石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

苦境続くシェブロン:五大国際石油企業2016年4-6月期決算速報(4)

2016-08-11 | 海外・国内石油企業の業績

  

2.2015年第1四半期以降の四半期別業績の推移

五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資に関する2015年1-3月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

 

(1) 売上高の推移

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-61.pdf 参照)

 2015年第2四半期をピークとして5社の売上高は3期連続で減少したが、前期2016年第1四半期を底に今期は若干上向いている。各社の2015年第2四半期売上高と今年第1四半期および第2四半期の売上高を比べると、ExxonMobilは741億ドル→487億ドル→577億ドル、Shellは740億ドル→497億ドル→603億ドル、BPは606億ドル→385億ドル→464億ドル、Totalは447億ドル→328億ドル→372億ドル、Chevron404億ドル→236億ドル→293億ドルである。各社とも売上高は最悪期を脱して昨年第4四半期のレベルまで回復している。

 

 これは言うまでもなくこの間に原油価格が大幅に上下動したためであり、この間の四半期平均原油価格の推移をShellの決算資料で見ると55.84ドル/バレル(2015年第2四半期)→45.22ドル/バレル(同第3四半期) →38.81ドル/バレル(同第4四半期)→29.49ドル/バレル(2016年第1四半期)→39.59ドル(同第2四半期)となっている。各社は販売価格の落ち込みを生産量でカバーしようと努力し(前項「原油・ガス生産量」参照)、売上高は価格の下落幅以下に抑えたが売り上げの落ち込みは避けられなかった。

 

(2)利益の推移

(2-1)全体利益水準の推移(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-62.pdf 参照)

 過去5期の四半期ごとの利益水準は各社によって異なるものの、全体を通してみると下落傾向にあると言って良く、またExxonMobil以外の4社は1期またはそれ以上の複数期で欠損を出している。2015年第1四半期はExxonMobilの49億ドルを筆頭に5社ともに利益を計上したが、ExxonMobilのその後の利益は減少を続け今期は17億ドルにとどまっている。

 

 ExxonMobilと同程度の売上規模であるShellは第3四半期に74億ドルと言う巨額の欠損を記録している。その後業績回復の足取りは遅く利益水準は一桁前後(前々期:9億ドル、前期:5億ドル、今期12億ドル)に低迷している。

 

 BPは6期のうち4期がマイナスであり、特に最近は3期連続して欠損である。Chevronも同様に3期連続の赤字である。TotalはExxonMobilを除く4社と比較すると増減幅は小さいが、利益は低迷状況を続けている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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