ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

パイオニア スマートループ

2007年06月16日 | ITS
パイオニアは先日発表したサイバーナビ2007年夏モデルから「第3世代」と称した通信型ナビゲーションに本格的に力を入れている。

その目玉はスマートループ
簡単に言えば、サイバーナビユーザーによるプローブだ。
プローブ:実際に走行している車自体を交通状況観測のセンサーとして活用すること。実際の走行データはワイヤレス通信でサーバーにおくられ、蓄積・解析することでより正確な渋滞情報などが提供される。

本田はすでにインターナビで先行しており、トヨタもG-BOOKmXで本格参入した。
プローブはサーバー構築とその解析に巨額の費用がかかるため、最大手自動車メーカーにしか手が出せない分野だ。

このプローブが将来キラーコンテンツとなった場合、自社サーバーを持たない中小カーメーカーや市販ナビメーカーは生き残れない。
そんな事情もあってスバル、マツダはG-BOOKと提携している。まあ、まだこれはセーフガードの域を出ていないように感じるが。

問題は市販ナビメーカーだ。
市販ナビトップブランドであるパイオニアは自社システム構築の道を選択した。そもそもパイオニアはAirNavi等、通信ナビでの実験的な商品では先行したことから、いわば自然な流れかもしれない。

パイオニアがスマートループで強調しているのが、おなじみの「WEB2.0」だ。
プローブカー構想自体、末端ユーザーからのトラフィック情報がサーバーに蓄積・加工され大きな共有情報となるわけであり、WEB2.0的なものであることは間違いない。
それに加え、レストランや観光地のユーザーによる評価などを共有することが出来るわけで、WEB2.0という言い方は正しいだろう。

気になる通信料だが、通常の週末レジャーで車を使うユーザーなら、15分に一度通信するとして月額1000円程度という。

肝心の売れ行きについては、まだ発売したばかりなので正確な評価は出来ないものの決して好調とはいえないようだ。
地方ではカーショップなど販売店の商品に対する理解が追いつかない、という話を聞いた。確かにプローブカーという言葉も概念もまったく普及していないし、WEB2.0自体決してだれでも知っている言葉ではない。

一方で、発売後蓄積データ量は急上昇しているようだ。
つまり、真っ先に購入するマニアなユーザーは通信機能を積極的に利用している、ということだろう。

確かに正確な渋滞情報に対するニーズは強い。
しかし、無料で使えるVICSは既に殆どのナビに装着されている。
ホンダのインターナビの例でいえば、プローブによる渋滞予測を使った場合、到着時間の短縮はVICSに比べて7%、つまり1時間に対して5分。このベネフィットが一般消費者にどう評価されるかがポイントになるだろう。

携帯通信料に大幅な価格ダウンがない限り、まだまだ通信ナビはマニア向け商品の域を脱しないと私は思う。

一方で、将来携帯通信料が殆ど家計を圧迫しない価格となるなら、この機能は確実にキラーコンテンツとなるだろう。