Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『告白』

2010-06-09 15:59:44 | 映画
原作も話題になった、松たか子さん主演の映画『告白』を観てきました。
監督の中島哲也さんは、『嫌われ松子の一生』や『パコと魔法の絵本』などの
良作を近年、連発している人です。今作は、それらよりもシリアスな感じがありましたが、
それでも、クレイジーな部分はありました。

クラスの喧騒や混沌、無秩序にインパクトを感じましたね。
そして、それらとあいまって、それぞれの告白による内面の生々しさに、
言葉どおりの意味で、ちょっと胸がムカムカしました。
それでも、面白いし、他に類のないタイプだし、
観た人の心に爪あとを残すような映画だったと言えます。
+R15指定されていますが、自分がもしも今高校生で、
この映画を見ていたとしたら、かなりのショックを受けていたでしょう。
ある意味、この映画の登場人物は、現実よりも自由すぎるんですよね。
それが悪い方向へ影響している。

軽はずみにいろいろしゃべると、この映画の持っている力を
そいで伝えてしまいます。それだけ、一度観た感じで評価するのは
早計だと考えさせられる映画です。難しいというよりも、
他の映画と比べて評価することのできない映画なので、
鑑賞後に心に残った印象を言葉にするのが難しいのだと思います。

まぁ、一つ感じたことは、「中学生ども、なめんなよ」ってことでしょうか。
ことさら、中学生と敵対しようとしているわけではありませんが、
彼らは大人になっていく過渡期で、子どもとも言い切れず、
大人とも言えない時期を過ごしています。
子どもにしては知恵が働くし、大人にしては浅はかだし。
でも、きっとこの映画で感じることができることの一つに、
中学生であっても、「無責任ではすませられないんだよ」
ということだと思います。

観客の中には、「これこれあの後からは、現実にあり得ない感じだったなー」
と笑ってすませてしまっている人もいたのですが、
登場人物の心のありように、一つの極致みたいなものがあるので、
フィクションだと感じられても、状況がそういう心境を作るのは真である、
ということはわかって観たらいいと思います。
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