イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「ずばり東京」読了

2007年11月09日 | Weblog
開高健「ずばり東京」読了

この本が書かれたのは昭和38年から39年にかけてである。最終章から二つ目は東京オリンピック。僕の生まれた年であり、43年前である。
この前に読んだ「日本人の遊び場」の遊び場と同様にこの当時の風俗がいろいろ取り上げられている。
少し違うのは「日本人の・・・」はこれからはやるであろう事柄。こちらの本はこれから廃れて行くであろう事柄を取り上げているというところだ。
時代の流れの中で浮き上がってゆくものと沈んでゆくものの違いはあるが、そこに出てくる人々はやっぱり下を見ながらひたすら前に進んでいなければならないかのようだ。自分の楽しみを押さえつけ、わざと見ないように、休む間もなく前に進んでいる。
ジャックロンドンの「野生の呼び声」に出てくる人々もこの2冊の本に出てくる人々も今の人々もどうもこの100年間何の変化も改善もされていないような気がする。日本も、世界も。これが人間の本当の姿なのか、それとももっとゆったり、自分のゆく道を見つけることができるのが人間なのか。
僕は後者でありたいのだが、そうもいかないのだろうか・・・。

開高健はこの連載を終えたあと、ベトナムへ行き、いくつかの国際紛争を見、その後、釣りにのめりこんでいくのだが、この人でさえ、これだけの人間の性を見なければ自分の心のおもむくままの人生を見つけることはできなかったのだろうか。

そうであるなら、僕などは会社と家庭の荒波に沈んでしまっても仕方がないのであろうか。
それでもやっぱり漂えども沈まずにいたいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする