手術の翌日の午後からリハビリが始まった。
30代の男性の理学療法士の方が、車椅子の乗り方から丁寧に
教えてくれた。車椅子でエレベーターに乗り、リハビリテーション科
のある1階へ。ここは10年前に左肩の脱臼でお世話になった場所。
そのことを伝えると、彼も10年前にここで働いていたという。
話が弾むと向こうからいろいろなことを質問して来た。
ちょうど大学から実習に来た学生がいるので、患者とのコミュニケーション
の方法などの見本を示そうとしたのだろう。
ここでは話に乗り元教員であること伝えた。
患者の考え方などを探り、知っておくこともリハビリでは大切だと、
実習生に教えていた。
ベッドでのリハビリを終えて、平行棒をつかみながら歩く練習をした。
まだ左足の付け根が痛いのと、人工骨頭がしっくりしていないようで、
歩きにくかった。療法士の方は鏡を用意してくれて、歩き方の
指導もしてくれた。私は何とか歩こうとするのだが、筋力が
衰えているので以前のようには歩けなかった。
リハビリを終えて、車椅子を押されてまた元の病室に戻るときに、懐かしい
売店を見た。
1階は病室の階から見ると、「街」に見えた。外来の患者や面会の人たち
が行き来していた。ちょうどインフルエンザが流行っている最中だったので、
私も含め、皆がマスクをしていた。