[11月2日16時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
リサ「ちょうどお腹が空いてたのォォォォォ!!人間の肉ゥゥゥゥ食わせろぉぉぉぉぉ!!」
栗原蓮華「人食い鬼が!成敗する!!」
第1形態に戻ったリサが白い仮面を脱ぎ捨て、牙と長い爪を持って栗原蓮華に飛び掛かる。
蓮華は鬼斬り用の真剣である打刀ではなく、模造刀である全く斬れない脇差を抜くと、それでリサに斬り掛かった。
鬼斬りらしく、首を狙う。
リサ「がはっ……!や……ら……れ……た……!」
リサ、その場に倒れる。
蓮華「人食い鬼、成敗」
蓮華は脇差についた鬼の血を振り払うと、それを鞘に納めた。
しかし、リサの体からは血は出ていないし、蓮華の脇差も血はついていない。
リサはムクッと起き上がった。
リサ「こういう感じでツアーは終了」
蓮華「はー……とんだ茶番だわー……。何でこんなの引き受けたんだろ……」
蓮華は右手を頭にやって溜め息をついた。
愛原「蓮華さんだってノリノリじゃない。剣道着に袴まで穿いてきて」
蓮華「こ、これは……剣道部の部活が……」
リサ「運動部の3年生は、そろそろ受験とかで忙しくなるから、2年生に引き継いで引退って聞いてるけど……」
蓮華「わ、私の進学先は学園大だからいいの!」
付属の大学なので、高校の成績や功績次第では推薦で入学できる。
愛原「で、こういうイベントを毎回ツアーごとに行うわけか」
リサ「そう!」
愛原「どうだろう?たまには蓮華さんが負けてみたら?」
蓮華「ええっ?」
リサ「それいい!袴だけ脱がして、公開おもらしショー!」
蓮華「マジで首刎ねるぞ!!」
愛原「そういうことじゃなくて。要は、ディズニーランドのシンデレラ城方式だよ」
リサ「そんなのパクッて、後でオリエンタルランドからクレーム来ない?」
愛原「だ、大丈夫だ。要は本来、人食い鬼であるリサを倒すはずの蓮華さんが負けてしまい、他の参加者が倒さなきゃいけないという状況になる。その誰かに倒してもらうというイベントだ」
淀橋「それは面白そうですね!」
リサ「ヨドバシ、裏切り者」
淀橋「あっ……!」
愛原「ま、いきなりの変更は難しいかもしれないけど、参考までに……」
リサ「じゃあ、先生が監修して」
愛原「ええっ!?」
リサ「明日は先生も来るんでしょ?先生がツアーに参加した時に、鬼斬りセンパイがわたしにやられる。その時、先生が銃でわたしを撃って倒すというのはどう?」
愛原「身内同士だと、八百長臭いからダメだ。誰かが銃を拾い、それでリサに撃って倒すというのはどうだ?」
小島「でも、銃はどうやって用意するんです?本物なんか持ち込んだら危ないですよ?」
愛原「銃は俺のハンドガンを使う。これは本物だけど、装填する銃弾は空包とする。これなら発砲音はしても、リサに対して殺傷能力は全く無い」
リサ「まあ、本物でも、そんなものでわたしは殺せない」
愛原「それでも被弾した時に血は出るから、制服が汚れるだろ?」
リサ「それもそうだ」
愛原「そういうことにしよう」
面白いイベントにはなりそうだった。
[同日18時00分 天候:曇 同高校1階・家庭科室]
愛原「家政部の料理はカレーか」
リサ「これなら大量に作っておけるし、1日寝かせて、明日は更に美味しいカレーになるんだって」
愛原「考えたな」
愛原は帰ろうとしたのだが、家政部の中に『魔王軍』がいるということで、ついでに夕食を食べて行ってほしいと引き留められた。
愛原「うん、美味い美味い」
リサ「わたしも手伝ったんだよ!」
愛原「リサが作ると、大辛になるからなぁ……」
家政部員「一応、万人受けするように、中辛で作りました」
愛原「うん、そうだね。こういうのでいいんだよ、こういうので」
リサ「わたしには、ちょっと物足りないかな……」
愛原「だったら、唐辛子入れればいいだろう」
リサ「先生、朝ごはんは?」
愛原「適当に食べてくるよ」
家政部員「だったら朝カレーもありますよ?」
リサ「だって」
愛原「おいおい……。ていうか、リサ達はどうするんだ?」
リサ「朝カレー食べる」
愛原「マジか……」
明日の文化祭までに、『魔王軍』達で完食しちゃうんじゃないのかと心配になった愛原だった。
[同日19時00分 天候:雨 同高校女子水泳部室・シャワー室]
愛原はホテルへと引き上げ、『魔王軍』メンバー十数名が残った。
メンバーの中には非正規員もおり、彼女らは他の出し物に参加する為、今回は泊まらない。
泊まるのはリサと四天王、そして正規員だけであった。
リサ「ふう……」
淀橋「良かったね。シャワー借りられて」
リサ「ん」
リサはシャワーから出ると、体を拭いた。
小島「女子水泳部にも七不思議の噂があるんですよね」
リサ「女子水泳部員の幽霊の話か。ロッカーの中にマネキン仕掛けておいて。あとは、わたしが特異菌仕掛けて動くようにするから」
女子水泳部員が活動中に溺死するという事故が過去に起きた。
それ以来、その部員が使っていたロッカーを使うと、呪われて自分も溺れるという。
そのロッカーがどこかは分からないが、もしも扉を開けて、彼女の幽霊と遭遇した場合、ただ単に溺れるだけでは済まない……という噂であった。
上野凛「はーい」
桜谷「上野さん、楽しそうね?」
凛「まあ、女子陸上部には怖い話は無いから。男子陸上部には、キナ臭い話はあるけどね」
リサ「ああ。昔、男子バスケ部ともめた話か……」
まだバスケがそんなに人気があるわけではなかった頃、男子陸上部に期待の新人が入った。
しかし、当時の男子バスケ部のキャプテンは、そんな新人こそバスケ部の強化に必要と、引き抜きを画策した。
当然、男子陸上部は面白くない。
となれば、トラブル勃発は必至だった。
人間の歪んだ情熱が起こした怖い話という、お化けも幽霊も登場しない珍しい怪談話である。
リサ「わたしも聞いたけど、あれ、男子だから直接的なケンカで済んだけど、女子だったら陰湿で、もっと怖い話になってたと思うよ?」
凛「え、ええ。それは……言えてますね」
リサ「こうしてみると、この学園、百不思議くらいあったから、それを全部ツアーにして回ろうとすると、文化祭が1週間は欲しいよね」
桜谷「一応、私も怖い話を聞いて、インパクトになった部分を絵にして描いてみましたが、やっぱり大変ですよ」
小島「『魔王様』に厳選して頂くしか無いですね」
リサ「分かってるよ」
リサは体操服のブルマを穿いた。
これが今夜の『魔王軍』の夜着である。
リサ「ちょうどお腹が空いてたのォォォォォ!!人間の肉ゥゥゥゥ食わせろぉぉぉぉぉ!!」
栗原蓮華「人食い鬼が!成敗する!!」
第1形態に戻ったリサが白い仮面を脱ぎ捨て、牙と長い爪を持って栗原蓮華に飛び掛かる。
蓮華は鬼斬り用の真剣である打刀ではなく、模造刀である全く斬れない脇差を抜くと、それでリサに斬り掛かった。
鬼斬りらしく、首を狙う。
リサ「がはっ……!や……ら……れ……た……!」
リサ、その場に倒れる。
蓮華「人食い鬼、成敗」
蓮華は脇差についた鬼の血を振り払うと、それを鞘に納めた。
しかし、リサの体からは血は出ていないし、蓮華の脇差も血はついていない。
リサはムクッと起き上がった。
リサ「こういう感じでツアーは終了」
蓮華「はー……とんだ茶番だわー……。何でこんなの引き受けたんだろ……」
蓮華は右手を頭にやって溜め息をついた。
愛原「蓮華さんだってノリノリじゃない。剣道着に袴まで穿いてきて」
蓮華「こ、これは……剣道部の部活が……」
リサ「運動部の3年生は、そろそろ受験とかで忙しくなるから、2年生に引き継いで引退って聞いてるけど……」
蓮華「わ、私の進学先は学園大だからいいの!」
付属の大学なので、高校の成績や功績次第では推薦で入学できる。
愛原「で、こういうイベントを毎回ツアーごとに行うわけか」
リサ「そう!」
愛原「どうだろう?たまには蓮華さんが負けてみたら?」
蓮華「ええっ?」
リサ「それいい!袴だけ脱がして、公開おもらしショー!」
蓮華「マジで首刎ねるぞ!!」
愛原「そういうことじゃなくて。要は、ディズニーランドのシンデレラ城方式だよ」
リサ「そんなのパクッて、後でオリエンタルランドからクレーム来ない?」
愛原「だ、大丈夫だ。要は本来、人食い鬼であるリサを倒すはずの蓮華さんが負けてしまい、他の参加者が倒さなきゃいけないという状況になる。その誰かに倒してもらうというイベントだ」
淀橋「それは面白そうですね!」
リサ「ヨドバシ、裏切り者」
淀橋「あっ……!」
愛原「ま、いきなりの変更は難しいかもしれないけど、参考までに……」
リサ「じゃあ、先生が監修して」
愛原「ええっ!?」
リサ「明日は先生も来るんでしょ?先生がツアーに参加した時に、鬼斬りセンパイがわたしにやられる。その時、先生が銃でわたしを撃って倒すというのはどう?」
愛原「身内同士だと、八百長臭いからダメだ。誰かが銃を拾い、それでリサに撃って倒すというのはどうだ?」
小島「でも、銃はどうやって用意するんです?本物なんか持ち込んだら危ないですよ?」
愛原「銃は俺のハンドガンを使う。これは本物だけど、装填する銃弾は空包とする。これなら発砲音はしても、リサに対して殺傷能力は全く無い」
リサ「まあ、本物でも、そんなものでわたしは殺せない」
愛原「それでも被弾した時に血は出るから、制服が汚れるだろ?」
リサ「それもそうだ」
愛原「そういうことにしよう」
面白いイベントにはなりそうだった。
[同日18時00分 天候:曇 同高校1階・家庭科室]
愛原「家政部の料理はカレーか」
リサ「これなら大量に作っておけるし、1日寝かせて、明日は更に美味しいカレーになるんだって」
愛原「考えたな」
愛原は帰ろうとしたのだが、家政部の中に『魔王軍』がいるということで、ついでに夕食を食べて行ってほしいと引き留められた。
愛原「うん、美味い美味い」
リサ「わたしも手伝ったんだよ!」
愛原「リサが作ると、大辛になるからなぁ……」
家政部員「一応、万人受けするように、中辛で作りました」
愛原「うん、そうだね。こういうのでいいんだよ、こういうので」
リサ「わたしには、ちょっと物足りないかな……」
愛原「だったら、唐辛子入れればいいだろう」
リサ「先生、朝ごはんは?」
愛原「適当に食べてくるよ」
家政部員「だったら朝カレーもありますよ?」
リサ「だって」
愛原「おいおい……。ていうか、リサ達はどうするんだ?」
リサ「朝カレー食べる」
愛原「マジか……」
明日の文化祭までに、『魔王軍』達で完食しちゃうんじゃないのかと心配になった愛原だった。
[同日19時00分 天候:雨 同高校女子水泳部室・シャワー室]
愛原はホテルへと引き上げ、『魔王軍』メンバー十数名が残った。
メンバーの中には非正規員もおり、彼女らは他の出し物に参加する為、今回は泊まらない。
泊まるのはリサと四天王、そして正規員だけであった。
リサ「ふう……」
淀橋「良かったね。シャワー借りられて」
リサ「ん」
リサはシャワーから出ると、体を拭いた。
小島「女子水泳部にも七不思議の噂があるんですよね」
リサ「女子水泳部員の幽霊の話か。ロッカーの中にマネキン仕掛けておいて。あとは、わたしが特異菌仕掛けて動くようにするから」
女子水泳部員が活動中に溺死するという事故が過去に起きた。
それ以来、その部員が使っていたロッカーを使うと、呪われて自分も溺れるという。
そのロッカーがどこかは分からないが、もしも扉を開けて、彼女の幽霊と遭遇した場合、ただ単に溺れるだけでは済まない……という噂であった。
上野凛「はーい」
桜谷「上野さん、楽しそうね?」
凛「まあ、女子陸上部には怖い話は無いから。男子陸上部には、キナ臭い話はあるけどね」
リサ「ああ。昔、男子バスケ部ともめた話か……」
まだバスケがそんなに人気があるわけではなかった頃、男子陸上部に期待の新人が入った。
しかし、当時の男子バスケ部のキャプテンは、そんな新人こそバスケ部の強化に必要と、引き抜きを画策した。
当然、男子陸上部は面白くない。
となれば、トラブル勃発は必至だった。
人間の歪んだ情熱が起こした怖い話という、お化けも幽霊も登場しない珍しい怪談話である。
リサ「わたしも聞いたけど、あれ、男子だから直接的なケンカで済んだけど、女子だったら陰湿で、もっと怖い話になってたと思うよ?」
凛「え、ええ。それは……言えてますね」
リサ「こうしてみると、この学園、百不思議くらいあったから、それを全部ツアーにして回ろうとすると、文化祭が1週間は欲しいよね」
桜谷「一応、私も怖い話を聞いて、インパクトになった部分を絵にして描いてみましたが、やっぱり大変ですよ」
小島「『魔王様』に厳選して頂くしか無いですね」
リサ「分かってるよ」
リサは体操服のブルマを穿いた。
これが今夜の『魔王軍』の夜着である。