(世界ランクシリーズ その9 2024年版)
1. FDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額) (続き)
(新型コロナ禍で急減、ようやく回復した海外直接投資!)
(2) 2019-2023年のFDI Inflows(FDI インバウンド)の推移
(図http://rank.maeda1.jp/9-G01.pdf参照)
2019年から2023年までの世界と中東主要国のFDI Inflowsの推移を示したのが図9-G01である(単位億ドル、対数目盛)。
2019年の全世界のFDI Inflowsの総額は1兆7,300億ドルであった。しかし同年に始まった新型コロナパンデミックのため世界経済は大きく後退、直接投資も激減した。2020年の全世界の直接投資額は1兆ドルを切り、対前年比▲43%の大幅減少であった。国別にみても米国は▲59%、サウジアラビアも▲47%と世界平均を上回る激減ぶりであり、日本も▲14%の減少であった。
このような中で2020年の対中国投資はわずかではあるが6%増加、インドは27%の大幅増であった。2021年は前年の大幅減少の反動としてFDI Inflowsは大きく膨らみ、全世界では1兆6,200億ドルと1兆ドルの大台を回復、コロナ禍以前の水準に近づいた。その後2023年までの2年間は若干足踏み状態であり、全世界のFDI Inflowsは1兆3千億ドル台が続いている。
米国と中国を比べると2019年のFDI Inflowsは米国2,299億ドル、中国1,412億ドルであったが、2020年には米国933億ドル、中国1,493億ドルと逆転している。しかし2021年には米国への直接投資が3,894億ドルに急回復、中国(1,810億ドル)を抑えて再び世界一の投資受け入れ国となり、現在に至っている。
日本とインドを比較すると、2019年のFDI Inflowsは日本138億ドルに対しインドは4倍弱の506億ドルであった。2020年には両国の差はさらに拡大したが、2021年には日本の投資受入額が343億ドルに拡大した一方、インドのそれは448億ドルに減り、両国の格差は縮小した。2022年、23年の両国への投資流入額は同じような傾向を示しており格差は変わっていない。
中東のUAE、トルコ及びサウジアラビア3カ国の推移を見ると、2019年はUAE179億ドル、トルコ95億ドル、サウジアラビア31億ドルであった。サウジアラビアの過去5年間のFDI Inflowsは激しい上下変動を見せており、2020年には16億ドルと前年比で半減になったあと、2021年には231億ドルに激増、UAE及びトルコを上回った。しかし2023年には123億ドルに減少、トルコをわずかに上回る水準に落ち込んでいる。
(続く)
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