報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹の秘密」

2021-10-27 20:10:44 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月11日09:00.天候:雨 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家B2F]

〔地下2階です〕
〔クイズに正答しないと、ドアが開きません〕

 愛原:「なに!?」

〔問題は、モニタに表示されます〕

 ドアの上にモニタがあり、いつもは点いていなかった。
 何のモニタだろうと思っていたのだが、これに使うのか!?

『“バイオハザード7 レジデント・イービル”のテーマソング“Go tell Aunt Rhody”。これを原曲とした日本の童謡は、次のうちどれ?』

〔選択肢は階数ボタンを押してください〕

『1:大きな栗の木の下で 2:むすんでひらいて 3:青い目の人形』

 愛原:「はあ!?いきなり難しいの来たな!?」
 高橋:「エブリンが歌ってたってヤツですよね!?」

〔間違えた場合、1階上のフロアに移動します〕

 愛原:「なっにー!?」

〔次の問題です〕

 愛原:「しかも1問だけじゃないの!?」

『“バイオハザード・ヴィレッジ”のCMソングを歌っていたのは誰? 1:細川たかし 2:北島三郎 3:吉幾三』
『“バイオハザード・ヴィレッジ”で、主人公が最初に戦う貴族の名前は? 1:オルチーナ・ドミトレスク 2:ドナ・ベネヴィエント 3:カール・ハイゼンベルク』
『“アクトレイザー・ルネサンス”をプレイすると謗法になるかもと作者が言った理由は? 1:プレイヤーが神になるから 2:プレイヤーが仏になるから 3:プレイヤーが第六天魔王になるから』

 愛原:「全部ゲーム関係じゃね?!何これ!?」
 高橋:「いつまでやるんスか!?」

『パチンコ“CR海物語シリーズ”のメーカーは? 1:京楽産業. 2:大都技研 3:三洋物産』
『“CR海物語シリーズ”に登場する赤い髪の女の子の名前は? 1:マリン 2:ウリン 3:ワリン』
『次の曲のうち、ワリンがソロで歌っているのは?但し、コーラスや合いの手は除く。 1:あっぱれJAPAN 2:ふたりの海物語 3:めんそーれ沖海』
『“大魔道師の弟子”やスピンオフ“魔女エレーナの日常”に登場する魔女エレーナ。作中で誰に似てると言われた? 1:霧雨魔理沙 2:アリス・マーガトロイド 3:東風谷早苗』

 愛原:「答えは1だ」

〔ピンポーン♪ ドアが開きます〕

 愛原:「やっとかよ!」
 高橋:「これで何にも無かったら、暴れますよ!」
 愛原:「くす玉くらい、割って欲しいもんだな」

 ドアが開くと、その先は真っ暗だった。
 私達はマグライトを点けて、奥へと進む。

 愛原:「これは何かの研究施設か?」
 高橋:「こんな所に研究室ですか?」

 私は1階のトイレがある辺りを探した。
 そこも何かの研究室のようであった。

 愛原:「鍵が掛かってる」

 どうやらカードキーで開けるタイプのようだ。
 私は試しに、リサから借りたゴールドカードを当ててみた。
 すると、どうだろう。
 ピーという音がして、開錠されたのである。

 愛原:「まさかこんなんで開くとは……」

 私達は中に入った。
 中は確かに研究室のようになっており、しかも微かに工事の音がした。
 工事は1階で行われているはずだが、地下1階を突き抜けて、この地下2階まで聞こえるほどだ。

 愛原:「あれだ。あの丸い穴、分かるか?」

 私はライトを天井の隅に向けた。
 そこには、白井画廊跡のビルの地下で見たものと同じものがあった。
 違うのはちゃんとその先にパイプが繋がっており、透明なカプセルの中に落ちるようになっていることだった。

 愛原:「あそこでリサの大便を採取したんだ、きっと」
 高橋:「検便なんかしてどうするんスか?」
 愛原:「斉藤社長も欲しかったんだ。リサの寄生虫を。きっと、大日本製薬の新たな薬の開発に使いたいんだろう」
 高橋:「こんなものわざわざ作ってまで……」
 愛原:「それほどまでに、価値のあるものらしいよ。リサってのは」

 私は写真を収めた。

 愛原:「善場主任からの仕事は、これで終わりだ。さっさと引き上げよう」

 私達は急いで研究室を出た。
 そして、エレベーターへと向かう。

 高橋:「斉藤社長にバレたら、どうします?」
 愛原:「素直に、善場主任達の依頼だというしか無いな」

〔上に参ります〕

 私達はエレベーターに乗り込んだ。

〔ドアが閉まります〕

 一応、操作盤のパネルはちゃんと閉めておいた。

 愛原:「後でこの鍵、返してこないと……」
 高橋:「車の運転なら任せてください」

〔ドアが開きます。ピンポーン♪ 1階です〕

 地上に戻ると、何故か別世界のような気がした。

 オパール:「愛原様!?どこへいらしてたんですか?」
 愛原:「ああ、いや、ちょっと地下のトイレにね……」
 オパール:「随分と長かったのですね」
 愛原:「まあ、ちょっとね。それより、リサはまだ下りて来ないのか?」
 オパール:「まだ、御嬢様と御一緒でございます」
 愛原:「そうか。じゃあ、そろそろ帰ろうかな。ゲーム借りるだけだし」

 私はスマホでリサを呼び出した。
 名残惜しそうにリサの手を掴みながら、エレベーターでリサは下りて来た。

 愛原:「借りたいゲームは決まったか?」
 リサ:「決まった」
 愛原:「それじゃ、そろそろ帰るとするか」
 絵恋:「もう少しゆっくりなさっても……」
 愛原:「悪いね。私達も仕事があるものだから。また後で、ゲーム返す時に来るよ」

 私達は斉藤家を後にした。

 リサ:「地下には行けた?」
 愛原:「何とかな。あまりにもすんなりで、逆に怖いくらいだよ」

 私達は急ぎ足で駐車場に戻った。
 私が料金を払い、高橋が運転席に乗った。

 愛原:「もしもし?愛原ですが……」

 そして、善場主任に連絡。

 愛原:「はい。斉藤社長の御宅の地下室。秘密が明らかになりましたよ。写真に撮りましたので、これから向かいます。……はい」

 私は電話を切った。

 愛原:「それじゃ、新橋に向かってくれ」
 高橋:「姉ちゃんの事務所っスね。了解っス」

 高橋は車を出すと、首都高の新都心西出入口へとハンドルを切った。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤家を捜索」

2021-10-27 11:42:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月11日06:30.天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区吉敷町 東横インさいたま新都心]

 昨夜は特に何事も無かった。
 そういえばテロ対策について、何もしていなかったが、ヴェルトロのメンバーが逮捕されたことで、しばらく向こうの動きは無いらしい。
 もちろん、油断はできないが……。
 朝食を取りに1階のロビーに行くと、バイキング形式ではなくなっていた。
 コロナ対策で、弁当方式になっていた。
 部屋に持ち帰って食べることもできるらしいが、私達はロビーで食べることにした。

 リサ:「水着は洗ったから、またサイトーんちのプールで泳げる」
 愛原:「いや、泳げないから」

 昨夜、コインランドリーでリサは自分の水着と下着を洗濯していた。
 水着は濡れたままなので、すぐに洗濯して乾かさないといけない。
 こういう時、コインランドリーがあると便利である。

 愛原:「今のところ、連絡は?」
 リサ:「無い」
 高橋:「まだっスね」
 愛原:「重役出勤で、少し遅いかもしれないな。まあ、いい。張り込むのも、探偵の仕事だ」
 高橋:「さすがは先生です!」
 リサ:「アキバを思い出すね!」
 高橋:「あ?何のことだ?」
 愛原:「リサ!……何でもない。何でもないんだ」
 高橋:「何か怪しいっスねぇ……」
 愛原:「そんなことはない。それより、食べ終わったら部屋に戻ろう」
 高橋:「はあ……」

[同日08:00.天候:雨 東横イン埼玉新都心→同市中央区 斉藤家]

 8時頃になると、パールや絵恋さんから連絡が入った。
 今、斉藤社長がパレスホテル大宮を出たという。

 高橋:「……というわけです!急ぎましょう!」
 愛原:「いや、慌てなくていい」
 高橋:「えっ?」
 愛原:「連絡がどのタイミングで来たのかは知らんが、斉藤社長はハイヤーで丸の内の本社に向かったことだろう」
 リサ:「うん。サイトーがそう言ってた。新庄さんだと融通が利くけど、ハイヤーだと契約時間が決まってるからって」
 愛原:「そうだろう。ルートとしては、恐らく首都高の新都心西から入られるだろうな」
 高橋:「普通はそうですよね」
 愛原:「あまり急いで行くと、鉢合わせになる恐れがある。少なくとも、社長が高速に入った時点で向かうくらいがいいだろう」
 高橋:「そういうものですか」
 愛原:「もしも、『あ、家に忘れ物があった。高速に入る前に、家に寄ってくれ』なんてあったらどうする?」
 高橋:「あ、なるほど!そういうパターンですか!」
 愛原:「そう。だから、慌てる必要は無い。むしろ昼ぐらいでもいいんだ」
 高橋:「パールのヤツ、社長は10時から会議だと言ってましたよ?」
 愛原:「会議か……」
 高橋:「会議の為の会議だなんて、笑っちゃいますね」
 愛原:「さすが日本企業と思うだろ。まあ、重役さんは言うなれば、会議とハンコ押しが仕事のようなものだから。ま、とにかくゆっくり出よう。どうせこの時間、チェックアウトする客で混んでるよ」

 しばらくしてから私達は部屋を出た。
 そして、フロントに向かった。
 先客が終わるのを待って、それから部屋の鍵を返却する。

 高橋:「先生、こちらへ」

 立体駐車場から車を出した高橋が呼ぶ。

 愛原:「おーう!」

 私とリサはリアシートに乗り込んだ。
 見た目はどこでも見られる商用バンだから、目立たないはずである。
 それで、斉藤家へと向かう。
 この頃には朝のラッシュのピークは過ぎていたが、その余波で車は多かった。
 近くまで到着すると、いつもの通り、近くの駐車場に車を止める。
 それから徒歩で向かった。
 相変わらず工事は始まっていたが、特に気にせず中に入る。
 既に家で待っていた絵恋さんが出迎えたからだ。
 聞くと、1階のトイレは使えないものの、それ以外の水道は復旧したという。

 リサ:「サイトー、ゲーム借りに来た」
 絵恋:「はーい、リサさん、待ってたわー!早く私の部屋まで行きましょ!」
 リサ:「面白いヤツね」
 絵恋:「面白いヤツね!色々あるのよ!」
 リサ:「それじゃ先生、行って来る」
 愛原:「ああ。ゆっくり探して来い」
 絵恋:「それじゃ先生方は、応接間で……」
 愛原:「おっ、そうだな。その前にトイレ借りたいんだが……」
 絵恋:「ああ、どうぞ。1階のトイレはまだ工事中なので、2階を……」
 愛原:「いや、地下がいい」
 絵恋:「地下ですか?」
 愛原:「2階のトイレは1つしか無いが、地下のトイレは2つあるだろう?」

 私は高橋に目配せした。

 高橋:「あっ!ああ、そうっスね!俺も行きたいっス!」
 絵恋:「ああ、まあ、そうですね。使用人用なので、殺風景なトイレですけど、よろしかったらどうぞ」
 愛原:「俺ら下級国民は、殺風景なトイレで十分です」

 こういう言い方も、実は結構失礼なんだよな。
 リサと絵恋さんはエレベーターで3階へ上がって行った。
 私は下のボタンを押し、3階に上がったエレベーターが下りて来るのを待った。

〔下に参ります〕

 そして、無人になったエレベーターが下りて来る。
 家庭用のホームエレベーターということもあってか、定員はたった3名の小さなものである。
 家庭用のトイレくらいの広さしか無い。

〔ドアが閉まります〕

 ドアが閉まり、エレベーターが下に動き出した時点で、私はエレベーター鍵を操作盤の鍵穴に差し込んだ。

 愛原:「やっぱり……!」

 いくらメーカーが同じとはいえ、オフィスビル用のエレベーターと家庭用エレベーターの鍵が合うかどうか不安だったが、鍵はピッタリ合ってくれた。
 そして、操作盤の蓋を開けると、予想通りであった。
 B1のボタンの隣に隠すようにして、B2のボタンがあった。
 そう。
 この家は地下2階があるのである。
 迷わず、そのボタンを押す。
 すると、ランプが点灯した。

 高橋:「何があるんでしょうか?」
 愛原:「少なくとも、警察に追われたら隠れられるようなものでもあるんだろうな」

 私は冗談めかして言った。
 そして、手持ちの拳銃を取り出した。

 愛原:「いざ、地獄の底へ」

〔ピンポン♪ 地下2階です〕
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