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スペインとポルトガル45 ファドハウスへ② アルファマ地区

2022-03-06 10:07:11 | Weblog
 写真はアルファマ地区の小高い丘の上に立つドーム型のアズレージョ。裏付ける記述に今のところないのだが、イスラムのハマム(高級蒸し風呂)をのちにキリスト教勢力が教会の付属施設に改造したように思われる。
 高い柵に囲まれ、ドーム内に入れないようになっていた。

【迷路をさまよう】
丘をうねりながら上がっていく石畳の細道は、葉脈のようにさらなる細道へと枝分かれしていきます。どの道もオレンジ色の街灯が灯っていて、白い石で敷き詰めた石畳は怪しい光沢を放ち、雰囲気抜群。

すっかり日がくれ、星が見え始めたころからは、細道に時折、現れるポルトガル風居酒屋から、悲し気なギターのつま弾く音や明るいけど、ちょっと哀愁を漂わせたしわがれた男性の歌声が響いてきました。これらの居酒屋は開け放たれたドアやゆがんだガラス窓から中の様子を容易に伺うことができます。見ると白いちょび髭に陽気な赤ら顔の男性が、深紅のシャツに黒のスカートでグラスを傾けつつ立つ女性に向かって霧にむせぶような声で歌っていました。なんというか大人の色気が窓から漏れ出てきそう。

他の店からも歌声が響いてきます。そこにはすでに数人の客がいて、歌い手の横には、ギターの弦を奏でる伴奏者が付いていました。奥には店主らしき人が腕組をして、なにやら一言、話したりして仕切っている様子です。歌い終わると、また、次の人が前に出て歌いだしました。どうやら生演奏のカラオケシステムのような店もあるようです。

これらの店には観光客の姿らしき人は見られず、みな、顔を知っている人が集まる親しさが感じられました。いやあ、雰囲気だけで酔いそう。

路地の分かれ目にはおしゃれな蛇口の下にシャコガイの貝殻のような形の水盤がついている水飲み場もありました。また、白地のタイルに青や黄土色の色彩の絵画を焼き付けたアズレージョで守られた不思議な白いイスのようなものも。

そこには、王冠を被った赤子を王冠を被った豊満な女性が抱え周囲をエンジェルや雲、波が取り囲んでいるというキリスト教的世界観が描かれていました。どれほどの年月が経っているのでしょうか? 

あとで調べるとアルファ地区は1755年のリスボン大地震とその後直後の津波被害でもあまり被害を受けなかったところ。それ以前のイスラム支配時代の影響も色濃く残しているそうです。アラビア語で「アル」は定冠詞、「ファマ」は「ハマム」の音型変化だとすると、お風呂や泉を意味します。つまり、水の豊かな街ということ。迷路のような街並みと激しい高低差、時折、見かけた水飲み場は、まさに歴史の産物といえるでしょう。
(つづく)

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