写真上はキューガーデン前のテムズ河。手漕ぎのカヌーがゆっくりと通っていった。
【テムズ河下り】
やがてテムズ河を横断する橋のある大きな通りに出ました。河を渡った左には現代の街並みがみえ、目の前にはバス停、右に行けば、やがて地下鉄駅があるはずです。
ほっとすると視界も開けてくるもの。道路を渡った先に当初目指していた船着き場の標識が見えるではありませんか? 重くなった足をやっと動かして河沿いに進むと河に突き出た古風な船着き場がちゃんとありました。
落ち葉が降り積もり、誰もいません。この船着き場は果たして現役なのかと不安に駆られて、観察すると、船着き場にやや汚れ気味の時刻表が貼ってあります。見ると20分後にロンドン市内行の運行があるようです。
落ち着かない気分で夕暮れの寂しい船着き場に立っていると10分ほど経った頃に我々以外の待ち客が現れました。これは確実に船が来ると確信が沸いて勇気百倍。やがてゆっくりとひらたい船が船着き場にやってきて、無事に乗りこむことができました。
さすがに夕方。日は落ちてはいないものの、冷えてきます。乗客は数人ですが、慣れた人はボートの上で持参した毛布にくるまっています。7月で夏とはいえ高緯度地帯なので、寒い。
テムズ河は浅く、河の周辺には緑深き広大な公園が随所に見られ、お城や別荘らしきコテージが河に向かって、ポツポツと建っていました。鳥も夕暮れのねぐらに向かってせわしなく河を渡っていきます。いずれかの森に帰るのでしょう。
船からみると改めてキューあたりは最適な別荘地なのだとより一層感じられました。船は1時間半かけてゆっくりとロンドン中心部へ。右手に不思議なデザインのガラス張りのマンション群がみえ、ああ、現代に入ってきたぞ、と思っていると、
左手にツンツンととがったたくさんの尖塔をひらめかせているイギリスの象徴的な建物の時計塔と国会議事堂がみえ、そこに波止場がありました。たぷたぷの河がすぐに国会議事堂の建物を飲み込みそうです。尖塔のとんがりは日本なら一発の台風ですぐに折れてしまいそうな繊細さ。
イギリス中世の映画に王族の方が城に向かうために船を下りてから、ぬかるんだ岸辺で泥だらけになって家来たちもその後に続いて・・、という描写がありましたが、きっとそういう情景がロンドンだったのでしょう。
いろいろとせわしない日常から離れ、ゆったりとした時の流れが体感できるテムズ河下り。ちょっと厚めの上着を持てば万全なはず。おすすめです。
(つづく)
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