11月30日、国際原子力機関・IAEAのエルバラダイ事務局長の任
期が公式的に終了する。
12月1日、IAEAの新事務局長には日本の天野之弥氏が就任する。
これに関してロシアの声の記者は、次の様にまとめている。
IAEAの事務局長を12年にわたって務めたエルバラダイ事務局長
は、自身の後任である天野氏に難題を残している。
そのなかでもとりわけ難しいものに、最近IAEA理事会協議のなか
で議論の中心となっている、イランと北朝鮮の核プログラムをめぐ
る、極めて複雑な状況がある。
11月27日、IAEA理事会はイランのクオにある新たな核施設の建設
と、テヘランの核研究施設用のウラン濃縮プロセスに関する、国際
プロジェクトの受け入れを望まないとする、イランの行動を非難する
決議を採択した。
これは2006年以来となる対イラン決議だ。
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所の専門家は、日本
人であるIAEAの新事務局長天野氏は、原爆投下の傘下を直接的に
経験しているため、国際社会は新事務局長から核不拡散体制に違
反する者たちに対して、より断固とした行動がとられると予測してい
ると語り次の様に述べている。
「IAEA事務局長に天野氏が就任することで、イランと北朝鮮に対す
るIAEAの立場が一段と厳しくなることが予測される。
それは先ずイランに対して行われるだろう。
何故ならエルバラダイ前事務局長は、イランの隣国であるエジプト出
身だったため、ある程度(???)を尽くす態度を取らねばならなかった。
一方で現在、北朝鮮の核問題解決における基本的な役割は、IAEAで
はなくアメリカが担っている。
ですから北朝鮮問題の解決における、IAEAの参加はイランの核問題
解決への参加と比較すると、より消極的なものとなっている。
もちろん仮に北朝鮮が核拡散防止条約に違反した場合には、事務局
長側から非難されることだろう。
しかしIAEAが基本的に影響を与えるのはイランとなるだろう」
ロシアの専門家は、この様に述べている。
続いてロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所の軍縮紛争調
停課課長は、IAEAで決定を採択する際の新事務局長の役割に対し、次
の様に語っている。
「IAEAの事務局長は個人的な政治を実行することは出来ない。
事務局長は30カ国以上の代表者からなる理事会の決定や、三分の二
の大多数の評価を得て採択された決定を遂行する。
ですから事務局長の立場は、しかしもちろん事務局長は自身のイニシア
チブを表すことが出来る。
例えばエルバラダイ前事務局長は、複数の国の代表者側から批判を受
けるような演説をすることを好んだ。
一方で新事務局長の天野氏は、極めて経験豊かな外交官で公に発言す
るタイミングというものを非常によく理解している。
とは言え、これと同時に一連の専門家達は、天野氏がアメリカの同盟国
である日本人として、親米的な立場をとるのではないかと懸念している。
これはイラン、後には北朝鮮におけるIAEAの慎重な任務の結果に影響す
る可能性があるのではないかと言うものだ」
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所の軍縮紛争調停課課長
は、この様に話している。
ロシアはIAEAの新事務局長から公平さと客観性が齎され、さらに核兵器
不拡散プロセスにおける、IAEAの役割が評価されることを期待している。
ロシアはこれに対し、あらゆる協力を行う用意がある。
※は(???)は女性アナウンサーの不明瞭な発音で聴き取れず
11月30日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル