ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

SONYは変われるのか

2013年10月15日 | モバイル・ウエアラブル
東洋経済、平井社長のもとで変わりつつあるsonyについての記事

ここでも登場し、他のメディアでも話題になっているレンズだけのデジカメQXシリーズ。
確かにこれはソニーらしいクリエイティブな商品だとおもう。
一方で、大前研一氏はこれを悪しきプロダクトアウト型製品であると酷評している

確かにスマートフォンに装着し高級カメラ並みの写真が取れるレンズ型カメラという発想はとてもクリエイティブで、こうした商品を上市できるという意味においてまだソニーには他の日系家電メーカーにはない可能性があると思う。
しかし、大前氏が言うように「誰をターゲットにしているのか」という疑問は私も感じる。

チョット面白いし、使ってみたいなと思うが実際にはポケットに入れてもかさばるし、装着し準備するまでに30秒かかるというレポートもあり、多分そのうち使わなくなる。
スマートフォンの画質を更に上げるほうが正しい選択肢だし、高性能なコンデジと大して価格差がないQXはやっぱり商品としては無理がある。

私はプロダクトアウト型商品を否定しない。
単純な市場調査に基づくマーケットインではろくなものは出来ない。なぜなら消費者は自分が知っている世界でしか物を考えられないからだ。
しかしもっと大事なことは、プロダクトアウトで発想したクリエイティブな商品であっても、その市場許容性についてはマーケット目線で評価しなければならない、ということ。
随分前の話だけど、踊りを踊るスピーカー「Rolly」ってのがあった。あんなものを本当に売る気で商品にしてしまうというあたりに、ソニーの可能性と弱さがある。
Go,Nogo の的確な最終判定が出来ていないとしか思えない。

その判断はトップの目利きにゆだねられる。
ソニーは各分野、事業部に広がる製品群を独自の規格で連携されるという戦略を繰り返しとってきて、それはことごとく失敗している。
私も一時、PCはVAIO、PDAはCLIE、デジカメもソニーと、メモリースティック商品で周りを固めたことがあったが、さして感動するようなユーザーエクスペリエンスは得られなかった。

結局は事業部をまたがって、一貫したSONYによるユーザーエクスペリエンスをマネージメントできていなかった、ということだろう。
これについてはSONYも自認しているようで、それに類するような記載が冒頭のリンクにはある。
しかし、それを統合して一貫したユーザーエクスペリエンスを創出するには、ジョブスのような天賦の才能が必要。
危機感をもって社内が一つになる、なんてレベルではこれは乗り越えられないだろう。