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http://mylibrary.maeda1.jp/0569ImfOct2022.pdf
IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook)」の最新版(以下WEO2022Oct)を発表した。 このレポートにはEU、ASEANなどの経済圏及び約200カ国の1986年から2027年までのGDP成長率、GDP総額、一人当たりGDPなど主要経済指標をまとめたDatabaseが付されている。レポートは毎年4月と10月の年2回発表されており、中間の1月と7月にはWorld Economic Outlook Updateと称される簡略版が公表され、主要経済圏及び米、独、日、中、インド、サウジアラビアなど主要国について前後3年間のGDP成長率が開示されている。
本稿ではWEO2022Octに基づき世界の主要経済圏及び主要国について今年及び来年の成長率を比較し、次いで2020年から2024年の5年間にわたる実績或いは予測の成長率を概観する。また前回7月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように見直されたかを検討する。さらに今年の成長率について直近4回(2022年1月、4月、7月及び今回10月)の推移を見る。
*WEOレポート:
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2022/10/11/world-economic-outlook-october-2022
(同日本語版)
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2022/10/11/world-economic-outlook-october-2022
(世界の成長率3.2%、米日独は1%台、5%を超えるサウジアラビア、インド、ASEAN!)
1.2022年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
WEO2022Octでは今年の世界の成長率は3.2%とされており、前回7月と変わらない。ロシアを除き主要経済圏或いは各国のGDPはいずれもプラス成長であるが、IMFは物価上昇、長引くコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻等により経済活動は広範囲に悪化しているとの判断を示している。このため世界の成長率も昨年の6.0%から今年は3.2%と大幅に鈍化すると見込んでいる。
経済圏で見るとEU圏、ASEAN-5カ国及び中東・中央アジア諸国の成長率はそれぞれ3.1%、5.3%、5.0%であり、いずれも7月の数値を横ばい或いは上方に修正しているが、その上げ幅は小さく先行きの不透明感を示している。
主要な国を見ると、米国1.6%、ドイツ1.5%、日本1.7%、英国3.6%、中国3.2%、インド6.8%、ロシア▲3.4%、サウジアラビア7.6%である。前回7月に比べると明暗が分かれ、米国、中国、インドは下方修正された一方、日本、サウジアラビアは横ばい、英国及びロシアは上方修正されている。ロシアは前回の▲6.0%から2.6ポイント見直されている。前回4月はウクライナ侵攻がマイナス要因とされたが、その後、OPEC+の減産強化策で原油・ガス価格が高値に推移しているためと考えられる。
中国はコロナのロックダウン対策により経済回復が遅れることが懸念され、前回7月の3.3%からさらに引き下げられている。これに対してインドは7月の7.4%から今回6.8%に下方修正されたものの産油国を除く他国に比べかなり高い成長率が予測されている。
(続く)
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