Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

腑ニ落チナイ借金

2010-01-26 15:38:42 | days
借金なんてものは、どんなものでも
腑に落ちない類のものだと思うのですが、
そんな借金が僕にもあるようなのです。

たびたびこのブログでネタにさせてもらったりしている石沢雅史。
そんな彼が、去年か一昨年か、気になるセリフをぼそっと吐いた。

「忘れてるとは思うけど、おまえには1万円貸しているからな、
そのうち返してくれよ」

一瞬、「何を言うんだ、なんのことだ」と意味がわからなかった。
あっと思って記憶がよみがえりはしたものの、ほじくりかえすと
面倒くさいので、忘れたままのふりをしてその話を流しておいた。

あれはそう、札幌で暮らしていた、まだ大学生の頃だった。
ひとり暮らしのアパートに、その当時すでにばりばり働いていた石沢が、
休日にしても、夜勤明けにしても、よく遊びに来ていたし、
よく僕を自宅へ連れ去っていたものでした。
TVゲームをしたり、カラオケにいったり、ゲーセンへいったり、
釣りにいったり、ただただ話をしたり。

そんな日々の中、パチスロにどっぷりはまっていた石沢は僕にも
「どうだい、やりにいかないか」とパチスロを勧めてきたのだった。
そして何度か連れられて行ったパチンコ屋で、石沢のプレーを見学させられることがあり、
なにをするでもない無駄な時間の使い方には嫌気がさしてきていた。

ある日、石沢はそれまで以上に強い口調で僕にパチスロを勧めてきたのだった。
その理由は、『大花火』という、それまでの機種に比べて、大当たりの時に吐きだす
コインの数が圧倒的に多いが、それだけ当たる確率が低いという、
ギャンブル色が少々濃いしろものが登場したためでした。
パチスロ雑誌を毎月何冊か購読し、それを精読して、内容を実践しようと努めてきた
石沢は、「絶対に勝てる」と豪語しました。
その語気に押されて、いつのまにか僕は石沢とともに、
札幌は美しが丘のパチンコ屋、マルハンの門を叩いていたのです。

その当時、僕はまだ学生で、アルバイトをしてはいたもののあまりお金がなかった。
そこで石沢は、「絶対に勝てるからやってみろ、1万円貸すからそれでな」と言った。
繰り返して書きますが、石沢は「絶対に」という言葉を使った。

そして『大花火』との格闘が始まった。
もちろん、石沢が選んだ台で。
しかし、格闘などとは呼べないような一方的な展開。
まるで期待を持たせないかのようなリールの止まり具合。
どんどん両替機に吸い込まれていく千円札。
あっという間に、石沢に借りた1万円は消えてなくなりました。
その後、くやしくて、自腹のお金もいくらかつぎ込んだ記憶があります。
それでも出なかった。負けた----「絶対に」という石沢の言葉が脳裏にこだまする。

店を後にして、石沢は「今度、金返してくれよ」と無神経に釘を刺してきた。
「返せ」「返さない」の問答はそれからしばらくのあいだ、そしてしばらくの月日
続いたのでした。いつからか、石沢はぱたっとその話題を口にしなくなり、
7,8年ぶりくらいに再度言い出したのです。
まさか、機を見ていたのではないだろう…。

僕が「返さない」としている根拠には、
石沢の「絶対に勝てる」との発言があります。
「『絶対に』って言っておいて、負けたじゃん」と返します。
サギと一緒だというのが僕の考え。
そりゃ、僕も単純すぎました。
が、だまされたも同然なのです。そんなお金、払えません。
社会においても、サギにあえば弁護士に相談して、相手がつかまれば
裁判にかけたりするでしょう。犯罪なのです。
石沢の場合はまだかわいいものですが、
種類としては同種とみなせると僕は考えています。

また、石沢は、彼にお金を貸して返してもらうと、その金をダシにして
遊びに使わせようとするクセがあります。
結局、貸した金はなくなる運命をたどらされてしまう。
それと同様に、このパチスロの一件を、
そんな石沢の性向の一面として考えることもできるのです。

石沢はこのブログを読んでいると思うので、あえて書きましたが、
どうだい、返してもらえない気がしてきただろう、ええ?
でも、君が僕に「忘れてると思うけど、一万円貸してる」と言ったように、
僕も君に言おうじゃないか、「忘れてると思うけど、500円だけ返したよ」。
そうです、あの当時、分割なら返すかなーなんて言っていたことがあった。
それで、500円だけ返したのに、石沢はそれを忘れているご様子。
あー、だめ、全然だめ、そんな、貸した金は1万円だなんて凝り固まって
覚えてしまっていて、500円をはした金だとかってとらえて、
そんな500円を返してもらったことを忘れているなんて。
そんな石沢には、やっぱりお金を返したくないね。
というより、また書くけど、サギだし。
わかるかい、僕が君にお金を払えば、君が詐欺師であるということが確定して
しまうのだよ。僕がお金を払わないでいるから、君はまだ準・詐欺師であって、
世間的に助かっているんじゃないか。
そう思えば、贖罪の1万円じゃないか、あきらめなさい。
いや、9500円だった。
パーンと咲いてぱっと散る、そんな花火のような1万円。
打った台が大花火ときちゃ、これも何かの暗喩だよ、
花火のようにぱーっと粋に忘れてしまおうぜ。

と、まぁ、最後は私信のようになってしまいましたが、
公開書簡みたいなものですね。
多くの方に読んでいただきましょう。
駄文、失礼しました。
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