ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

日本はEVシェアを官主導で進めるべき

2017年09月21日 | ITS
前のエントリーで、海外ではEVもしくは小型車のシェアリングが進んでいる事を書いた。
一方で日本政府の取り組みはIT総合戦略室のしたにあるシェアリングエコノミー促進室がまとめているようだが、特にカーシェアリングに特化してはいない。
EVをつかったカーシェアは自治体や観光地主導での実験的導入をまずは進めていくというような感じであり、なんとなく色物的な展開しか起きないような感じ。海外で急速に広がる可能性がある都市内のコミューターというようなカーシェアについての積極的な動きはない。

カーシェアではTIMESが先行しており、TIMESの時間貸し駐車場を基点に相当多くのポートが設置されているが、残念ながら返却は借りたポートに限られるため今ひとつ使い勝手が良くない。数キロ先の友人宅にいき、数時間過ごして戻るというケースでは実際の利用時間は20分程度でも支払いは数時間分になる。
ポートを跨いで返却できるようになれば実際の利用時間だけの支払いでよくなり利便性は格段に上がる。
さらに海外のカーシェアの多くはフリーフローとなっており合法な場所であればどこに駐車しても返却扱いになる。
言うまでもなくこれは非常に便利だ。

日本ではこのフリーフロー方式は難しい。路肩を含めた公共駐車場があまりなく、またパーキングメーターエリア以外は路上駐車が禁止されている。こうした事業を展開するなら事業者が土地を手配しポートを沢山作らなければならないが、多分それでは事業性の成立は困難だろう。

EVをつかったフリーフローのカーシェアは確実に都市部のモビリティを改善する。公共交通をつかったほうが早くて便利な部分は公共交通をつかい、それから先でシェアリングEVをつかうという形になれば走行する車両の総数を減らすことができる。
それ以上に我が国のEV及びそのシェアリングオペレーションビジネスを発展させ国際競争力を付けなければ、この先欧米はおろか中国にも負けてしまう。タクシー業界などからの反対は有るだろうが、産業構造は時代とともに変わって当たり前。

ビジネス自体はもちろん民間企業が自由競争の中で進めるべきだが、前述の通り日本の都市事情から駐車スペースに関しての行政の協力が絶対に必要になる。しかし、これが絶望的なのだ。規制緩和どころか、規制の拡大解釈とリスク回避でむしろ消極的であるようにみえる。
札幌に引き続きシェアバイクが進出を計画していた福岡は市が反対して頓挫しているいう話を聞いた。中国では増えすぎや迷惑駐車が増えて問題になっているが、それ以上に交通量の減少や無認可三輪車タクシー撲滅のメリットが大きいため、行政は台数規制はするものの専用駐車スペースの認可などはむしろ素早い対応をしている。

EVに関しても、先日経産相が「いきなりEVになるわけではない」という発言をされたが、今時ステーキだっていきなりでOKなんだから良く海外の動きを見てほしい。ハイブリッドで先行する日本のアドバンテージを温存したいという考え方も背後には有るのかもしれないが、フューチャーフォンで先行し結局スマホで完敗した過去が頭をよぎる。
繰り返すが、日本の都市構造は過密で民間だけの努力ではシェアリングビジネスの展開は限界がある。
EVの推進とシェアリングに対するインフラ整備を官主導で進めなければこの先海外にどんどん引き離されているように感じる。