石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月22日)

2013-11-22 | 今日のニュース

・米石油開発会社Devon、Eagle Fordのシェールガス権益を60億ドルで買収。  *

 

*「世界のシェールオイル埋蔵量」

http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-2-52.pdf

 

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(ニュースのもう一つの視点)イランとの独自外交に賭ける日本とオマーン(下)

2013-11-22 | その他

(注)本レポート上下は「マイライブラリー(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0288JapanOmanIranDiplomacy.pdf

 

イランの天然ガスを取り込むオマーン
 カブース国王のイラン訪問時に取り交わされた覚書の中で筆者は天然ガス供給の覚書に注目したい。これはホルムズ海峡に海底パイプラインを敷設し、25年間にわたり600億ドル相当の天然ガスをイランからオマーンに輸出すると言う構想である。
 
 イランは南パルスガス田(カタールのノースフィールドとつながる世界最大のガス田)を含め国内に多数のガス田があるが、西欧諸国の経済制裁のため先端技術を必要とするLNG設備を建設することができない。一方、オマーンは天然ガス資源が枯渇傾向にあり国内の発電用燃料が不足、また輸出用LNG設備の稼働率も低迷していると言われる。

 両国の事情を勘案すると天然ガスパイプラインは一石二鳥或いは三鳥の計画と言えよう。イランにとって天然ガス輸出は手っ取り早い外貨獲得手段である。また天然ガス不足に悩むオマーンは現在ドルフィンパイプラインによりカタールから天然ガスを輸入しているが中継地のUAEのガス需要が急増している。そのため代替輸入先としてのイランに注目している。LNGについては、もしイランが自国産天然ガスをオマーンで委託処理しLNGとして輸出することができれば、新たなる外貨獲得源になると共に自国のLNG設備新設(それは巨額の費用と長い年月が必要である)までの時間稼ぎが可能となる。オマーンにとっても既存LNG設備の稼働率が上がり、両国にとって一石二鳥のアイデアである。

 これらはいずれも現在の経済制裁が緩和されることが条件であるが、イランとEU3+3の交渉に明るい兆しが見えており、あながち夢物語とは言えない。イランとオマーンはそのような状況を見越して協力覚書を交わしたに違いない。

オマーンと日本は似た者同士
 突拍子もない仮説と言われるかもしれないが筆者は日本とオマーンはイランに対するエネルギーあるいは国際外交関係で似たような立場にあると考える。

 エネルギー関係で見ると欧米先進国に歩調を合わせたイラン経済制裁の結果日本のイランからの原油輸入は激減している。石油の9割を中東に依存する日本にとってイラン原油の輸入削減は痛手である。本心を言えば対イラン経済制裁は一刻も早く緩和してもらいたいところである。米国には国産のシェールオイルが、またヨーロッパ諸国にはリビア、アフリカ、南米などの輸入ルートがある。欧米先進国にとってイラン経済制裁の影響は少ない。困っているのは日本だけなのである。オマーンも国際社会のイラン経済制裁が緩和されれば大きなメリットがあることは上記の天然ガス供給覚書の項で述べた通りである。

 外交関係でみると日本は欧米先進国に引っ張られ不本意ながらイラン制裁に同調している格好である。日本は米国及び西欧キリスト教国家のイスラム嫌い(Islam phobia)、イラン嫌いにつきあわされているのであり、日本とイランは敵意どころか親近感を持っていると考えて良いのではなかろうか。同じようなことがGCC加盟国としてのオマーンにも言えるのである。オマーン以外のGCC5カ国(サウジアラビア、UAE、クウェイト、カタール及びバハレーン)はいずれもスンニ派でありシーア派のイランを敵視している。スンニ派が多数を占めるバハレーン或いは国内に少なからぬシーア派を抱えるサウジアラビアやクウェイトは特に警戒心が強い。それに対してオマーンはスンニ派、シーア派いずれにも属さない(イバード派)。従ってオマーンはサウジアラビアが音頭を取るイラン敵視政策に対しては一線を画している。

 あえて付け加えれば宗教問題だけではなくオマーンは統治の正統性についても他のGCC諸国と一線を画しているのである。即ちオマーンは「スルタン国」と言う国名にイスラム教国家としての歴史的正統性を主張しているのであり、サウジアラビアのような「世俗王制国家」或いはUAE、クウェイトのような「首長国」(オスマントルコからお墨付きを得た地方豪族)とは異なることに強い誇りを持っているのである。その点は日本国民が欧米キリスト教国家とは歴史も文化も異なる「東洋」の「天皇制国家(勿論立憲君主制ではあるが)」を自負していることと似通っている。

 日本とオマーンは似た者同士なのである。

(完)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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