ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

食育基本法

2007年06月18日 | インチキ・疑似科学
最近政府系機関がしきりと朝ごはんを食べろといっている。
しかも、何故か和食がいいらしい。
(優香が出てる頭で独楽を回すTVCMでも「ご飯を中心に」といっている。)

どうもおかしいと思っていたら、全然知らなかったのだが、食育基本法なんて法律が制定されていた。
この法律がなにをしたいのか、読んでわかる人がいたら教えて欲しい。
というか、こんな法律作ることにエネルギーを消費することの意味がわからない。

で、この食育にからむ話には山ほど疑問がある。

・何故朝ごはん(もしくは一日3食)にこだわるのか?

いわく、脳は一日に120gのブドウ糖を消費し、備蓄は出来ない。人間の体に備蓄できるブドウ糖は肝臓に50gくらい。夜寝ていても脳はブドウ糖を消費するから、朝ごはんを抜くと脳にエネルギーが行かなくなり、低血糖によって記憶力や集中力が低下する。

これが本当なら、私は毎日脳死している。早ければ8時には夕食をすませ、朝食は抜いて翌日の昼食まで食事はしない。16時間絶食ということになるが、この話が本当なら昼前には脳にエネルギーがいかなくなってしまう。って、脳死?

実は低血糖というのは極めて重篤な状態で、一食食事を抜いたぐらいでなるようなものではない。
「ガソリンをいつも満タンにしておかないとエンジンの調子がでない」といっているようなものだ。

そもそも人間という動物が一日3食だったとは考えにくい。
食物が手に入ったら食べてエネルギーを蓄積し、手に入らなければ食べなくても数日体調を維持できるように体は設計されている。

・何故和食にこだわる?

食育法には、「豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。」という一節がある。

また、朝食でとる食物の品数が多い子供は「夜更かしをせず」「学校が楽しい」という。で、品数が多い朝食は和食だそうだ。
しかしこれは典型的な「恣意的に原因と結果を混同させようとする調査レポート」だ。
「朝食の品数」も「夜更かし」も「学校生活の充実」も、おそらくは規則正しい家庭教育の結果であり、結果同士に因果関係はないと見るのが普通だろう。
(なお、ここを見ればこの千葉大明石教授が「早寝早起き朝ごはん」活動の関係者であることがわかる。)

新聞社もこんな幼稚な内容をそのまま記事にするなよ、と思う。朝食が洋食より和食の子の方が学校が楽しい??。日本のパンには何か人を憂鬱にする成分でも入っているのだろか。

教育や文化の話に巧妙にすり替えようとしているらしいが、結局のところ、わが国の農業保護、というのが本音としか考えられない。

しかし、食文化なんていうのは言葉の乱れと同様、変化するからこそ文化であり、政府が介入したってそんなもの変りはしない。
朝食に米飯を食べるか、パンを食べるかなんて極めて個人的な嗜好の問題であって、国にとやかく言われる問題ではないだろう。仮にそうした構造的な変化がわが国の農業に打撃を与えるのなら、産業側で努力するしかないのだ。

食育をめぐっては、根拠のないトンデモ似非科学のような話や統計調査による初歩的な目くらましが横行している。そしてマスコミは安易に同調し、多くの人がそれを鵜呑みにしているように感じる。