イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「日本の釣り文学2~夢に釣る」読了

2009年06月19日 | Weblog
「日本の釣り文学2~夢に釣る」読了
マニアックな短編集の2冊目だ。前回の本とセットで古本屋に売られていた。
「夢に釣る」という題のとおり前巻のように求道的なテーマはなく、釣りの楽しみのような話題の内容であった。

どうしてこんなに釣りというのは愛されるのか?
平行して読んでいた雑誌にこんな内容の文章が載っていた。過去にノーベル賞をもらった人たちは子供の頃、普通の人より何倍も自然に親しんでいた。「センス・オブ・ワンダー」という言葉が紹介され、この言葉はあらゆることを不思議に思う心と紹介されていた。不思議に思うことから「考える」という習慣が見につく。そしてこの能力は自然の不思議をじかに体験することで養われるとのことである。
それからすると魚釣りというのはまさしく「センス・オブ・ワンダー」のかたまりだ。磯に上がれば不思議でわからないことばかりだし、魚の習性なんていまだに理解ができていない。(ので、なかなか魚が釣れないのだ。)おまけにたくさんの道具を組み合わせそれで魚の機嫌をうかがわなければならないからここでもやっぱりワンダーが生まれてくる。
ぼくは別にゴルフという遊びを目の敵にしているわけではないが、人からあてがわれたスペースとルールのなかではそれほどのワンダーは生まれてはこないだろう。

幸いにして僕は子供の頃から魚釣りに親しませてもらったので人一倍ワンダーに遭遇させてもらった。惜しむらくは「考える」という素養に恵まれていたらならもっと立派な人間になれたのにとは思うのだが・・・。僕の誕生日はアインシュタインと3日違いなだけなのだが、この3日の違いでえらく違ってしまったのだ。
バカな子供に生んでくれたのは恨めしいが魚釣りの楽しさを教えてくれたことにはやっぱり感謝するのだ。

それにひきかえ、僕は自分の子供にそのワンダーを十分に味わせてやれなかった。何故だか家の外に出たくない子供になってしまったのだ。
僕の父が生きていれば僕の代わりに魚釣りのおもしろさや海辺の不思議さを教えてくれただろうに、それが残念だ。もう中学生にもなってしまうとそんな感性は戻ってはこないだろう。よく勉強する子供には育ったようだがやっぱり申し訳ないことをしてしまったと詫びなくてはならないと思うのだ。
コメント
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