ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

DSRCサービス事業化っていうけど

2007年06月13日 | ITS
先ほどのエントリーで明日また、と書いたけど、結構今日は早く帰ってきたので引き続き。

DSRCの講演会では博報堂の柳氏によるDSRCサービスを活用したビジネスに関するプレゼンテーションがあった。
その概要は以下のとおり。

・DSRCサービス機能は、ITS車載器に簡単にアドオンできる仕様とした。
・このサービスを受けるユーザーは、購入時に興味のあるジャンルを登録し、受け入れるプッシュ型情報サービスを選ぶ。
・ユーザーは情報発信エリアを通過するたびに登録した興味のある情報を受け取る。受け取った情報はメモリーに蓄積される。
・蓄積された情報はその対象に近づくと、適宜、画面上に案内が流れる。
・コンテンツ提供者からの広告料でビジネスをまかなう。
 究極のダイレクトマーケティングになるのできわめて効率のよい販促となる。
・情報発信機器の設置方法はまだ見えていないが、どうやら給油所を計画している。

さて、この計画。私には相当な「無理筋」と映るのだが。
路側機の設置やコンテンツプロバイダーの確保には相当の苦労がありそうだ。
仮にそれらが実現できたとしても、果たしてこのサービス、どれほど消費者をひきつけることができるかが問題。
つまり、WEB2.0的世界になれた消費者が、事業者が提供するプッシュ型広告をベースとした情報提供にどれほどの魅力を感じるのだろうか、ということだ。

「携帯にお得なメール情報を発信」なんて、もうお断りって感じでしょ?

DSRC車載器規格講演会

2007年06月13日 | ITS
虎ノ門で行われた講演会に行って来た。
なんか敵国の会議に潜入したスパイのような心境。

結局のところ、マーケティングが絶望的に欠落している、としか言いようのない内容だった。博報堂の講演者もいたけど、本気でそれがビジネスになると思っているのか大いに疑問。広告代理店はクライアントのビジネスが成功しようがしまいが、その過程でビジネス出来るので、どうも本気なのかどうかは怪しい。
いずれにしても、消費者にとってなにがベネフィットなのか、というような議論はまったく聞くことができなかった。
この辺はあすにでももっと詳しく書こう。

今日の主題はこういうことだ。
ETCの装着率も上がったし、官はここらでその応用による通信がらみのITSを立ち上げたい。スマートハイウェイで世界一を狙うのだ。
そのためにはDSRCと通信して各種サービスを表示できる車載器が必要だ。多分それはナビに組み込みになる。

各種サービスを含め、規格を統一しないことには始まらないので、統一した。
次はカーナビメーカーさんにこの規格に準じたナビをつくってもらう番だね。では講演会で宣伝しましょう。当然参加は無料。

しかし、路側機をつくっている三菱と松下以外のナビメーカーにとっては、はっきり言ってなんのインセンティブもない話だ。
だって、このDSRCサービスによるコストアップを消費者が評価するとは到底思えない。
「この先渋滞」とかの画面表示が出るだけで(しかもたいていの場合は同じ内容の路側表示がある)高いモデルを選ぶだろうか?
売価反映できない機能を奮発するほど緩い商売をしているメーカーはない。

それ以上に、DSRCサービスで先行したIBAの現状をみれば、普通の商品企画者なら腰がひける。

会議自体はおそらく300人以上の来場があり、「大成功」と言う報告がされるのだろうが、実情はかなり厳しいものがあると感じた。