石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油生産量世界一に躍り出た米国:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ:石油篇5

2015-06-23 | その他

2.2014年の世界の石油生産量
(世界の石油生産量の3分の1を占める中東地域!)
(1) 地域別生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G01.pdf 参照)
 2014年の世界の石油生産量は日量8,867万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみると中東が2,856万B/Dと最も多く全体の32%を占めている。その他の地域については北米1,872万B/D(21%)、欧州・ユーラシア1,720万B/D(20%)、アフリカ826万B/D(9%)、アジア・大洋州832万B/D(9%)、中南米761万B/D(9%)である。2013年までは欧州・ユーラシアの生産量が北米を上回っていたが、昨年は北米が中東に次ぐ世界第二位の石油生産地域になっている。

 各地域の生産量と埋蔵量(石油篇1参照)を比較すると、埋蔵量のシェアが生産量のシェアより高い地域は中東及び中南米であり、その他の地域(北米、欧州・ユーラシア、アフリカ、アジア・大洋州)は生産量のシェアが埋蔵量のシェアよりも高い。例えば中東は埋蔵量では世界の48%を占めているが生産量は32%に過ぎない。中南米も埋蔵量シェア19%に対し生産量シェアは9%である。一方、北米及び欧州・ユーラシアの場合、埋蔵量シェアがそれぞれ14%、9%に対して生産量のシェアは21%及び20%である。またアジア・大洋州も生産量シェアが埋蔵量シェアを7ポイント上回っている。このことから地域別に見て将来の石油生産を維持又は拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び中南米であることが読み取れる。

(ついに生産量世界一に躍り出た米国、サウジアラビアとロシアの3か国でトップを競う!)
(2) 国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-T01.pdf 参照)
 次に国別に見ると、最大の石油生産国は米国である。同国の2014年の生産量は1,164万B/Dであり、第2位はサウジアラビア(1,151万B/D)、これに次いでロシアが1,084万B/Dで第3位である。かつて1980年代の旧ソ連時代にはロシアが世界最大の産油国であり、その後1990年代以降20年近くはサウジアラビアが世界一に君臨し、2010年代に入ると両国が世界トップを争う形であった。しかし2013、14年のわずか2年の間に米国の生産量は急激に増加しロシア、サウジアラビアを追い抜き、ついに世界一の産油国に躍り出たのである。生産量が1千万B/Dを超えるのはこれら3カ国だけであり、3か国が世界に占めるシェアは4割弱の38%に達する。

 4位と5位にはカナダ(429万B/D)と中国カナダ(425万B/D)が並び6位以下はUAE(371万B/D)、イラン(361万B/D)、イラク(329万B/D)およびクウェイト(312万B/D)の中東産油国が300万B/Dで並んでいる。イランは欧米の禁輸措置により輸出量が激減しており、2011年の4位から2012年6位、2013年、2014年は7位と年々順位を落としている。ライバルのイラクの生産量は既にイラク戦争前を上回る生産水準に回復し、イランに次ぐ8位につけている。

 10位以下はメキシコ(278万B/D)、11位ベネズエラ(272万B/D)、12位ナイジェリア(236万B/D)、13位ブラジル(235万B/D)と続き、以上の国々が生産量200万B/D以上の産油国である。

(続く)

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