ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

消費税と愛国心の関係?

2013年05月03日 | 雑記
ちょっと古いけど、東洋経済オンラインに民主党元衆議議議員 北神圭朗氏の連載が掲載されている。
http://toyokeizai.net/articles/-/13302
「尖閣問題で感じた、我ら日本人のビビリ根性」という扇動的なタイトルが気になって読んでみたが、正直この人の主張がいまひとつよくわからなかった。

その前の連載記事  『日本には「国家の物語」が欠落している』
http://toyokeizai.net/articles/-/13108
では「消費税導入が難航するのは日本人に自己犠牲の精神がないからであり、その精神は愛国心に拠る」といっていると思われる。
その上で日本人の愛国心の欠落を問題視しているように思われるが、結びの一文「私が言う愛国心は、外国に旅行してみそ汁が懐かしくなるような次元の話ではありません。小さな小さな島のために、命を要求する、峻烈な愛情なのです。」から推察するに、領土をかけて戦争をも辞さないという国民感情が愛国心であり、それがビビリの日本人には欠落している、ということなのだろうか?

そもそも自分が属する集団に対する帰属心及びそれを守ろうとする気持ちは、自ら(及び家族=自分の種)を守るための動物的本能に起因している。
それは国に限らず、都道府県単位でも学校や会社に対しても存在する。
こんなことは多分、人類文化学とかで散々語られていることだろう。

私も動物だから、自らが帰属する組織に加担するという感情が存在する。また、日本に生まれ、日本人であることに誇りを持っている。
でも、見たこともない島のために命を捨てようとは夢にも思わない。誰だってそうだろう。
それを確保することが経済的に日本の利益になるのなら、国民はそれを応援するだろう。
でも、武力行使をも辞さない愛国心をもって守れ、といわれてもねえ。

また、消費税にしてみても、私はさっさと増税してほしいと思っているが、それはこのままでは国家財政が破綻し自分や家族が困るからであって、決して愛国心による自己犠牲ではない。もう少し理性的な判断だ。

消費税導入が難航するのは日本人に自己犠牲を伴う愛国心がないからだ、という理屈には全く与することができない。難航する理由は国民に理性的な判断が欠落しているからであり、その根幹はマスコミが受けのいい感情的な報道を繰り返すことと、増税を言うと選挙に負けちゃう、という「次の選挙に勝つ」ことだけを目的にしているかのような政治にある。
というか、事業仕分けをすれば増税なんてしなくていいのだ、といって政権をとった民主党の人間がよくこんな事いえるよね。

そもそも過剰な愛国心くらい迷惑なものはない。
愛国心を、自らが属さない組織への過剰な敵愾心へ転換してしまう人間が面倒を起こすからだ。
会社生活をしていても、こうした輩は会社の全体最適よりも自分の部や課を守る行動にでることが多い。

感情論と感情論がぶつかるとたいていの場合、悲惨な結末が待っている。
理性的に対処するべき消費税や領土問題に愛国心論を持ち出すなんて、私には危険な発想だとしか思えない。

中国の生活は危険なのか

2013年05月03日 | 上海生活
危険な食品添加物、pm2.5、鳥インフルエンザなど、日本では中国の安全性に対する過剰な報道がなされている。
実際、先日こちらへくる予定の本社の人間からpm2.5の状況について執拗に質問があり、結局彼女は訪中をやめてしまった。3日間の滞在予定だったが。
3日で危ないなら、私はもう死んでいる。

鳥インフルにしても大騒ぎになったが、亡くなった方は100人くらい。
人口1/10の日本で普通のインフルエンザで直接的に1000人くらいの方がなくなり、インフルンザが原因となった方を入れれば1万人くらいが年間になくなっている。
正体がわからないリスクを人は過剰に恐れる。

こんなに危険な場所にずっと住んでいる中国人はさぞかし短命かと思うと、そんなこともない。
内陸部が平均を下げているが、医療機関が発達している沿岸部だけで比較すれば日欧米とほとんど変わらない。

中国が危ない、という報道は大衆に受けがいい。ダンボール肉まんみたいな話、みんな大好きでしょう?
だからマスコミも過剰な伝え方をする。
さらに海外で起きたリスクは正体がわからないから過剰なバイアスがかかる。

逆に中国はいまだに日本の食品の輸入を制限している。放射能に汚染されているかららしい。

ただし。横断歩道を渡っていて車にはねられるリスクは日本の100倍位高い。これだけは気をつけたほうがいいです。

首相の車列 ETCで事故は起こるべくしておきた事故

2013年05月03日 | ITS
ちょっと前(4月28日)の話だが、安倍首相の車列が首都高速代々木入路でETCが開かず、追突事故を起こした。
その後の報道では先頭車両がETCカードを入れ忘れていたということだが、これは前から指摘しているように基本的な考え方が間違っていることに起因している。
首相の車列だから報道されているが、この手の事故は頻繁に発生しているのだ。

そもそもETCカードの入れ忘れというミスはきわめて普通に発生する。それを想定して安全な通行ゲートを設計するべきだろう。

ノンストップにするなら、ゲートを閉めてはいけないのだ。
逆にゲートを閉めるなら一時停止にするか、もしくは2箇所ゲートを作り前のゲートが空かない限り後ろの車が進入できなくするべきだ。

ETCが料金所の大きな目的のひとつが渋滞緩和である以上、前者を採るべきだろう。
ゲートを閉めず、過失、故意にかかわらず不正通行はカメラで撮影し請求書を送付する。
すぐに納入すれば過失ということで罰則なし、(もしくは事務手数料程度の割り増し)、滞納は重課金とすればいい。
或いは不正通行であることがはっきりわかるサインを提示し、期間内に自主的に納付すれば追徴金なしにするという方法もあるだろう。

首相の車列というくらいだから、運転者は相当の熟練者のはずだ。それでも事故が起きるというのは仕組みに問題がある。
カメラコントロールで請求手続きをするというのは工数、費用がかかることかもしれないが、安全には替えられない。

新疆ウイグルへ行って感じたこと

2013年05月03日 | 上海生活
中国労働節は日本のゴールデンウィークのミニ版にようなもの。それを利用して新疆ウイグル自治区(シルクロード)3泊4日の旅行に行ってきた。
ここで旅行記を書くつもりはないので、感じたことを2つばかり。

ウルムチからカシュガルへ飛ぶ国内線のセキュリティチェックは異常に厳しい。この地区はチベットなどから比べればそれほど深刻ではないものの民族問題を抱えているからだ。
実際、4月24日にはカシュガルの郊外で20人が死亡する衝突があった。
新疆地区ではいたるところに「民族の団結で発展しよう」「国家の安定はひとりひとりの自覚」みたいな中華人民共和国のプロバガンダが掲示されている。

金余りの中国では、その経済的恩恵を新疆ウイグル自治区も受けているためか、大多数のウイグル人はそれはそれでよしとしている様に感じる。
しかし、たとえば住民の80%が中東系の顔つきをしたウイグル人であるカシュガルで中国語がウイグル語と並んで公用語となっているのことには相当な違和感を感じる。

もう一つは再生エネルギー。
中国は石炭をガンガン燃やして環境を破壊しているというイメージがある(確かに事実ではある)。
しかし、ウルムチからトルファンにいく高速道路沿いに千基を超える発電風車が設置されている。また、トルファンでは新築アパートの屋根にはソーラパネルが設置されている。
再生エネルギーへの取り組みが、我々が想像している以上に中国では進んでいるのだ。

しかし、再生エネルギーはそれなりの地理、気象条件が整わないと無理だ。灼熱の盆地トルファンへは周りから冷たい風が恒常的に吹き付ける。常時20mの風が吹いている広大な砂漠地帯、という条件があって、初めて商業規模に乗る風力発電ができる。日本ではそんな場所は殆どない。
ソーラは設置場所にはさほど制約はないかもしれないが、年間降水量10mmとかのシルクロードでは成立するが雨の多い日本では安定した電力供給は望めない。

原発を止めて再生エネルギーへ転換する、というお題目をよく聞くが、本当にフィージビリティがあるのだろうか?
民主党政権が「雇用拡大を最重点課題とする」といって、その受け皿はときかれ「福祉とか。。」と答えたのと同じで、脱原発だ、その受け皿は「再生エネ」というのは非常に情緒的な考え方だと思う。

脱原発の受け皿は現実的には化石燃料しかなく、それは国富の産油国への流出と温室ガスの増大を意味している。なんか「そのうち再生エネが拡大するから」みたいな情緒的な認識が広く流布しているように感じるが、実際に再生エネの現場を見てきて、これはそんなに簡単なことじゃないと実感した。
原発を推進しようとは全く思わないが、現在止めている原発は再稼働するべきだ。