たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

上田城下の真田丸が”燃えている”

2016-01-05 21:49:10 | Journalism

早くも七草の日がきます。
元日から全く何もしないで過ごしました。
ブログアップのネタもないので、今年は故郷が大河のご当地になっています。
その辺のことを書き連ねてみました。



「明日は、お前、死ぬる身じゃな」
急に、女のささやきが聞こえてきた。
槍を両腕に抱いたまま、ようやく、仮眠の中に分け入ろうとしていた向井佐平次の耳朶へ、
女の熱い息がかかり、
「死ぬ前に、女の躰、抱きとうはないかえ‥‥」
と、いう。
闇の中で、なまぐさいまでにただよう女の濃密な体臭には、血の匂いもまじっているかのようだ。
「ほれ‥‥」
背後から女の手が、佐平次の腕をつかみ、引き寄せた。
たちまちに、佐平次の掌が、たっぷりと量感をたたえた重い乳房にふれた。
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「どうじゃ、若い人‥‥」
うしろから、くびすじへ巻きつけてきた女のふとやかな腕を振り払い、向井佐平次は
「いらぬ」
一語を投げつけたのみで、立ち上がった。
女の、ふくみ笑いがした。

 

武田勝頼勢の最後の砦、高遠城陥落前夜のことです。
こんな書き出しで始まる池波正太郎の「真田太平記」(文庫版、全12巻)。
真田親子・兄弟、信長、秀吉、家康、それに忍びの者が絡み合う、
長編で壮大な戦国ロマンが描かれます。
冒頭に登場する、向井佐平次、忍びの女・お江は、幸村に生涯をかけて尽くす。
 
今年のNHK大河ドラマは「真田丸」ということで、
NHKは大河人気の復活への切り札として連日、
番宣キャンペーンを張っています。
 
地元の上田市も真田一族の歴史を観光資料として、
一大地元キャンペーンを展開して”燃えています”。
大河ドラマ「真田丸」上田市推進協議会の公式ホームページ
 
爺としては池波版「真田太平記」の印象が強くあって、
10日から始まる「真田丸」にどれだけなじめるか迷います。
 
NHKの大河ドラマは10年以上見たことがありません。
ちょい見の印象で言えば、一生懸命なのは好いけれど、
冗長すぎて全く面白くない。
 
真田一族の戦歴・エピソードは、
多くの資料や小説、講談本で広く知られています。
大河「真田丸」がこれらの史実をどのように見せるのか。
ドラマ展開に期待したい。
 


3年前に真田の庄・湯の丸の保養施設で開いた高校クラス会の後、
立ち寄った上田城です。
 


十勇士のうち、5人に出迎えを受けました。
美形の戦士に「お江」かと訪ねると、
「十勇士には女はいません」と返されました。