映画「西の魔女が死んだ」を観た。
なぜ、この映画を見る気になったのか、……それは、魔女に聞いてみてください。
映画は大自然に囲まれた、石が好きだった夫の残した山荘風の家で暮らす、祖母と孫娘のロハスな日常が淡々と描かれる。
ハーブと野イチゴとジャム作り、花とおしゃべり。贅沢なものは何もない。
が、なんと豊饒な、心の満ち足りた暮らしなのか。
物語は、中学3年生になった少女・まい(高橋真悠)は、学校に行くのが辛くなり(今風に言えば登校拒否)、ママ(りょう)の運転する車で、おばあちゃん(サチ・パーカー、アカデミー賞女優シャーリー・マクレーンの実娘。流暢な日本語を静に話す)の家へ向かう。祖母・おばあちゃんは、魔女の家系を曳くイギリス人。
豊かな自然(撮影地は八ヶ岳高原清里)の中で、まいは自然とともに生きる暮らしと、魔女修業が始まった。魔女修行とは、早寝早起きをして、規則正しい生活をすること。そしてもう一つ、「何事も自分で決める」ということだった。
まいは生きる活力を取り戻していく。おばあちゃんがまいにかけた“魔法”とは? 最後に受け取る“秘密のメッセージ”とは?……
勇気が出る魔女語録の一つを紹介します。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ」
原作は梨木香歩が1994年に発表した同名の小説「西の魔女が死んだ」新潮文庫。
この作品は、小学館文学賞、日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞など数々の賞を受けているという。
タニシ的評価で言えば、期待値80に対し30%。
二人のスローライフな日常に、他者(隣人と郵便屋さん)が関わると、静止しているようなスクリーンが突如、狂音声の夾雑的な雰囲気になる。それまで続いていたおばあちゃんの、詩的な会話との落差に、何度も苛立った。
まいの、他者を拒絶する心理感の表現と理解すれば、演出されたものとも、思えるが……、この辺が、この映画の評価の分かれ目になる。