ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

日本人があまり知らないEVカーシェアリング

2017年09月19日 | ITS
EV(電気自動車)のシェアリングに関しては日本でも地域的な取り組みが始まっている。カーシェアリング最大手のTIMESも専用車両Ha:moで東京で進めているし、その他地方限定のサービスは結構出て行きいる。しかしこれが一般に浸透しているとまでは言えない。

一方、海外に目を向けるとEVに限定せず、小型車両でのカーシェアリングは欧州ではかなり盛んになり、生活に溶け込んでいる。
ダイムラー主導のcar2goがスマートをつかい先行で始めたが、VW,BMWも追従しさらにはその他の業者も出現している。概ね1分0.25ユーロというような価格設定。
1分0.25ユーロということは、一時間15ユーロ、2000円。何時間も借りたらレンタカーより高い。しかし、これらのカーシェアの特徴はエリア内ならどこでも乗り捨て可能ということにある。目的地に着いたら返却し課金終了。帰りは近くの空車を探して、ということなので都市内移動ならせいぜい10~20分の利用となり、数百円の負担で済む。出典がわからなくなってしまったが、どこかの街では若者の自動車保有率がかなり低下した、という。
乗り捨てに関しては、欧州の都市は路上駐車が認められており、パーキングメーター等で料金がかかる場合もカーシェア業者の契約でユーザーは支払う必要がない。また公園のような場所には無料駐車場が多く有る。

この方式、現在の日本の都市では実現不可能であることは言うまでもない。今でこそパーキングメーターが増えてきたが、美濃部都政時代は都内は一切駐車禁止だった。路上で乗り捨て可能な場所は限定される。
しかし、まだよく探せば交通の邪魔にならない路上駐車スペースは有ると思う。行政がシェアEV専用で増設しシェアEV普及を政策として進めていることができるのではないか。完全乗り捨てが普及の鍵となるのだ。

私が危惧するのは日本が遅れを取ることだ。いまの日本では都市構造・インフラの違いからこのサービスがピンと来ないし、この状況では国内での大発展はないだろう。足元の市場がこんな状況なのでとても海外にまで出ていくような業者は現れそうもない。

イタリアには4-5社が展開しているが、その中でまだ規模は小さいもののShear'nGoという業者が中国製の二人乗りミニEVを展開している。イタリアのベンチャーが中国から車を仕入れて始めたものかと思っていたら、実はイタリアの会社は90%中国資本で、かつシェアリングのオペレーションシステムも中国開発だった。中国でEVカーシェアリングを営む会社がイタリアに進出しているのだ。その会社は中国市場ではすでに一万台を稼働させている。

これ以外にも、シェアリング自転車ほど話題にはなっていないがシェアリングEVは中国でじわじわと増え続けている。上海でも白地に緑のEVCardというシェアリングEVが登場し、空港には大きな駐車専用スペースもできている。

こうしたシティコミューター的EVのシェアリングは間違いなく今後拡大するが、今のところ日本でグローバルプレーヤーとなる企業が現れていない。大手自動車会社はその力はあるが本格的に事業として海外展開する計画は今のところ聞こえてこない。

一方で中国では中小企業ですら海外に出ていっているのだ。今後は大手の参入も見込まれており、気がついたらスマホはVIVO,OPPOやHuawaiにマーケットを席巻されてしまった、という悪夢を繰り返さないようにしてほしい。