アメリカとイランの関係はここ最近、両国政府が取っている行動
を見る限り、新たに緊迫化の様相を帯びている。
12月15日、アメリカ下院は大統領に対しイランのエネルギー部
門に投資、あるいはイランにガソリンおよびその他の加工製品を
輸出している企業、そして個人に対して制裁を導入する権利を付
与する法案を承認した。
アメリカの企業にはすでに、だいぶ前からイラン当局と事業をする
ことが禁じられており、そうした措置は国外の企業にも及ぼうとし
ている。
イラン政府との協力を続ける場合そうした企業は、アメリカ市場に
今後参入できなくなる。
法案は又アメリカ行政府に対して、外国政府もイランのエネルギー
部門への投資を中止する措置を取るよう、外国政府に対して圧力
をかけることを義務付けている。
つまりそうすることが、アメリカが軍事目的と見なしている野心的な
核プログラムを、イランにとって放棄させると言うことだ。
法案の起草者であるハーバード・バーマン下院議員も、原則的にこ
のことを隠していない。
バーマン下院議員はオバマ大統領は、イランの核の脅威を阻止す
るのに必要な力を持つべきであると述べた。
ロシア災害防衛政策評議会メンバーであるアベルチェフ氏は、アメ
リカ議会のそうした決定に付いて、理解を必要以上に大げさに捉え
るつもりは無い様だ。
「アメリカの対外政策における議会の権限というのは限られている。
合衆国の対外政策を実施するのはアメリカ大統領だ。
国際関係に関わるどのような決定を下す際も、それを行うのは大統
領だけだ。
ですから今回の議会の決定は、何か現実的な行動というよりは、む
しろアメリカ下院の立場表明といったものだ。
私達が今回耳にしたのは、アメリカが対イラン関係において厳しい立
場を取っていること。
それが改めて今一度確認されたということだ」
アベルチェフ氏は、この様に指摘している。
アメリカ議会の決定に対するイランの反応は早いものだった。
イラン原子力庁長官は15日、読売新聞の単独インタビューに応じた中
で、イランは自国領内でウラン濃縮まで行う力を持ちつつある。
ウラン濃縮の新しい施設を早ければ2、3ヶ月以内に着工する方針だと
述べた。
こうした態度はイランが立場を硬化しているものとして、受け止めること
が出来るだろう。
今年10月末IAEAはテヘランの原子炉の、原子力燃料を保障する次のス
ケジュールを提案している。
その提案の要旨は低濃縮ウラン1.2トンを再濃縮のためロシアに運び、そ
れをフランスで燃料化するというものだが、イランは核物質の段階的な交
換のみ同意し、交換の場所はイラン国内のみに限ると主張している。
そして今回イラン原子力庁長官は、直接ウラン濃縮までイランで行うと明
言した。
言い換えればイランの非妥協的な態度の壁というものは、さらに高くなって
きていると言うことが出来るだろう。
12月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル