ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

トヨタも日産もテレマティクスをやめる事が出来ないのだ

2005年04月12日 | ITS
大体、テレマティクスという言葉自体、知らない人に説明するのがとても大変である。
なにがメリットなのかということをユーザーの立場で説明することがとても難しい。

こんなことなら、いっそやめてしまえばいいのに、と思うのがだが、一方ではカーメーカーは戦略的にテレマティクスを推進しているのだ、という考え方もある。

リアルタイムな顧客情報を入手することで、顧客を囲い込む。
いわゆるCRM、もしくはVRM (Vehicle Relationship Management)とも呼ばれている顧客管理に有効であり、アフターセールスや新車買い換えに繋ぐため、カーメーカーはコストを払ってでもテレマティクスを維持していくメリットがある、といわれていた。

しかし、それも最近どうも眉唾になってきている。

個人情報保護法の施行によって、市場の雰囲気が変わってきた。
事業者は、自分の顧客に対するマーケティング活動のために個人情報を保有し、活用することが認められている。テレマティクスからもたらされる個人情報を販売活動に使うのは自由だ。
しかし、それと同時に「使ってもらいたくない」顧客の権利が明確になってきている。
アフターサービスとしてのコンタクトはありがたいが、売り込みや囲い込みをされるのは嫌だ、という顧客は多いだろうし、そうしたことに対する顧客の警戒意識が、個人情報保護法以来とても高まってきている。

本来、テレマティクスをCRMに使うのであれば、過半数のユーザーが加入していなければ効率的な運用は出来ないだろう。
そもそも現在のG-BOOKやCARWINGSのサービス内容で、過半数のユーザーが加入するとは思えないが、それに輪をかけて、加入はするが「自分の車の情報提供はしない」、もしくは「案内のe-mailは拒否する」というユーザーが増えれば、ますます難しくなってくる。

どうも、テレマティクスはもう日本の自動車業界にとってなにも意味を有さない代物なのではないか、と思う。
実は、当事者はみな思っているのだと思う。しかし、やめられないのだ。

まず、トヨタのG-BOOKであるが、これは将来の社長といわれている豊田章男専務がGAZOOから続くインターネット事業として立ち上げた物だ。
トヨタとしては、プリンスが立ち上げた事業を敗北の形で撤退する事が出来ない。

トヨタが続ける以上、日産も引き下がれない。

そして、両者とも中途半端な会員を抱えてやめるにやめられない事業を維持していかなければならない。そのうち携帯電話が進化し、スマートフォンやマルチメディアフォンがでてくるだろう。そのときにはそれに対抗する機能を開発する必要がある。

これからが大変だ。