石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

苦境続くシェブロン:五大国際石油企業2016年4-6月期決算速報(3)

2016-08-08 | 海外・国内石油企業の業績

 

1.五社の4-6月期業績比較 (続き)

(4) 設備投資

(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-54.pdf 参照)

 2016年4-6月期の各社の設備投資額はShellが58億ドルと最も多く、Chevronが55億ドでこれに続いている。第3位のExxonMobilの投資額は52億ドルである。またBPは43億ドル、Totalは最も少ない38億ドルにとどまっている。前年同期と比べると各社とも減少しており、特にExxonMobilおよびChevronは3分の2程度にとどまっている。Totalは18%減、BP及びShellは5~6%減である。低迷する石油市況を受けて各社とも設備投資には消極的な姿勢が見える。

 

(5)原油・ガス生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-55.pdf 参照)
 今年4-6月の原油生産量はExxonMobilが平均日産量233万バレル(以下B/D)で5社の中では最も多い。その他の4社はShell 175万B/D、Chevron 169万B/D、Total 125万B/D、BP 110万B/DでBPは5社の中では最も少なくExxonMobilの2分の1以下である。ExxonMobilは世界各地で万遍なく原油生産をおこなっており他社を圧倒している。前年同期と比較するとShellは22%増と際立って増加しており、他の4社は大きな変化はなく、BP及びChevronはわずかながら減少している。

 

 天然ガスの生産量はShellが102億立方フィート(以下cfd)と最も多く、わずかの差でExxonMobil(98億cfd)が続いている。残る3社はTotal65億cfd、BP57億cfd、Chevron50億cfdと上位2社の5乃至6割前後である。前年同期に比べるとShellは36%増と大幅に伸びた一方、ExxonMobilは4%の減少となった。その他3社はTotalが9%増、BP及びChevronは微減となっている。

 

 天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量ではExxonMobilは395万B/Dでこれに次ぐのがShellの351万B/Dである。その他の3社はChevronが253万B/D、Total 242万B/D、BP209万B/Dである。石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油59%、天然ガス41%であり石油の比率が高い。BP、TotalおよびChevron3社も同様に原油生産量が天然ガス生産量を上回っており、特にChevronは石油67%対天然ガス33%と石油が天然ガスの2倍以上である。これに対してShellは原油・ガス生産量が共に50%と均衡している。Shellは英国のBGを買収しており、重点を天然ガスにシフトしつつある。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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BPエネルギー統計2016年版解説シリーズ:天然ガス篇5

2016-08-08 | BP統計

2.世界の天然ガスの生産量

(欧州・ユーラシアと北米で世界の天然ガスの6割を生産!)

(1)地域別生産量

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-2-G01.pdf参照)

 2015年の世界の天然ガス生産量は年産3兆5,386億立方メートル(以下㎥)であった。これは石油換算では年産32億トンであり、またフィート換算では日産3,424億立法フィートである。

 

  生産量を地域別にみると欧州・ユーラシアが9,898億㎥と最も多く全体の28%を占めている。これに次ぐのが北米(9,840億㎥、28%)であり、これら二つの地域だけで世界の6割弱に達する。その他の地域は中東6,179億㎥(17%)、アジア・大洋州5,567億㎥(16%)、アフリカ2,118億㎥(6%)、中南米1,785億㎥(5%)であった。

 

 各地域の生産量と埋蔵量(前章参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の43%を占めているが生産量では17%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の7%にとどまるのに対して、生産量のシェアは28%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。その他の地域の埋蔵量シェアと生産量シェアは欧州・ユーラシアは埋蔵量シェアが30%、生産量シェアは28%とほぼ均衡している。その他の地域の両者の比率は、アジア・大洋州が8%(埋蔵量)対16%(生産量)、中南米4%対5%、アフリカ8%対6%である。このことから天然ガスを他の地域に輸出できるポテンシャルが高いのは中東地域であると言えよう。

 

(他を圧倒する米国とロシア!)

(2)国別生産量

(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-2-T01.pdf 参照)

 次に国別に見ると、天然ガス生産量第1位は米国の7,673億㎥/年(742億立法フィート/日、7.1億トン/年)であり、全世界の生産量に占める割合は22%に達する。第2位はロシア(5,733億㎥、シェア16%)であり、この2カ国の生産量が飛び抜けて多い。米国はここ数年シェールガスの開発及び生産が顕著であり、埋蔵量及び生産量とも大幅に増加していることは注目に値する(前章「天然ガスの埋蔵量」参照)。

 

 この2カ国に続くのがイラン(1,925億㎥)、カタール(1,814億㎥)、カナダ(1,635億㎥)であり、米国或いはロシアのほぼ1/4である。6位から8位は中国(1,380億㎥)、ノルウェー(1,172億㎥)、サウジアラビア(1,064億㎥)であり、以上8か国が生産量1千億㎥を超えている。9位以下はアルジェリア(830億㎥)、インドネシア(750億㎥)、トルクメニスタン(724億㎥)、マレーシア(682億㎥)が名を連ねている。

 

(続く)

 

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