報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「善場に報告」

2024-11-25 20:38:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月13日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 時間通りに善場係長がやってきて、まずは係長から高橋に面会した時の状況について話してくれた。
 高橋があんな面倒な仕掛けを施したのは、どこで“コネクション”に見つかるか分からないからだとのこと。
 高橋が逮捕されたことは、“コネクション”も知っているだろう。
 そこで“コネクション”としては、高橋を消そうとしてくるかもしれない。
 幸い彼は拘置所の独房という安全な場所にいる為、収容中は消されることはないだろう。
 もちろん、検察庁や裁判所にいる時もだ。

 善場「金庫に隠したブルマについては、通販で購入したものだそうです。“コネクション”の諜報能力は侮れないらしく、リサが既に日常的にブルマを穿いていることは知っているだろうとのことで、リサの名前を刺繍したブルマを入れておけば怪しまれないと思ったそうです」
 愛原「いや、俺達は知ってるからいいけど、直接見たこと無い人間が見たら、やっぱり怪しいような気がする」
 善場「高橋被告も、慌てていたようなので、正常な判断ができなかったのでしょう。あのUSBに入っている独白は、全て正直に話したものだそうです。あれを残したのは、愛原所長に真実を知って欲しいのと、“コネクション”に消されてもいいようにとのことです」
 愛原「うーむ……」
 善場「私達は引き続き、証拠探しを続けたいと思います。どうも、高橋被告にとって、都合の良い証言にしか聞こえないのです。もちろん黙秘権はありますから、自分に不利な証言はしなくて良いことにはなっていますが……」
 愛原「分かりました」
 善場「それで、そちらはどうですか?何か動きがあったようですが?」
 愛原「はい」

 私は依頼を受けた話をした。

 善場「斉藤元社長の隠し別荘!ずっと探していたのですが、ようやく見つかりました!ありがとうございます!」

 国家機関が探していて、見つからなかっただとォ!?

 愛原「待ってください。まだ、その可能性があるというだけで、もしかしたら、これとて偽情報である可能性は拭いきれないんです。何しろ、いくら匿名での依頼とはいえ、私はまだ直接依頼人に会っていないのですから」
 善場「しかし霧崎さんは、すぐにそこが斎藤元社長の隠し別荘だと分かったのですよね?」
 パール「静岡県にあるという話は聞いていました。静岡県のどこかまでは聞いていませんでしたから」

 静岡県も広いからな。

 パール「お金持ちの別荘というからには、熱海とか伊豆とか、富士山の麓とかにあるのかと思いましたが、富士山の麓で合っていたようですね」

 パールが確信したのは、メイド仲間のアンバーが管理を任されていたと聞いたからだった。

 パール「アンバーは危険な女ですから、あまり先生に会わせたくないです」
 愛原「しかし、俺が行かないと話にならんだろう?」
 善場「霧崎さんは、アンバーなる人物を御存知なんですか?」
 パール「はい。かつてのメイド仲間です。本名は小迫と言います」
 善場「分かりました。それでは、霧崎さんに同行してもらえば宜しいでしょう」
 リサ「あのー……わたしは?」
 善場「事務所で留守番です」
 リサ「えーっ!」
 パール「私がいれば、アンバーに手出しはさせませんよ」
 愛原「何だか心配だねぇ……」

 確かにパールは、私を守ってくれるだろう。
 だが、どちらかが死ぬまでケンカしそうで嫌だ。
 その時、止める者は私だけしかいなくなる。
 殺しを厭わない2人のケンカを、私が止められるかどうか……。

 善場「では、3人で行ったらどうですか?」
 愛原「しかし、事務所を空にするわけには……」
 善場「私からも依頼させて頂きます。つまり、私共からも依頼料を支払わせて頂くということです。結果的に事務所は臨時休業状態にはなりますが、その分の報酬はお支払い致しますよ?」
 愛原「そういうことなら……」
 リサ「やった!」
 善場「依頼内容は、これから所長方が調査に行かれる廃墟が、本当に斉藤元社長の隠し別荘だったのかどうか。その証拠を掴んで来てください」
 愛原「分かりました」
 善場「ついでに、最初の依頼人、『依頼人ボス』の正体を掴んで頂ければ、追加の報酬もお出しします」
 愛原「それは助かります!すぐに契約書を作成しますので、少々お待ちを!」

 私は応接コーナーを出て、自分の机に向かった。

 リサ「先生の事は、わたしが守るからね!」

 リサも席を立って私の横に来ると、ガッツポーズをして言った。
 まあ、リサなら暴走さえしなければ大丈夫だろう。
 仮にパールやアンバーとやらがリサを殺そうとしても、リサを殺すにはロケットランチャーを直撃させないといけないという頑丈さだ。
 BSAAなどの軍隊にはそれがあっても、1個人がそれを持っているとは思えない。

 愛原「あ、ああ。宜しく頼む」

 私は契約書を作成すると、それを善場係長の所に持って行った。

 愛原「こちらが契約書です」
 善場「かしこまりました。宜しくお願い致します」

 善場係長は、すぐにサインをしてくれた。

 善場「気をつけて行ってください。もしも高橋被告の独白通りなら、どこで“コネクション”が嗅ぎ付けてもおかしくはありません」
 愛原「分かりました」
 善場「着手金は後ほど振り込ませて頂きます」
 愛原「ありがとうございます」

 私は善場係長をガレージまで見送った。
 そして、またエレベーターに乗って2階に戻ると……。

 愛原「善は急げだ。明日にでも行こう。すぐに準備するぞ」
 パール「かしこまりました」
 愛原「パールは個人的に、アンバーの連絡先は分かるか?」
 パール「一応は。ただ、今ここで私から連絡しない方がいいかもしれません」
 愛原「確かに、警戒するかもしれないな」

 私は直接アンバーに電話を掛けることにした。
 すると今度はリサが警戒して、私が変な事言わないかジト目で見て来るのだ。

 愛原「急な話で申し訳ないけど、明日でいいかな?」
 アンバー「いいとも!……お待ちしております!」

 とのこと。

 愛原「随分ノリが良くて明るいコのように聞こえるが?」
 パール「上辺だけですよ。外面だけです。すぐにメッキ剥がれますよ」
 愛原「そ、そう?」
 パール「ところで、アンバーとはどこで合流を?」
 愛原「現地らしいな。つまり、現地まで自力で来いってことだ」
 パール「どうします?」
 愛原「途中まで新幹線とか電車で行って、そこからレンタカーでも借りて行った方がいいだろう。その予約もしよう」
 パール「かしこまりました」

 私は自分の机に座ると、明日の準備を始めた。

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