雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

雲南のとうもろこし④

2009-04-12 20:49:15 | Weblog
雲南省中部の主要道路の交差地・開元市郊外にて。地平線の果てまでトウモロコシ畑が続く。ところどころに巨大なひまわりとかぼちゃが顔をのぞかせる。

【おばけモロコシ?】
 秋に昆明から文山へと雲南中部を車で旅した時、石灰岩質特有のカルスト地形ばかりのあまり肥えてはいない土壌には見渡す限りトウモロコシ畑が広がっていました。車で3時間ほど、走っても走っても同じ光景。これ以上、作物を植えても収穫できそうもない崖の中程までも、へばりつくようにトウモロコシが植わっています。

 周囲の樹木や草木はまだ青さを残しているというのに、収穫期を終えたトウモロコシは茶色く枯れ果て、まるで不毛の大地のような不気味さが漂っています。

 トウモロコシの実は手で一つ一つ農民がむしり取るので、葉茎は直立したままか、ちょうど日本の農村で収穫後の稲を三角に束ねて置き干しするような感じで、茶色の茎を束ねてあります。ただ稲と違って背丈があるので、いまにも歩き出しそうなおばけのよう。

 収穫された実は2階の屋根裏へ。はしごのような階段を昇ると、無造作に真っ白なとうもろこしと、黄色いとうもろこしが混在したまま、山盛りに置かれていました。

 この地でこれほどまでにトウモロコシの栽培されるのは、乾燥地にも寒冷地にも強く、さらに稲や小麦などの穀物が育たない痩せた土地でも育つ点があるでしょう。石灰岩質で寒暖の差が大きいこの地でも十分に育つのです。

 ただ栄養の吸収力が強い分、やがて土壌がパウダー状になり、なにもの育つことのない不毛の地へとなりやすい、という指摘もあります。

【雲南原産説も】
 通説ではトウモロコシは南米を起源とし、コロンブスの「新大陸発見」により、ヨーロッパから世界各地へと伝わったことになっています。中国には1700年代までには南西部へ、1800年代から北部へも広まったといわれています。(各種百科事典および、シルヴィア・ジョンソン『世界を変えた野菜読本』晶文社、1999年)

 ところが『本草綱目』(1578年)にはすでにトウモロコシが書かれているのです。
「種は西土に出て植うるもの稀なり」
 作者の李時珍は湖北省出身の医者で、精力的に情報収集したそうですから中国で当時はそれほど見かけない作物だったとはいえ、1578年には存在していたことになります。


 現在、中国はアメリカに次ぐ年間生産量第2位の国(米は世界1位でしたね)。
 その中国の南西部の雲南省で世界的に見ても栽培の珍しいモチとうもろこしが、普通にある状況などを目の当たりにしたある植物学者は
「トウモロコシの原産地が南米だというのも、雲南のこの白いトウモロコシを研究したら覆るかもしれない」とポツリ。結論が待ちどおしいところです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雲南のとうもろこし③ | トップ | 閑話休題・明るい葬式 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事