石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(12)

2025-03-04 | 海外・国内石油企業の業績
III. 5カ年(2020-2024年) 業績推移の比較(続き)
(2021年以降はExxonMobilがトップ独走!)
2.利益[1]
 2020年から2024年まで5年間の5社の利益の推移を見ると、2020年は全社が欠損となり、特にExxonMobil、Shell、bpは▲200億ドルを超す巨額の損失を計上、TotalEnergies、Chevronもそれぞれ▲72億ドル、▲55億ドルの赤字を余儀なくされた。2021年には一転して各社とも業績が急回復しExxonMobil及びShellが230億ドル及び201億ドルの利益を計上、TotalEnergiesとChevronの利益も160億ドル前後を記録した。bpはこれら4社に及ばず76億ドルの利益にとどまった。

2022年はbp以外の4社は2年連続の増益となり、ExxonMobilは史上最高の557億ドルの利益を確保、他社もShell 423億ドル、Chevron 355億ドル、TotalEnergies 205億ドルの利益を計上している。この中でbp1社のみはロシアプロジェクトの特別損失により▲25億ドルの欠損であった。2023年はExxonMobil、Shell及びChevron3社の利益は急落、TotalEnergiesは利益横ばい、bpは前年の欠損からプラスに転じた。

そして2024年は原油価格が前年を下回ったこともあり、各社とも利益が減少している。ExxonMobilの利益は337億ドルであり、Chevron(177億ドル)、Shell(161億ドル)、TotalEnergies(158億ドル)を大きく引き離しトップを独走している。これに対してbpの利益は4億ドルと大幅に減少、5年間を通じて5社の中では最も利益の少ない状態が続いている。

(2020年の全社大幅マイナスから急回復、但しbpは低水準のまま!)
3.売上高利益率
 2020年はbpの▲19%を筆頭にExxonMobil及びShellが▲12%、Chevron及びTotalEnergiesが▲5%であった。2021年は各社とも業績がV字型に回復し、Chevronの10.0%を筆頭に、ExxonMobil 8.1%、TotalEnergies 7.8%、Shell 7.7%、bp 4.6%といずれもプラスに転じた。2022年は各社の収益格差が拡大し、Chevron、ExxonMobil及びShellは二桁台の利益率を確保したのに対して、bpは5社の中でただ1社▲1%のマイナスに転落している。

2023年の各社業績は順調に推移し、Chevron及びExxonMobilは共に10%台の利益率を確保した。他の3社も押しなべて好調でTotalEnergies 9.0%、bp 7.2%、最も低いShellも6.1%の利益率であった。昨年(2024年)はExxonMobilはじめ4社の利益率は若干落ち込み、bpは0.2%に急落している。

2021年以降の4年間を通じて見るとChevron及びExxonMobilが10%前後の高い利益率を維持しているのに対してbpだけは4年間のうちの2年間がマイナスまたは1%未満の低い利益率を記録し、5社の中で最も低い水準にとどまっていることが特徴である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行
 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
      Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
      E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

[1] 「利益」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:       Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)

Shell:    Incom/loss attributabel to shareholders

bp:         Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders

TotalEnergies:    Netincome (TotalEnergies share)

Chevron:             Net income

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(SF小説) ナクバの東(77)

2025-03-04 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(74)

第28章 バーチャル管制(1)ブルジュ・ドバイ(2/3)
 

 「まず右翼後方の二番機。直ちにアラビア半島方向へ向かえ。」

 マフィアは言われるままゆっくり右に旋回し仲間の2機から離脱した。後方から米軍機が追いつき、並走を始めた。お互いに相手のパイロットの顔が識別できるほどの近さである。

マフィアは米軍機のパイロットに向かって親指を突き上げて見せた。交信を禁じられたマフィアとしては、それは救援に感謝する意思表示であった。しかし相手のパイロットはそれに応えず操縦桿を握りしめ、少し下降してマフィア機の下に潜り込むと、何かを確認するようにマフィア機の胴体腹部を見上げた。

(続く)


荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする