III. 5カ年(2020-2024年) 業績推移の比較(続き)
(2021年以降はExxonMobilがトップ独走!)
2.利益[1]
2020年から2024年まで5年間の5社の利益の推移を見ると、2020年は全社が欠損となり、特にExxonMobil、Shell、bpは▲200億ドルを超す巨額の損失を計上、TotalEnergies、Chevronもそれぞれ▲72億ドル、▲55億ドルの赤字を余儀なくされた。2021年には一転して各社とも業績が急回復しExxonMobil及びShellが230億ドル及び201億ドルの利益を計上、TotalEnergiesとChevronの利益も160億ドル前後を記録した。bpはこれら4社に及ばず76億ドルの利益にとどまった。
2022年はbp以外の4社は2年連続の増益となり、ExxonMobilは史上最高の557億ドルの利益を確保、他社もShell 423億ドル、Chevron 355億ドル、TotalEnergies 205億ドルの利益を計上している。この中でbp1社のみはロシアプロジェクトの特別損失により▲25億ドルの欠損であった。2023年はExxonMobil、Shell及びChevron3社の利益は急落、TotalEnergiesは利益横ばい、bpは前年の欠損からプラスに転じた。
そして2024年は原油価格が前年を下回ったこともあり、各社とも利益が減少している。ExxonMobilの利益は337億ドルであり、Chevron(177億ドル)、Shell(161億ドル)、TotalEnergies(158億ドル)を大きく引き離しトップを独走している。これに対してbpの利益は4億ドルと大幅に減少、5年間を通じて5社の中では最も利益の少ない状態が続いている。
(2020年の全社大幅マイナスから急回復、但しbpは低水準のまま!)
3.売上高利益率
2020年はbpの▲19%を筆頭にExxonMobil及びShellが▲12%、Chevron及びTotalEnergiesが▲5%であった。2021年は各社とも業績がV字型に回復し、Chevronの10.0%を筆頭に、ExxonMobil 8.1%、TotalEnergies 7.8%、Shell 7.7%、bp 4.6%といずれもプラスに転じた。2022年は各社の収益格差が拡大し、Chevron、ExxonMobil及びShellは二桁台の利益率を確保したのに対して、bpは5社の中でただ1社▲1%のマイナスに転落している。
2023年の各社業績は順調に推移し、Chevron及びExxonMobilは共に10%台の利益率を確保した。他の3社も押しなべて好調でTotalEnergies 9.0%、bp 7.2%、最も低いShellも6.1%の利益率であった。昨年(2024年)はExxonMobilはじめ4社の利益率は若干落ち込み、bpは0.2%に急落している。
2021年以降の4年間を通じて見るとChevron及びExxonMobilが10%前後の高い利益率を維持しているのに対してbpだけは4年間のうちの2年間がマイナスまたは1%未満の低い利益率を記録し、5社の中で最も低い水準にとどまっていることが特徴である。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行
〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
[1] 「利益」は各社決算資料から下記項目を抽出している。
ExxonMobil: Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Shell: Incom/loss attributabel to shareholders
bp: Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
TotalEnergies: Netincome (TotalEnergies share)
Chevron: Net income