[6月12日17時30分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]
リサ「雨だよ?」
愛原「どうやら、ゲリラ豪雨でも降ってきたみたいだな。もうそんな季節だ」
窓は閉めているが、それでも雨音や遠雷が聞こえて来る。
善場係長達がいつでも来れるようガレージを開けていると、事務所の前に1台の黒塗りミニバンが止まった。
そこから慌てて降りて来たのは善場係長。
車がバックして入庫する時間さえ勿体無いといった感じだった。
係長が助手席から降りると、車はバックで入庫したが。
リサ「エレベーター、4階に上げておこうかな?w」
愛原「係長にバレたら、頭を蜂の巣にされるぞ?」
リサ「美味しい蜂蜜が取れそうだね」
愛原「取れねーよ!」
そうこうしているうちに、善場係長がエレベーターで2階に上がって来た。
善場「急な訪問で申し訳ございません!高橋被告に騙されてしまいました!」
愛原「とはいっても、法律違反ってわけではないですからね」
善場「いいえ。捜査を攪乱する目的であったのであれば、立派な公務執行妨害罪です。明日、それを追及したいと思います。立件できれば、被告は再逮捕となり、出所が遅まります」
リサ「怖っ!さすがは日本版リサ・トレヴァー『0番』」
愛原「主任、これが例のUSBメモリーです」
善場「確かに、先ほどの物よりも小型ですね」
愛原「何しろブルマの内ポケットに入るサイズですから」
私は善場係長にブルマを見せながら説明した。
愛原「この内ポケットにメモリーが入っていて、それで上の口を糸で縫い付けられて隠されていたというわけです」
善場「これもお預かりして宜しいでしょうか?」
愛原「どうぞどうぞ」
善場「このブルマーは、リサのではないとのことですね?」
リサ「うん。わたし、メーカーのタグが表に無いブルマは持ってないもん」
善場「分かりました。恐らくこのタイプは、今でも学生服店等で購入可能の物なのでしょう。高橋被告がどこで手に入れたのか、入手ルートを確認したいと思います。……因みにリサ自身は、どこで手に入れているのですか?」
リサ「最初は通販だね。その後で学生服店とか、あと、わたし達の活動のおかげで、学校の購買でも再販されるようになった」
善場「なるほど。通販でも手に入るのですね。分かりました」
足が付きにくいのを考えると、高橋のヤツが通販でこっそり購入した可能性があるな。
リサのブルマのサイズは、洗濯していたり、リサから名前の刺繍を入れる事を頼まれた時に分かるだろう。
件のブルマは、表にメーカーのタグが無いことを覗けば、本当に学校の体育用として使われていたとしても遜色無い材質である。
少なくとも、コスプレ用のようなチープさは無い。
そして、リサの名前を刺繍することにより、あたかもリサが最初から持っていたかのように装ったのだろうと私は話した。
善場「そうする理由は何だと思いますか?」
愛原「これは私の勝手な推理ですが、係長もリサが既に廃止されているブルマをあえて穿いていることは前々から御存知だったでしょう?」
善場「それがどうかしましたか?」
愛原「だから金庫の中からブルマが見つかった時、それ自体に何の違和感も覚えなかったんですよ。ましてや、ブルマにはリサの名前が刺繍されていました。既にリサが穿いていることを知っているから、それ自体には何の疑問も抱かなかったんです。本当だったら、今の時代では生で見かける機会なんてそうそう無いわけですから、本来は『何だこりゃ』レベルなんですよ」
善場「なるほど……。リサが穿いていて『当たり前』の心理を突かれてしまったというわけですね?」
愛原「そうです。ましてや、ブルマに内ポケットが付いていることを知っているのは、直接穿いているリサ達くらいです」
リサ「AVの『ブルマもの』に、内ポケットなんて出てこないもんねー」
愛原「リサ、黙ってろ」
リサ「……はーい」
愛原「実際、内ポケットに何かが仕込まれていることに気づいたのはリサでした」
リサ「でも小さいから、最初は気が付かなかったけどね」
リサ自身、本当に自分のかどうか確認する為に1度穿いてみたらしい。
そしたら、内ポケット越しに何か硬い物が当たる感触があり、それで気づいたとのこと。
愛原「リサ、現行の体操服の短パンだかハーフパンツだかに、内ポケットは付いてるか?」
リサ「無いね。短パンとかは、外側にポケットが付いてるから」
愛原「重ね穿き用のスパッツは?」
リサ「これもポケットは無いよ?」
愛原「なので、リサが私の為にブルマを穿いていたことは好都合だったわけです」
善場「高橋被告が、ブルマーに内ポケットが付いていると、どうして分かったのでしょう?」
リサ「付いてるヤツと、そうでないヤツがあるからね。学校の購買で売ってるのもそう。体育用の緑ブルマは内ポケットが無いけど、見せパン用とかアンスコ用の紺色のヤツはあるんだよね。で、わたし、それも持ってるから。それもお兄ちゃんに名前刺繍入れてもらったから、それでお兄ちゃんは知ったんだと思う」
善場「……そういうことでしたか。では、ほぼほぼ確信犯ですね。一応、中身を少しだけ確認しても宜しいですか?」
愛原「どうぞどうぞ。私達も確認しましたから」
係長は自分のバッグの中からノートPCを取り出すと、それで件のUSBメモリーを差して中身を確認した。
愛原「この通り、高橋の独白の映像となっています」
善場「……なるほど。半信半疑な無いようですが、解析はしたいと思います。これも含めて、明日は高橋被告に追及してみたいと思いますね」
善場係長はメモリーを外して、透明の袋に入れた。
そして、自分のPCをバッグにしまう。
善場「ご協力ありがとうございました。報酬は後ほど支払わせて頂きます」
愛原「ありがとうございます」
善場「……明日、またこちらの事務所にお邪魔してもよろしいでしょうか?恐らく、午後になるかと思いますが」
愛原「はい、大丈夫ですよ。高橋を追及した結果を教えて下さるのですか?」
善場「捜査機密に触れない程度でしたら。新たに依頼したいことがあるのですが、まずは高橋被告と面会してからだと思っています」
愛原「了解です。お待ちしております」
善場「もしかしすると、霧崎さんは、あまり高橋被告と話ができないかもしれませんね」
愛原「後でパールには言っておきます。まあ、差し入れだけでもさせてやってください」
善場「それは構いません。弁護士ではないので、向こうに行って、すぐに面会できるわけではないですから」
係長と一緒にエレベーターに乗って、1階のガレージまで見送る。
愛原「うわっ!」
外は凄い雨になっていた。
ガレージの中にも雨風が時折、吹き込んで来る。
そして、上空は稲光と雷鳴。
ガチのゲリラ豪雨だった。
愛原「大丈夫ですか、係長?」
善場「大丈夫です。なるべく早く事務所に戻りたいので。それでは、失礼します」
善場係長が助手席に乗り込むと、間髪入れずに車が出て行った。
愛原「急いで閉めよう」
私は急いでガレージのシャッターを閉めた。
ガレージ内にも排水口はあるが、ヘタすると排水が追い付かず、冠水するかもしれなかった。
因みにガレージは1階とはいえ、階段にすれば数段下にある。
ガッシャーンと大きな音を立てて、ガレージの電動シャッターが閉まる。
おかげで雨風は入って来なくなったが、その代わり、それがシャッターに打ち付けられる音がガレージ内に響いた。
愛原「これでいい。一先ず安心だ」
リサ「玄関も戸締りしてくるね?」
愛原「ああ、頼む」
さすがに今日はもう飛び込みの依頼者とかはいないだろう。
アポイントのある来訪者は、先ほどの善場係長で今日は終わりだ。
玄関は強化ガラス扉になっている。
リサ「はい、オッケー!」
愛原「ありがとう。じゃあ、戻るか」
まもなく、夕食時である。
私達はエレベーターに乗って、まずは2階に戻った。
リサ「雨だよ?」
愛原「どうやら、ゲリラ豪雨でも降ってきたみたいだな。もうそんな季節だ」
窓は閉めているが、それでも雨音や遠雷が聞こえて来る。
善場係長達がいつでも来れるようガレージを開けていると、事務所の前に1台の黒塗りミニバンが止まった。
そこから慌てて降りて来たのは善場係長。
車がバックして入庫する時間さえ勿体無いといった感じだった。
係長が助手席から降りると、車はバックで入庫したが。
リサ「エレベーター、4階に上げておこうかな?w」
愛原「係長にバレたら、頭を蜂の巣にされるぞ?」
リサ「美味しい蜂蜜が取れそうだね」
愛原「取れねーよ!」
そうこうしているうちに、善場係長がエレベーターで2階に上がって来た。
善場「急な訪問で申し訳ございません!高橋被告に騙されてしまいました!」
愛原「とはいっても、法律違反ってわけではないですからね」
善場「いいえ。捜査を攪乱する目的であったのであれば、立派な公務執行妨害罪です。明日、それを追及したいと思います。立件できれば、被告は再逮捕となり、出所が遅まります」
リサ「怖っ!さすがは日本版リサ・トレヴァー『0番』」
愛原「主任、これが例のUSBメモリーです」
善場「確かに、先ほどの物よりも小型ですね」
愛原「何しろブルマの内ポケットに入るサイズですから」
私は善場係長にブルマを見せながら説明した。
愛原「この内ポケットにメモリーが入っていて、それで上の口を糸で縫い付けられて隠されていたというわけです」
善場「これもお預かりして宜しいでしょうか?」
愛原「どうぞどうぞ」
善場「このブルマーは、リサのではないとのことですね?」
リサ「うん。わたし、メーカーのタグが表に無いブルマは持ってないもん」
善場「分かりました。恐らくこのタイプは、今でも学生服店等で購入可能の物なのでしょう。高橋被告がどこで手に入れたのか、入手ルートを確認したいと思います。……因みにリサ自身は、どこで手に入れているのですか?」
リサ「最初は通販だね。その後で学生服店とか、あと、わたし達の活動のおかげで、学校の購買でも再販されるようになった」
善場「なるほど。通販でも手に入るのですね。分かりました」
足が付きにくいのを考えると、高橋のヤツが通販でこっそり購入した可能性があるな。
リサのブルマのサイズは、洗濯していたり、リサから名前の刺繍を入れる事を頼まれた時に分かるだろう。
件のブルマは、表にメーカーのタグが無いことを覗けば、本当に学校の体育用として使われていたとしても遜色無い材質である。
少なくとも、コスプレ用のようなチープさは無い。
そして、リサの名前を刺繍することにより、あたかもリサが最初から持っていたかのように装ったのだろうと私は話した。
善場「そうする理由は何だと思いますか?」
愛原「これは私の勝手な推理ですが、係長もリサが既に廃止されているブルマをあえて穿いていることは前々から御存知だったでしょう?」
善場「それがどうかしましたか?」
愛原「だから金庫の中からブルマが見つかった時、それ自体に何の違和感も覚えなかったんですよ。ましてや、ブルマにはリサの名前が刺繍されていました。既にリサが穿いていることを知っているから、それ自体には何の疑問も抱かなかったんです。本当だったら、今の時代では生で見かける機会なんてそうそう無いわけですから、本来は『何だこりゃ』レベルなんですよ」
善場「なるほど……。リサが穿いていて『当たり前』の心理を突かれてしまったというわけですね?」
愛原「そうです。ましてや、ブルマに内ポケットが付いていることを知っているのは、直接穿いているリサ達くらいです」
リサ「AVの『ブルマもの』に、内ポケットなんて出てこないもんねー」
愛原「リサ、黙ってろ」
リサ「……はーい」
愛原「実際、内ポケットに何かが仕込まれていることに気づいたのはリサでした」
リサ「でも小さいから、最初は気が付かなかったけどね」
リサ自身、本当に自分のかどうか確認する為に1度穿いてみたらしい。
そしたら、内ポケット越しに何か硬い物が当たる感触があり、それで気づいたとのこと。
愛原「リサ、現行の体操服の短パンだかハーフパンツだかに、内ポケットは付いてるか?」
リサ「無いね。短パンとかは、外側にポケットが付いてるから」
愛原「重ね穿き用のスパッツは?」
リサ「これもポケットは無いよ?」
愛原「なので、リサが私の為にブルマを穿いていたことは好都合だったわけです」
善場「高橋被告が、ブルマーに内ポケットが付いていると、どうして分かったのでしょう?」
リサ「付いてるヤツと、そうでないヤツがあるからね。学校の購買で売ってるのもそう。体育用の緑ブルマは内ポケットが無いけど、見せパン用とかアンスコ用の紺色のヤツはあるんだよね。で、わたし、それも持ってるから。それもお兄ちゃんに名前刺繍入れてもらったから、それでお兄ちゃんは知ったんだと思う」
善場「……そういうことでしたか。では、ほぼほぼ確信犯ですね。一応、中身を少しだけ確認しても宜しいですか?」
愛原「どうぞどうぞ。私達も確認しましたから」
係長は自分のバッグの中からノートPCを取り出すと、それで件のUSBメモリーを差して中身を確認した。
愛原「この通り、高橋の独白の映像となっています」
善場「……なるほど。半信半疑な無いようですが、解析はしたいと思います。これも含めて、明日は高橋被告に追及してみたいと思いますね」
善場係長はメモリーを外して、透明の袋に入れた。
そして、自分のPCをバッグにしまう。
善場「ご協力ありがとうございました。報酬は後ほど支払わせて頂きます」
愛原「ありがとうございます」
善場「……明日、またこちらの事務所にお邪魔してもよろしいでしょうか?恐らく、午後になるかと思いますが」
愛原「はい、大丈夫ですよ。高橋を追及した結果を教えて下さるのですか?」
善場「捜査機密に触れない程度でしたら。新たに依頼したいことがあるのですが、まずは高橋被告と面会してからだと思っています」
愛原「了解です。お待ちしております」
善場「もしかしすると、霧崎さんは、あまり高橋被告と話ができないかもしれませんね」
愛原「後でパールには言っておきます。まあ、差し入れだけでもさせてやってください」
善場「それは構いません。弁護士ではないので、向こうに行って、すぐに面会できるわけではないですから」
係長と一緒にエレベーターに乗って、1階のガレージまで見送る。
愛原「うわっ!」
外は凄い雨になっていた。
ガレージの中にも雨風が時折、吹き込んで来る。
そして、上空は稲光と雷鳴。
ガチのゲリラ豪雨だった。
愛原「大丈夫ですか、係長?」
善場「大丈夫です。なるべく早く事務所に戻りたいので。それでは、失礼します」
善場係長が助手席に乗り込むと、間髪入れずに車が出て行った。
愛原「急いで閉めよう」
私は急いでガレージのシャッターを閉めた。
ガレージ内にも排水口はあるが、ヘタすると排水が追い付かず、冠水するかもしれなかった。
因みにガレージは1階とはいえ、階段にすれば数段下にある。
ガッシャーンと大きな音を立てて、ガレージの電動シャッターが閉まる。
おかげで雨風は入って来なくなったが、その代わり、それがシャッターに打ち付けられる音がガレージ内に響いた。
愛原「これでいい。一先ず安心だ」
リサ「玄関も戸締りしてくるね?」
愛原「ああ、頼む」
さすがに今日はもう飛び込みの依頼者とかはいないだろう。
アポイントのある来訪者は、先ほどの善場係長で今日は終わりだ。
玄関は強化ガラス扉になっている。
リサ「はい、オッケー!」
愛原「ありがとう。じゃあ、戻るか」
まもなく、夕食時である。
私達はエレベーターに乗って、まずは2階に戻った。
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