迎えに行く」
 高橋:「は、はい」

 時計を見ると、16時を回っていた。
 そろそろ下り線が混む頃だ。
 今から向かえば、多少の渋滞にハマったとしても、17時頃には着けるだろう。
 ギリギリで約束の夕方である。

 高橋:「それから斉藤社長んちに向かうんスね?」
 愛原:「いや、今日は止めておく」
 高橋:「えっ?」
 愛原:「重役さんだから、残業は社員達に任せて自分は早く帰るだろう。鉢合わせになるとマズい。どうせ明日も平日で、社長はまた出勤されるだろうから、明日に出直す」
 高橋:「わ、分かりました。それで、エレベーターの鍵は?」
 愛原:「この通り。失敬してきたよ」
 高橋:「さすがっスね。でも、いいんスか?さすがにヤバいんじゃ……?」
 愛原:「うん、バレたらヤバいな。俺が真っ先に疑われるだろう」
 高橋:「それじゃ……!?」
 愛原:「もちろん、大丈夫という自信があっての実行だ。実はあの警備隊では、普段使用する鍵は毎日点検する。しかしエレベーターの鍵は、実は何本も防災センターにあるんだ。これだけの高層ビル、何十基とエレベーターがあるわけだから、その数は1本や2本じゃない。しかも、エスカレーターもある。俺が知っている限り、この鍵は15本はあるんだ」
 高橋:「15本も!」
 愛原:「そのうち、普段から使用しているのは4~5本に過ぎない。それらは毎日点検するが、残りの予備鍵は週一しか点検しないんだ。で、それは暇な週末に行われる。今は週明けしたばっかりだから、次の点検は今週末だよ。それまでに返せばOKだ」
 高橋:「なるほど!」
 愛原:「……いや、ちょっと待て」
 高橋:「何スか?」
 愛原:「なるべくなら明日、社長が出勤してすぐに行動したいな……。ちょっと1度、うちのマンションに戻ってくれるか?」
 高橋:「ハイ」

 私はスマホを取り出した。

 愛原:「よし。コロナ禍の平日ということもあってか、部屋が空いてて良かったよ」
 高橋:「何の話ですか?」
 愛原:「今日はさいたま市内に泊まる。さすがに絵恋さんと同じホテルというわけにはいかないが、同じさいたま市内だよ。マンションに戻るというのは、着替えなどを取りに行くということさ」
 高橋:「了解です!」

 高橋は車を永代通りに出すと、そのまましばらく東進した。
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大石寺御大会期間中の登山バスの運行について

2021-10-24 00:12:54 | 日記
http://www.shizuokabus.co.jp/noriai-bus_taisekiji/#rinji

リンク先の通り、大石寺御大会が開催される時期は御開扉が無い為、新富士駅~富士駅~大石寺間の特急バスは運行されません。
この時期、御登山される信徒の皆様は御注意ください。
尚、既出の高速バスについては運行されます。
富士宮市内前泊などに御活用下さい(宿坊への前泊は中止されている為)。
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