[3月25日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
それにしても……春は眠いねぇ……。
もう起きる時間なのに、この誘惑はたまりませんな。
1000年以上も生きている、とある大魔道師さんの気持ちが分かるというもの。
愛原:「ん?」
そこへ私のベッドの中にそっと入って来る者がいた。
愛原:「な、何だ?」
私が掛布団を取ると、そこにはバスタオルだけ巻いているリサがいた。
愛原:「うわっ、何だリサ!?」
リサ:「愛原さんが気持ち良さそうに寝てるから、添い寝」
リサはさも当然であるかのように言った。
全国のロリコンから羨ましがられる光景ですな。
しかし、私にはそのケは無いので……。
高橋:「くぉらっ!!」
と、そこへ高橋がドアを思いっきりこじ開けて飛び込んで来た。
高橋:「リサっ!てめっ、そこは俺のポジだぞ!あぁっ!?」
愛原:「アホか!」
私は急いで飛び起きた。
愛原:「俺専用だ!お前らにはやらん!」
リサ:「えー」
高橋:「えー」
思いっ切り残念そうな顔をするリサと高橋。
愛原:「リサは早く服を着ろ!高橋、オマエもな!」
リサ:「はーい」
高橋:「はーい」
高橋は一応、下にボクサーパンツは穿いている。
顔はイケメンで肉体美もそれだけで落ちる女も多いだろうに、LGBTのGとはな。
非常に残念だ。
愛原:「全く……」
私が洗面所に行って顔を洗ったりヒゲを剃ったりしていると、鏡には白いブラウスだけ着たリサがトイレに行くのが見えた。
このくらいの歳の女の子って、家族にすら裸体を見せたくなくなると思うのだが、リサだけは別なのか。
BOWに改造されたことで、その辺の思考が人間とズレてしまっていると思われる。
BOWが人間に襲って来る時って、もう大体が人間の原型が無くなっている状態だからな。
高橋:「先生!朝飯できましたよ!」
愛原:「おーう!」
高橋は家事全般のスキルも最高。
実に勿体無い。
リサ:「愛原さん、今日は修了式」
学校の制服に着替えたリサが、私の向かいの席に座るとそう言った。
愛原:「おっ、もうそんな時期か」
私はついカレンダーを見た。
そして納得して焼き鮭に箸をつける。
高橋:「卒業式はもうとっくに終わってる時期なんですよ。いやあ、懐かしい」
愛原:「リアル尾崎豊のようなことをしたんだろ?」
高橋:「盗んだバイクで走ったりしてませんよ!」
愛原:「一応、歌詞は知ってるんかい」
高橋:「走り屋目指してた俺は、専ら車です」
愛原:「中卒で車かい!そりゃ少年院送り込まれるわ!」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「いや、褒めてねーし!お前は改造バイクを乗り回してたってイメージもあるんだがな」
高橋:「そういう時期もありましたよ」
愛原:「あ、やっぱり」
高橋:「でもバイクだと、できること限られてるんで」
愛原:「ん?」
高橋:「バイク飛ばしながらタバコもジュースも飲めないんスよ」
愛原:「そりゃそうだろ」
高橋:「オマケに道具(凶器)も積めないから、持てるヤツは限られてるし。そういった意味では車の方がラクでしたね」
愛原:「案外、実用主義な考えをした暴走族だったんだな」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「いや、だから褒めてねーから」
高橋:「鉄パイプだのバールのようなものだの、結構重いんスよ」
愛原:「だろうな」
高橋:「自分ではそれを持てても、いざバイクに積もうとすると、重くて重心が変になっちゃうんです」
愛原:「ほお……?」
私はバイクの免許を持っていないから、あまりイメージは湧かないが……。
高橋:「それでバランス崩してガードレールに突っ込んだバカがいましてね。何回か花を供えに行ったこともありましたよ。で、やっぱバイクより車だなぁとそん時思いました」
愛原:「お前は尾崎豊よりもチェッカーズの方かな」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「チェッカーズで意味分かったのかよw」
私はリサの方を向いた。
愛原:「今日が修了式ってことは、昼頃には帰って来るってことか?」
リサ:「そう」
リサは大きく頷いた。
愛原:「お昼はどうしようかな?」
高橋:「今更弁当は作れませんよ?」
リサ:「学校終わったら、サイトーの家に遊びに行く。サイトーが御馳走してくれるって」
愛原:「おっ、そうかそうか。それは良かった。ん?それは埼玉の方?」
リサ:「こっちの方」
愛原:「じゃあ、徒歩圏内だな」
リサ:「埼玉の方も遊びに来てと言ってたけど」
愛原:「それはまた後日にすればいいさ。どうせ、修了式が終わったら春休みなんだからな」
高橋:「俺はまたバイクで走りたくなって来ましたねぇ……」
愛原:「旧車會にでも入ってんの?」
高橋:「いやいや。今は走り屋のサークルですよ」
でもコイツの場合、“イニシャルD”みたいなのは想像しない方がいいんだろうな。
[同日09:00.天候:晴 同地区 愛原学探偵事務所]
高野:「へぇ。リサちゃん、今日が修了式ですか」
愛原:「そうなんだ。来月から2年生だよ」
高橋:「フフ……俺が中2の時は……」
愛原:「オマエのリアル中2は、中二病がリアルになったって話だろ」
高橋:「何で御存知なんですか!?」
愛原:「探偵ナメんな!」
高橋:「すいませんでした!さすがは先生!名探偵っス!」
高野:(コイツの場合、大体想像つくし、その想像は大体当たりなだけなんだけどね)
高野君はそのように想像したらしい。
その上で……。
高野:「でも2年生になってしばらくしたら、受験のことを気にしなくちゃならなくなりますね」
愛原:「いや、その心配は無いよ。普段の成績さえ良ければ」
高野:「と、言いますと?」
愛原:「いや、東京中央学園は中高一貫教育だから、一定の成績さえ確保できていれば、自動で高等部に上がれるんだ。ま、大学は受験しないといけないけどね。あと、高等部は校舎が違う……くらいかな」
制服もブレザーがシングルからダブルに変わるんだっけ。
リサは旧アンブレラの研究所に押し込められていた時、その仲間と共にセーラー服とよく似たデザインの服を『制服』として着せられていた。
だからリサは、そのデザインの服が嫌いであった。
もし東京中央学園の女子制服がセーラー服であったら、リサは通うのを嫌がったかもしれない。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
それにしても……春は眠いねぇ……。
もう起きる時間なのに、この誘惑はたまりませんな。
1000年以上も生きている、とある大魔道師さんの気持ちが分かるというもの。
愛原:「ん?」
そこへ私のベッドの中にそっと入って来る者がいた。
愛原:「な、何だ?」
私が掛布団を取ると、そこにはバスタオルだけ巻いているリサがいた。
愛原:「うわっ、何だリサ!?」
リサ:「愛原さんが気持ち良さそうに寝てるから、添い寝」
リサはさも当然であるかのように言った。
全国のロリコンから羨ましがられる光景ですな。
しかし、私にはそのケは無いので……。
高橋:「くぉらっ!!」
と、そこへ高橋がドアを思いっきりこじ開けて飛び込んで来た。
高橋:「リサっ!てめっ、そこは俺のポジだぞ!あぁっ!?」
愛原:「アホか!」
私は急いで飛び起きた。
愛原:「俺専用だ!お前らにはやらん!」
リサ:「えー」
高橋:「えー」
思いっ切り残念そうな顔をするリサと高橋。
愛原:「リサは早く服を着ろ!高橋、オマエもな!」
リサ:「はーい」
高橋:「はーい」
高橋は一応、下にボクサーパンツは穿いている。
顔はイケメンで肉体美もそれだけで落ちる女も多いだろうに、LGBTのGとはな。
非常に残念だ。
愛原:「全く……」
私が洗面所に行って顔を洗ったりヒゲを剃ったりしていると、鏡には白いブラウスだけ着たリサがトイレに行くのが見えた。
このくらいの歳の女の子って、家族にすら裸体を見せたくなくなると思うのだが、リサだけは別なのか。
BOWに改造されたことで、その辺の思考が人間とズレてしまっていると思われる。
BOWが人間に襲って来る時って、もう大体が人間の原型が無くなっている状態だからな。
高橋:「先生!朝飯できましたよ!」
愛原:「おーう!」
高橋は家事全般のスキルも最高。
実に勿体無い。
リサ:「愛原さん、今日は修了式」
学校の制服に着替えたリサが、私の向かいの席に座るとそう言った。
愛原:「おっ、もうそんな時期か」
私はついカレンダーを見た。
そして納得して焼き鮭に箸をつける。
高橋:「卒業式はもうとっくに終わってる時期なんですよ。いやあ、懐かしい」
愛原:「リアル尾崎豊のようなことをしたんだろ?」
高橋:「盗んだバイクで走ったりしてませんよ!」
愛原:「一応、歌詞は知ってるんかい」
高橋:「走り屋目指してた俺は、専ら車です」
愛原:「中卒で車かい!そりゃ少年院送り込まれるわ!」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「いや、褒めてねーし!お前は改造バイクを乗り回してたってイメージもあるんだがな」
高橋:「そういう時期もありましたよ」
愛原:「あ、やっぱり」
高橋:「でもバイクだと、できること限られてるんで」
愛原:「ん?」
高橋:「バイク飛ばしながらタバコもジュースも飲めないんスよ」
愛原:「そりゃそうだろ」
高橋:「オマケに道具(凶器)も積めないから、持てるヤツは限られてるし。そういった意味では車の方がラクでしたね」
愛原:「案外、実用主義な考えをした暴走族だったんだな」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「いや、だから褒めてねーから」
高橋:「鉄パイプだのバールのようなものだの、結構重いんスよ」
愛原:「だろうな」
高橋:「自分ではそれを持てても、いざバイクに積もうとすると、重くて重心が変になっちゃうんです」
愛原:「ほお……?」
私はバイクの免許を持っていないから、あまりイメージは湧かないが……。
高橋:「それでバランス崩してガードレールに突っ込んだバカがいましてね。何回か花を供えに行ったこともありましたよ。で、やっぱバイクより車だなぁとそん時思いました」
愛原:「お前は尾崎豊よりもチェッカーズの方かな」
高橋:「ありがとうございます」
愛原:「チェッカーズで意味分かったのかよw」
私はリサの方を向いた。
愛原:「今日が修了式ってことは、昼頃には帰って来るってことか?」
リサ:「そう」
リサは大きく頷いた。
愛原:「お昼はどうしようかな?」
高橋:「今更弁当は作れませんよ?」
リサ:「学校終わったら、サイトーの家に遊びに行く。サイトーが御馳走してくれるって」
愛原:「おっ、そうかそうか。それは良かった。ん?それは埼玉の方?」
リサ:「こっちの方」
愛原:「じゃあ、徒歩圏内だな」
リサ:「埼玉の方も遊びに来てと言ってたけど」
愛原:「それはまた後日にすればいいさ。どうせ、修了式が終わったら春休みなんだからな」
高橋:「俺はまたバイクで走りたくなって来ましたねぇ……」
愛原:「旧車會にでも入ってんの?」
高橋:「いやいや。今は走り屋のサークルですよ」
でもコイツの場合、“イニシャルD”みたいなのは想像しない方がいいんだろうな。
[同日09:00.天候:晴 同地区 愛原学探偵事務所]
高野:「へぇ。リサちゃん、今日が修了式ですか」
愛原:「そうなんだ。来月から2年生だよ」
高橋:「フフ……俺が中2の時は……」
愛原:「オマエのリアル中2は、中二病がリアルになったって話だろ」
高橋:「何で御存知なんですか!?」
愛原:「探偵ナメんな!」
高橋:「すいませんでした!さすがは先生!名探偵っス!」
高野:(コイツの場合、大体想像つくし、その想像は大体当たりなだけなんだけどね)
高野君はそのように想像したらしい。
その上で……。
高野:「でも2年生になってしばらくしたら、受験のことを気にしなくちゃならなくなりますね」
愛原:「いや、その心配は無いよ。普段の成績さえ良ければ」
高野:「と、言いますと?」
愛原:「いや、東京中央学園は中高一貫教育だから、一定の成績さえ確保できていれば、自動で高等部に上がれるんだ。ま、大学は受験しないといけないけどね。あと、高等部は校舎が違う……くらいかな」
制服もブレザーがシングルからダブルに変わるんだっけ。
リサは旧アンブレラの研究所に押し込められていた時、その仲間と共にセーラー服とよく似たデザインの服を『制服』として着せられていた。
だからリサは、そのデザインの服が嫌いであった。
もし東京中央学園の女子制服がセーラー服であったら、リサは通うのを嫌がったかもしれない。