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Mobikeのプロフィットモデル:利益はどこからもたらされるのか?

2017年09月12日 | ITS
今話題となっているシェアバイク。Mobikeは札幌でサービスを開始し、日本の企業も参入を表明しました。果たしてこのビジネス、本当にもうかるのでしょうか?中国語学習の一環として中国のQ&Aサイト「知乎」でのテンセント(騰訊科技)の投稿を翻訳しました。(今年の3月の記事。)
引用元 https://www.zhihu.com/question/49355450
摩拜单车的盈利模式和可持续利润来源是什么?
読みやすいように語彙についてはかなり意訳となっています。
翻訳責任は当方にあります。誤訳があればご指摘ください。

一日の稼働回数、故障率、再配置の費用などの変数が公式数字がないことから推定となっていて、正確は収益性についてはよくわかりませんが、少なくとも簡単に収益が上がるビジネスではないように思います。特に現在の中国大都市部に於いては2強(Mobike、ofo)の競争により供給過剰となっており、日当たり稼働率は低下していると思われます。
リンク先にはこれに対する回答として様々な試算が掲載されており、かなり知的な議論がなされているなと感心しました。

以下翻訳
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Mobikeのプロフィットモデル:利益はどこからもたらされるのか?

投資時期の後半に差し掛かっているものの、依然シェアサイクルは利益を生んでおらずむしろ厳しさを増してきている。業界はバブルであるとのレッテルを否定する事ができない中で、なんとか正常な発展に向かって進もうとしているが、実態としては完全にバルブ状態に依存している。

現時点では自転車の利用料が唯一の営業収入だが、我々の調査によれば現在平均的なシェアバイクの日当たり利用回数は2回/台まで落ち込んでいる。補助金が付いている場合を除けばシェアバイクの1回あたり使用料は0.5元~1元。まあ多く見積もって1台が一日に稼ぐ金額は2元だろう。
冬や雨の日には稼働率が下がることを考えれば一年で稼働する日数は270日程度。ここから推測する年間の1台あたり収入は500元前後だろう。
500元という金額はofoのスマートロックが付いていない自転車のコストと同等。現時点ではこの自転車の設計寿命は3年となっており、これによれば2年目、3年目は純利益が出ることになる。ここから見る限りシェアバイクは利益が出るビジネスに見える。
ofoの創始者である戴威はかつて、ofoは特定の地域ではその利益率は40%に達しており、おそらく今年中に黒字化するだろう、と語った。しかし事態はそれほど楽観的ではない。

この業界の人々が常に引用する計算式では、日当たり利用回数の低下を考慮しなければ自転車の故障が最終利益に直接の影響を与える。もし一台の原価が500元として、三台中一台が壊れて廃棄されてしまったとすると償却に必要な期間は半年延長されなければならない。
したがって仮にその故障、破損率が有る一定レベルでコントロールできるとし、また関連する運営コストを最低に押さえ込んだとしてもそれはシェアバイク事業の収益性に直接的影響をもたらす。

これに加え、入会時に徴収するデポジットがシェアバイク事業の重要な収益源とみなされているが、それには大きなリスクがあるため関連企業はとても慎重な見方をしている。
これは後述するとして、まずは上記の利益に関するリスクを見ていこう。

1)故障率の秘密
すでに30%まで達している?
Mobikeとofoが競争する中、両者の戦略の違いからその故障率は異なっている。Mobikeはその初代バージョンから「4年間メンテナンスフリー」を歌っていた。
Mobikeの設計思想は強度補強を中心になされており、ユーザーの利便、利用性を犠牲にすることもいとわない面が有る。しかしそれでもMobikeのCEO王晓峰が漏らしたところでは、上海地区では運営開始後4ヶ月時点での故障率は10%に達したという。
ofoの状況は大部異なる。最初のバージョンではofoは普通の自転車にちかい乗り心地、使い勝手の商品をユーザーに提供した。 自転車が完全な状態であれば、たしかにMobikeより優れていた。しかし、補強面の考慮が不足していたためにofoが非常に壊れやすかった。その後製品に補強を施したものの、企鹅智酷(テンセント系研究機関)の調査ではofo利用者の故障報告率は明らかにMobikeを上回っている。(ofo: 39.3% Mobike:26.2 %)
ofoは数字を公表していないのでその故障・破損率については諸説あるが、テンセントが複数の情報源から得た情報からは、同社の控えめな想定で20~30%、30%超もありうるとしている。
Mobike,ofoに加え、その他の勢力も故障率のトラブルに見舞われている。公共自転車とシェアバイクを同時に運営する永安行のCEO陶安平は公共自転車とシェアバイクの故障、破損率には大きな差があるという。訳注:公共自転車とは、行政が主導で設置した共用自転車。専用ポート返却。
公共自転車は公共施設の一環であり法律によって2000元以上の罰金が課せられることもあるため、公共自転車の破損はさほど深刻な状況ではない。大抵はちょっとした修理で済むが、シェアバイクはそうは行かない。
「我々の状況では、シェアバイクの破損率は公共自転車よりはるかに高い」陶安平は現在の永安行のシェアバイクの破損率はすでに10%に達しており、しかもこれは市場参入して間もない数字なのだ、と明かす。
更に深刻な事態が存在する。深センで公共自転車事業を展開する凡骑绿畅公司の総経理贾金涛曰く、シェアバイクは投入して一年後には破損問題が大爆発する可能性があるという。
ブレーキパッド摩耗によるブレーキ不良、スマートロックの電池切れ、こうした問題は短時間には簡単には発生しないが、一定時間を経過し自転車のダメージが一定段階を超えると集中して問題が発生する可能性がある。
一年を経過するとシェアバイク業界でのこの種の破損率の数字はおそらく10%を超えると見ている、という。ひとたび破損率が30%の水準を超えれば、仮に上記の推定を理想的な単一変数と仮定した場合、自転車のコスト回収期間は50%延長されることになる。
これら破損率の問題を考慮した後で考えると、ofoは今年中に利益が出るだろうと明言しているものの、Mobikeや永安行が利益が出るまでには後1年半程度かかるといっていることは我々の分析に一致する。

2)回収・配置換えに3元/台
シェアバイクの運営はときにとんでもない落とし穴にはまることが有る。シェアバイク運営は常にその回収業務がつきまとう。このプロセスには3つの工程がある。

第一に自転車を取りに行くこと。取りに行く人とトラックが必要となり、自転車の増加に合わせて人と車を増やさなければならないのは当然のことだ。以前深セン南山で発生した自転車回収事件では関係企業は半月に亘りその回収に囚われ、回収力不足の弊害を露呈した。

第二にメンテナンス。メンテナンスコストは自転車の設計、品質管理、投入される都市の人口やマナーに直接左右される。現在、急激に増加する修理要請はすでに産業チェーンにかなりの負担をもたらしており、一部都市では修理技師の高給与での奪い合いが発生している。

第三に自転車の再配置。
これら三つの工程はすべて人間が必要で、それは日ごとに段々と厳しさを増していく故障率の問題と関連しており、それにともなって負担も増加する。
しかし、回収問題は事業運営の一部分に過ぎない。Uberのようなカーシェアリングとは異なり、シェアバイク業界の運営にはオンライン、オフラインの運営が必要となる。特にオフライン時の運営コストはネット業界出身の会社にはその概念を理解するのが難しい。実際の運営にあたり、この負担はどの程度のものになるのか?オフラインの経営資源配分を例に取れば、自転車の投入量が増加すればオフライン業務への資源もそれに合わせて増加させなければならない事がわかった。シェアバイク運営会社の社員数ではその要求を満たすことはできず、一般的には外部委託の運送会社を起用することになる。

運送会社に近い業界人からの情報によれば、「シェアバイクの需要は非常に大きく、規模の経済も働くのでその配送料は比較的安くなる。しかしそれにしても一台の配送料には3元程度はかかる」
シェアバイクの日々の配置換えとその頻度、例えば朝晩通勤時の需要の偏在に対応するための配置換え等を考慮すると、そのコストは膨大なものになる。厄介なことは、自転車の配置を理想的なものにしようとすればするほど、それにかかるコストはより高いものになってしまうということなのだ。配置換えをすることでの自転車の利用料の増分が、果たして配置換え費用を賄えきれているかどうか、簡単には結論付ける事はできない。

それに加え、「科学的運用」のため普及が進むスマートロックもコスト増大圧力となっている。サプライチェーンの関係者によれば、現在のシェアバイクコストは300元から500元だが、スマートロックをつけることでコストは1000元近くまで上昇するという。現在Mobike
は全車にスマートロックとGPSを装備しており、ofoのスマートロック版は未だ限定的な試験状態だが、ofoの責任者は遅くとも今年の後半にはスマートロック版を大規模に展開すると言っている。
このコストはまた投資回収の期間を長くさせることになる。仮にスマートロック版自転車のコストが従来版の倍だと計算して、一年の投資回収期間は二年に、更に故障率で50%伸びるからコスト回収にはちょうど三年かかるということになる。
強調しておきたいことは、現時点では数値データが不足しているためこの計算は完全に科学的にではないが、大まかにいって利用料収益の他にシェアバイクが直面している運営経費の圧力はかなり重たい物があるといえよう。

加えて、その解決策がうまくいかない場合は利益増大が望めないことは言うまでもない。
シェアバイク運営会社とてもちろん黙ってみているわけではない。公共自転車企業の幹部が匿名を条件に語ったところによれば、シェアバイク運営会社はすでに公共自転車運営会社との協力関係を模索しているという。公共自転車というビジネスはすでに時代遅れとなっているが、彼らの長年の運営経験はシェアバイクビジネスに比べ豊富なものがある。
しかし、この種の協力関係はシェアバイク運営会社にとってある程度の助けにはなるが、正確な予測が難しいことには変わりはない。

デポジットとPPP(公的,私的資本提携)どちらがシェアバイクの未来となるのか。
儲けることがビジネスの目的でありシェアバイクも例外ではない。
会社の業務という面からみれば使用料がシェアバイクの唯一の収入源であるが、法律の専門家の中にはシェアバイク運営会社の収益原はそれだけではないと見るものもいる。
現在Mobikeとofoのユーザーは1000万人。Mobikeは299元、ofoは99元のデポジットをとっており両社の保有するデポジットは30億元と10億元規模である。当然、この莫大な資金については色々な想像が働いてしまう。
デポジットの返金に関して、テンセントの理解ではofoは即返金。銀行の処理時間にかかわらず最終的に返金払込は数分で完了する。一方Mobikeは随分と異なり、同社の最近の公式見解ではユーザーが返金申請をした後に返金が行われるまでには2−7営業日が必要であるとされている。この返金時間の差は各方面からMobikeのデポジットの取扱いに関する疑念を抱かせている。
中国政法大学知識産権研究センター特約研究員の李俊慧は最近の文章で原則的に銀行の振込はリアルタイムであり、Mobikeはデポジットを自社内で取り込んでいる可能性がある、と指摘した。こうした返金までにタイムラグを設けることにより、一時的にMobike社内に資金がプールされ同社はそれによる理財活動利益を得ることができる。

関連法規によれば支払われたデポジット及びその保証対象はリース行為で発生したものであり、企業はそれに手を付けてはならない。リース契約を解除した時にデポジットが返還されないと資金の違法専有問題に波及する。
おわかりの通り、もし関係する部門が監督を行わなければシェアバイク運営会社はデポジットから巨額の利益を得ることができ、自転車使用料収入なんて目じゃなくなる。しかし非常にセンシティブな事にとりわけ資金プールの問題は非合法資金集めとして追求される可能性が極めて高く、シェアバイク運営企業はそのリスクを避けるためすでに企業ポリシーで自己規制を行っている。Mobikeは先月末、招商銀行と協同で招商銀行がMobikeのデポジットを厳重に管理するとの声明を出した。Ofoも同様、デポジットは専用の口座で保管されており、投資などには使用できない仕組みになっていると表明している。
加え、政府による監督が徐々に始まっており、デポジット流用による収益獲得モデルは今後ほぼその継続余地がなくなっている。

一方、もう一つのシェアバイク企業にとっての利益獲得方法として、公共自転車と同様なPPPモデル(官民パートナーシップ)に向かうという手がある。この種の方式には色々な関連がある。同済大学の持続可能経済発展管理研究所長の诸大建は、通常は政府がサービスについての計画をするべきであり企業はサービスを提供し、消費者はサービスを受益するという。
こうしたモデルの中で政府は助成を行い、サービス提供者としての企業の利益獲得圧力を緩和する。これは決して荒唐無稽な話ではない。現在Mobike,ofoは経済資本によって運営されているが、シェアバイクに代表されるフリーフロー式は実際政府資本での検討射程距離に入ってきている。北京市房山区の政府が昨年10月10日に発表した情報によれば、房山区の燕山地区においてフリーフロー式シェアバイク類似公共自転車を投入するとしている。Mobikeやofo同様、このフリーフロー式自転車はQRコード読み取りで乗車でき、唯一違う所は白線で区切られた「バーチャル電子柵」の専用駐輪区域内に返却しなければならないことだ。
このプロジェクトに関して房山区政府が購買する自転車は北京途自在物联科技有限公司という企業である事が分かった。その企業のHPでは、スマートフリーフロー式自転車及び専用アプリ、運営用システムを自主開発し、QRコードスキャンで即座に乗車、返却可能、といっている。
これからも分かる通り、この企業はすでにフリーフロー式のシェアバイクに関し包括的な解決法案を政府向けに設計完了している。

房山区政府がこれを受け入れることで、シェアバイクの領域での経済資本と政府資本の融合が始まるかもしれない。陶安平はまた、こうした動きはほかでもすでにはっきり現れているという。「特に4線級以下の都市においては、投資コストの回収が難しい事を考えればインターネット企業はどこも参入に積極的にはなれないが、政府の介入が有るのであればその都市の要求を満たすことができます」
しかし、もし仮にこの方式が一部の地域で実現可能だとしても、まだ多くの地域が残されるし、あるいはそうしたことがMobikeやofoのような企業レベルで実現が可能かどうかは依然相当不確実だ。
しかし利益確保の見通しが困難な利用料モデルに比べ、低リスクなPPPモデルは十分魅力がある。唯一の問題は、このモデルの場合主導権は最初から企業側が掌握することができないということだ。
by @Bassy