ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

オリンピックを前にライドシェア解放を検討ってどういう意味?

2016年03月10日 | ITS
Uberのような自家用車を活用したタクシーサービス(今のところ誰にでも通じる日本語の固有名詞がないので取り合えず「ライドシェア」と呼ぶ)に関して安倍内閣が解禁の検討をしているという。
それに対してタクシー業界が反対するのは当然で、すでに解禁されている外国では相当な反発がでている。
それ以外に、安全面等での懸念がメディアなどから上がっているが、これは運転手の資格、身元管理を運営会社がしっかり行えばよい問題。運転手の身元がスマホに表示されるライドシェアの仕組みのほうが、偽造かもしれないネームプレートよりも信頼できる。少なくとも中国では。さらに乗車後の評価システムがあるからか、中国では通常タクシーよりはるかにドライバーの質が良い。

さて、日本政府が解禁を検討している理由として、2020年の東京オリンピックに向けて外国人観光客が増加するから、ということが言われているらしい。

本当か?

オリンピックってそんなに外国人観光客を呼べるのか?
少なくとも私は海外のオリンピックを見に行こうと思ったことはない。また周りに海外のオリンピックを見に行った知り合いもいない。
1964年の東京五輪では確かに海外からの観光客は来たと思う。でもその時とは全く状況が違う。
やっとテレビがカラーになり、海外衛星中継も限られていた時代。また多くの欧米人にとって当時の日本は敗戦国から驚異的な速度で立ち直ったミステリアスな異国であり、オリンピックで外人受け入れ態勢をとったということが日本旅行へのきっかけとなったのかもしれない。

しかし、言うまでもなく現在の状況は全く異なる。
いまや、海外のオリンピックを見に行く人って、身内や友人が出場する人だけじゃないの?とすら思う。

でもなぜか「オリンピックをやると海外からの観光客が増える」とどんなメディアも全く疑わずに報道している。
また、それがあたかも常識であるかのようにインフラ整備が進む。結果外人に便利になれば結果として海外からの観光客も増えるかもしれないが。

まあ、100歩譲って海外からの旅行者が増えるとして、果たして彼らがライドシェアを使えるのか?
少なくとも中国のライドシェアである滴滴は簡単な中国語ができないと使えない。いかにスマホの地図上で場所指定ができるとはいえ、必ず運転手との会話によるピックアップ地点の打合せが必要となる。むしろ、ライドシェアは海外からの旅行者は使いたくても使えない物なのだ。

運転手との連絡を英語でできる外人限定版のライドシェアシステムを作ればその問題はなくなるが、果たしてどれだけのドライバーが集まるのか。呼んでも30分待たないと来ないなら、捕まえにくくてもタクシーに乗ったほうが良い。